BASEBALL GATE

侍ジャパン

【Baseball Gate Analysis】救援投手の実力は?さまざまな指標で測るリリーバーの価値

表A[1]

表B[1]

 2016年11月28日にプロ野球の各種タイトルの表彰が行われた。最優秀中継ぎには日本ハム・宮西尚生と巨人・マシソンが、最多セーブにはソフトバンク・サファテと巨人・澤村拓一が輝いている。
 一方でセーブやホールドは条件があり、試合展開や所属するチームの強さにも影響を受ける記録である。そこで今回は記録や指標を用いて、さまざまな角度から救援投手の価値に迫ってみたい。

■イニングまたぎ
表C[1]

 登板したイニングの次のイニング以降もマウンドに上がる「イニングまたぎ」。負担が大きく、難しいとされるこの起用を多く続けているということは、ベンチからの信頼の裏返しとも言える。16年にあったイニングまたぎの回数ランキングを見てみると、西武・小石博孝がトップで、牧田和久が2位となった(表5)。16年の西武は春先から先発が早々に交代する場面が目立ち、ロングリリーフとしての登板が多かったこともこの順位につながったのだろう。続く3位には巨人のマシソンがランクイン。ここ数年、鉄壁の救援陣を形成していた山口鉄也らの調子が上がらないことが、助っ人右腕の負担が増えた背景にはあるようだ。

■IR%
表D[1]

 またリリーバーの重要な役割の中には、ピンチからの登板、いわゆる“火消し”もあるだろう。そこで登板したタイミングで背負っていた走者を、どれだけホームに生還させなかったかを見てみよう。登板時に背負っていた走者はInherited Runners(以下IR、直訳すると「受け継がれた走者」)と呼ばれ、その数が16年に最多だったのはソフトバンク・森福允彦の51人だった(表6)。その走者をホームに生還させた割合を表すIR率でも11.8%をマークしており(表7)、森福は12球団でも上位に入る活躍を見せていた。17年からは巨人に移籍するが、新天地ではどのような役割を担うのかにも注目だ。

■K/BB

 最後にリリーフにとって大切な投球内容の安定性を考えてみよう。四球が少なく三振の取れる投手は、大崩れする危険性が小さくなる。この観点から用いられるのが奪三振数と与四球数から導くK/BBという指標だ。奪三振と与四球は守備や球場から影響を受けないと考えられているため、純粋な投手能力を表しているとされる。
 この数値でもトップは森福(表8)。9イニングあたりの与四球数で0.67と極めて優秀な成績を残しており、このK/BBにも好影響をもたらしている。また2位にランクインした日本ハムのマーティンは被打率.145とヒットも許しておらず、16年シーズンで最高のピッチングを披露した投手のひとり、といっても過言ではない。

 救援投手を評価する目的でデータを見てきた。公式記録に表れない数字にも触れることで、投手の特徴が明らかになることもある。決して表彰される訳ではないが、今回取り上げた選手たちの所属チームへの貢献度は大きいといえるだろう。

※データはすべて2016年シーズン終了時点

文:データスタジアム