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殿堂入りへ有資格1年目の強打者、将来的な選出確実のイチローが“物差し”に!?


2017年度の米国野球殿堂入り選手は現地時間18日(日本時間19日)に発表される。全米野球記者協会(BBWAA)に10年以上所属している記者による投票で、75パーセント以上の得票を集めた名手が栄誉を手にすることになる。米メディアの殿堂入り特集では、ドミニカ共和国出身のスラッガー選出に向けての“物差し”として、マーリンズのイチロー外野手の名前が登場している。

■19日に殿堂入り選手発表、有資格1年目のゲレーロ氏は選出なるか

 2017年度の米国野球殿堂入り選手は現地時間18日(日本時間19日)に発表される。全米野球記者協会(BBWAA)に10年以上所属している記者による投票で、75パーセント以上の得票を集めた名手が栄誉を手にすることになる。米メディアの殿堂入り特集では、ドミニカ共和国出身のスラッガー選出に向けての“物差し”として、マーリンズのイチロー外野手の名前が登場している。

 米地元紙「ワシントン・ポスト」電子版は「カート・シリング、バリー・ボンズら、物議を醸す野球殿堂入りの問題」との見出しで、候補者12人の選出の可否について特集を組んだ。その中で、今年殿堂入りの有資格1年目を迎えた元外野手のブラディミール・ゲレーロ氏について「彼の時代に最も恐れられた打者」と言及している。

 ゲレーロ氏の殿堂入りを後押しする実績は少なくないという。打撃では歴代24位の.533という長打率を残した。さらに、初めて規定打席に到達した1998年から11年連続で打率3割以上をマークし、100打点以上も10度記録。2002年には39本塁打、40盗塁と「40-40」に迫り、エンゼルス時代の2004年にはMVPにも輝いた。記事ではさらに、守備についても「偉大な守備的右翼手とみなされてはいないが、史上最高の強肩の持ち主の1人」と送球について絶賛している。

 その一方で、指標においては殿堂入りへのハードルも存在するという。四球率8.1は「取るに足らない」とされ、OPS+というセイバーメトリクスの指標については「キャリアでわずか140、歴代76位タイ」と厳しく評価している。得点力の大きさを表すOPS+は100が平均で、ゲレーロの数値は歴代76位に留まっている。

■ゲレーロは「WARが驚くべきほど低い」!?

 さらに、比較対象としてイチローが登場する。「彼のWARもまた驚くべきほど低い。59.3で(1900年以降の)右翼手で15番目だ。最近のボビー・アブレイユ、イチロー・スズキ、ラリー・ウォーカーよりも下だ」。WARとは打撃、守備、走塁、投球を総合的に評価して選手の貢献度を表す指標で、そのポジションの代替可能選手と比較し、どれだけ勝利数を上積みしたかを表す。現在のメジャーで、選手を評価する指標として最も重視されているものの1つだ。

 昨季、メジャー16年目で3000安打の金字塔を打ち立てたイチローは有資格1年目で殿堂入りが確実と米メディアに度々報じられているが、まだ現役選手。背番号51の16年間の通算WARは米データサイト「ベースボール・リファレンス」によると、59.9となっている。ゲレーロよりも上の数字で、この指標がゲレーロにとってマイナス要因と、記事では分析している。キャリア終盤は守備につかない指名打者としてのプレーとなった上、36歳で現役引退したことも「彼の選出に間違いなく痛手となる」という。

 特集では、ゲレーロの得票率は67%になると予想。メジャー史に名を残す強打者も有資格1年目での選出は困難と見られている。現役選手ながら殿堂入り選出の基準で登場するイチローは、いつクーパーズタウンでその偉業を称えられるのだろうか。

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