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DeNAドラフト2位・伊藤裕季也が逆転弾で嬉し涙!立正大が9年ぶりの頂点【明治神宮大会 決勝戦 立正大vs環太平洋大】

 第49回明治神宮野球大会・大学の部決勝が行われ、立正大が6対4で環太平洋大を破り9年ぶり2回目の優勝を飾った。

粘り強い投手陣と強力打線で頂点に立った立正大


 試合を決めたのはまたもこの男だった。打った瞬間、一塁側の味方ベンチに向かって両手を掲げた後、右の拳を振り下ろした。リーグ最終戦、リーグ優勝決定戦、明治神宮大会初戦でも本塁打を放っていた4番の伊藤裕季也(4年・日大三/DeNAドラフト2位指名)が8回1点ビハインドの1死一塁の場面で起死回生の逆転2ランを放ち、これが決勝点となった。

 この大会で常々「監督の野球が日本一だと証明したい」と口にしてきた。日大三高時代は「レギュラーと感じたことは一度もない」と振り返るように背番号はふた桁だったが、立正大入学後に坂田精二郎監督からの指導で大きく変わることができた。そのカギとなったのが「割り切る」ことの大切さだった。坂田監督からサインや狙い球の意図を聞くことで、狙い球を絞って思いきってスイングできるようになった。

 この日も自身の前の打席で小郷裕哉(4年・関西/楽天ドラフト7位指名)が1点差に迫るタイムリーを放ち一塁にいた。それだけに「初球は(俊足の)小郷の盗塁を警戒してストレートを投げてくるはず」と予測。「ホームランを狙っていました」と132キロの甘く入ったストレートを迷わず振り抜きレフトスタンド中段まで運んだ。

 主将という立場ゆえに悩み「苦しい1年でした」と話すが、すべてが報われ嬉し涙を流す有終の美を飾った。

6回には失点に繋がる失策を喫し、3打席目までは無安打だった伊藤だったが最後の打席で試合を決めた


★第49回明治神宮野球大会決勝戦
立正大 001000140=6
環太平洋大 010003000=4
【立】釘宮、○渡部、糸川−木下
【環】岩永、佐々木、屋良、仲尾、●西山、大原–志賀
本塁打:立正大・伊藤(8回2ラン)

◎坂田精二郎監督
「6回はキャプテンのエラーからの失点でしたが、全員が“カバーしよう”とやってくれました。(逆転本塁打は)小郷が出たことによって、走ってくることを相手が警戒したので、伊藤が初球のストレートをしっかり叩いた。この2人ならではというか、チームでやってきたことが出せました」

◎小郷裕哉(4年・関西/楽天ドラフト7位指名)
「(8回のタイムリーは)外寄りのストレートです。環太平洋大は外への配球が多いので狙っていました。キャプテンのエラーで負けるわけにはいかない、カバーしてやろうと思っていました。監督の野球が強いということを日本一になって証明できて嬉しいです」

◎環太平洋大・岡田拓己主将(4年・岡山東商)
「監督とも後輩とも最後の試合だったので本当に悔しいです。(今年、岡山では)大きな災害があり、野球ができる喜びを胸にこれまでやってきました。勝って恩返しがしたかったのですが、負けてしまって申し訳ないです。(後輩たちには)一日一日を大切に、今日の悔しさを忘れずに日々努力していってほしいなと思います」

ひたむきなプレーと姿勢でチームを引っ張ってきた岡田。卒業後はツネイシブルーパイレーツでプレーする


文=高木遊
写真=中西陽香