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NY紙で専門家が絶賛 田中将大と名投手に共通点「1つの次元で収まらない」


ヤンキース移籍3年にして、エースとしての立場を確立した田中将大投手。昨年は初めてシーズンを通して先発ローテーションを守り、31試合に登板した。199回2/3を投げ、14勝4敗、リーグ3位の防御率3.07、同5位のWHIP(1イニングあたりの被安打+与四球)1.08をマーク。4年目の今季は、日本人投手初のサイ・ヤング賞受賞にも期待がかかる。

■ムッシーナ氏と比較する特集記事を掲載、「ある時は技巧派、ある時はパワーピッチャー」

 ヤンキース移籍3年にして、エースとしての立場を確立した田中将大投手。昨年は初めてシーズンを通して先発ローテーションを守り、31試合に登板した。199回2/3を投げ、14勝4敗、リーグ3位の防御率3.07、同5位のWHIP(1イニングあたりの被安打+与四球)1.08をマーク。4年目の今季は、日本人投手初のサイ・ヤング賞受賞にも期待がかかる。

 ニューヨークの地元紙「デイリーニュース」では、かつてヤンキースの先発ローテーションを支えた名投手で、現在は米国野球殿堂入りの候補になっているマイク・ムッシーナ氏と田中を比較する特集記事を掲載。2人の共通点を挙げている。

 記事ではまず、田中の「素晴らしさ」として「しっかり自身のことを見つめた上でマウンドに立てるということだ」と指摘。その日の調子、それぞれの球種の状態を把握した上で、ゲームを組み立てるという能力に長けた右腕について「ヤンキースのエースはある時は、90マイル前半(140キロ台後半)の直球を軸とし、またある時は三振を奪うスプリットと鋭いスライダーを駆使する。つまるところ、彼はその日の自身の調子に基づいた投球ができるのである」と絶賛している。

 田中は昨季31試合登板で14勝4敗という結果だったが、開幕直後は好投しながらも白星がつかないという試合も多かった。味方打線の援護や、ブルペンの救援失敗がなければ、もっと多くの勝ち星がついていた可能性が高い。ただ、同紙は田中の先発時にヤンキースが23勝8敗という高い勝率を誇っていたことに言及。通算75先発で勝率.709(39勝16敗)という高い勝率を誇ることも紹介している。

■「田中は殿堂入り候補でもあるマイク・ムッシーナのことを思い出させる」

 一方で、「田中が右肘に不安を抱える前、デビュー時に11勝1敗、防御率1.99という成績を残したことは、今となってははるか昔のことのように感じられる」と指摘。2014年、田中はデビューから14試合の時点で上記の圧倒的な成績を収めていたが、18試合目の登板となった同年7月8日のインディアンス戦で右肘靭帯部分断裂の重傷を負った。ただ、記事では「しかし、それ以来、彼は健康であれば、ノア・シンダーガード(メッツ)のような豪速球や、クレイトン・カーショー(ドジャース)のようなカーブといった球種がなくても、効果的な投球を続けている」と負傷後も安定感のある投球を続けていることを特筆。試合を作る能力は、間違いなくヤンキース投手陣でナンバーワンだ。

 そして、そのスタイルはムッシーナ氏を想起させるものだという。記事の中で、現在は地元テレビ局「YESネットワーク」のアナリストを務めるヤンキースOBのジョン・フラハティ氏は「田中は殿堂入り候補でもあるマイク・ムッシーナのことを思い出させるね。ムース(ムッシーナの愛称)のように、ゲームプランを変えていくことに長けていて、その日のベストピッチが何なのか把握することも巧みだ。先発するたびに違えど、一年が終わると勝ち星を積み上げている」と話している。

 ムッシーナ氏はメジャー18年間で通算270勝153敗、防御率3.68の成績を残した名投手。オリオールズで活躍後、2001年からヤンキースに所属し、8シーズンで123勝72敗、防御率3.88をマーク。2008年に20勝(8敗)を挙げながら、現役を引退した。その功績は大きく、チームメートだった松井秀喜氏も敬意を表している。松井氏は2012年にレイズに入団した際、「55」が空き番号ではなかったため「35」を新たな背番号として選んだが、その理由として恩師の長嶋茂雄氏の「3」が入った番号であること、そしてムッシーナ氏が「35」をつけていたことを挙げていた。

■今季終了後に契約破棄の権利を持つも…「ヤンキースはエースとして再び必要とする」

 記事によると、フラハティ氏はさらに「彼(田中)は対戦相手がスプリットのことを意識していることをわかっており、デビュー当初よりもスプリットを投じるのを抑えめにしている。昨年の終盤、彼が変化球を投じるべきカウントで直球を投げ、直球を投げるカウントで変化球を投げていたのには、驚かされた。彼は今や卓越した万能性を備えた投手になったね」と絶賛。その上で、再び「田中とムシーナは1つの次元で収まらない、その点が僕は気に入っているんだ。ある時は技巧派、ある時はパワーピッチャー。投手がそういったオプションを兼ね備えていると、捕手としては非常に楽に仕事をさせてもらえる」と、偉大なOBと共通点が多いことを強調している。

 また、同じように「YESネットワーク」でアナリストを務める元ヤンキース投手のアル・ライター氏も、田中について「彼を見ていても『ワオ』と驚くことはないかもしれない。しかし、彼はオールスター級の投球を見せてくれるんだ」と称賛しており、同紙は「フラハティとライターの両氏は田中の多彩な武器、コントロール、そして彼のユニークな予測不可能さに言及している」と伝えている。

 田中は2014年から7年契約を結んでいるが、今季終了後に契約を破棄してFAとなれるオプトアウトの権利を持っている。昨季同様の成績を残せばさらにいい契約を結べることは確実で、オプトアウトの可能性は高いと見られている。記事でも「田中が今季活躍し、故障もしなければ、彼はオプトアウトし、巨額契約を得ることもできるだろう」としつつ「田中以外のヤンキース先発陣の層の薄さを考えれば、ヤンキースはエースとしての田中を再び必要とするだろう」とも指摘。もし田中がFAとなっても、ヤンキースは再契約に動くと予想している。

 エースとして迎える今季、ムッシーナ氏のように20勝を挙げる活躍に期待したいところだ。

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