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甲斐キャノン!強肩発動でソフトバンクの連覇に貢献 

 【宮入徹の記録の風景】送球だけでプロ野球ファンの心をわしづかみにした。ソフトバンクの甲斐拓也捕手(26)は、広島との日本シリーズで盗塁を1度も許さず、6度二塁盗塁を阻止。打撃面では14打数2安打(打率・143)と振るわなかったが、要所での盗塁阻止が評価され捕手として史上5人目(6度目)のシリーズMVPに選ばれた。

ソフトバンク・甲斐

 1シリーズで6度盗塁刺を記録した捕手は52年広田順(巨人)以来66年ぶり2人目のタイ記録。6連続盗塁刺は52年広田、58年藤尾茂(巨人)の4連続を抜く新記録になった。昨年DeNAとの日本シリーズでも盗塁刺1度で許した盗塁はなし。2シーズンにまたがり7連続盗塁刺を継続中で、阻止率は当然ながら10割だ。

 甲斐は10年に育成ドラフト6位でソフトバンクに入団。14年6月7日の広島戦で1軍デビューを果たすが、当時は登録名・拓也での出場だった。その試合に途中から捕手としてマスクをかぶったものの1軍出場はこの1試合のみでシーズン終了。翌15年も4月1日オリックス戦で前年同様途中からマスクをかぶった1試合だけ。16年は13試合に出場したが、捕手としては12試合22イニングを守り、18守備機会で刺殺16、補殺2が守備成績の全て。盗塁阻止も許した盗塁もこの3シーズンはなく、1軍での強肩披露は17年からになる。

 甲斐キャノンが公式戦で最初に炸裂したのは17年4月9日の西武戦(メットライフ)で場面は5回2死一塁。一塁走者は新人の源田(西武)で4月7日のソフトバンク戦では4回にプロ初盗塁を記録していた。ただし、この時は、和田と高谷のバッテリー。甲斐とのマッチアップは初めてで、東浜の3球目にスタート。甲斐からの送球を二塁手の本多が受け源田にタッチしアウトに。源田は17年に新人ながらパ・リーグ2位の37盗塁を記録。今季も3位の34盗塁と俊足が持ち味。刺した甲斐も刺された源田も記憶に残るプレーになったに違いない。

 それでも17年の甲斐の盗塁阻止率は・324でリーグ3位。1位の田村(ロッテ=・337)、2位の炭谷(西武=・327)にわずかだが及ばなかった。そこから今季は大きく飛躍。盗塁阻止率・447は両リーグを通じ1位。強肩捕手の名を不動のものにした。来季は2年連続最高阻止率の記録が懸る。セ・リーグでは小林(巨人)が16年から今季まで3年連続で1位になっているが、パ・リーグでは細川亨(西武)が06、07年と続けたのが最後。甲斐が来季も1位ならリーグ12年ぶりになる。

 個人の盗塁阻止率が明らかになっているのは56年から。過去に最も長く阻止率1位を続けたのは79~83年梨田昌崇(近鉄)と90~94年古田敦也(ヤクルト)の5年連続。ソフトバンクでは01~04年城島健司(当時ダイエー)の4年連続が最長記録として残る。また、この間の最高阻止率は93年古田の・644。パ・リーグでは66年福塚勝哉(阪急)の・625が最高阻止率だ。古田の場合、シーズン阻止率1位が最多の10度。実働18シーズンで阻止率3位以上が14度と高い阻止率を維持した。91年4月には12連続盗塁刺も記録している。

 もう一人、チームの大先輩である野村克也は南海時代の63年に1度だけ盗塁阻止率1位を記録。このシーズンの野村は全150試合に捕手としてフルイニング出場。143度も盗塁を試みられ盗塁刺76。阻止率は・531と強肩を誇った。加えて全試合に4番で出場。打率・291(8位)、52本塁打(1位)、135打点(1位)とあきれるようなタフネスぶりを見せた。甲斐の1軍キャリアは始まったばかり。歴史に残る偉大な捕手達にどこまで近づけるか。来季以降が待ち遠しい。(敬称略)