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米国で注目高まる「eスポーツ」 スポーツに新たな価値を加える可能性も


米国ではスポーツ界のネクストウェーブとして「eスポーツ」への注目度が高まっている。各プロリーグ、そしてチームもeスポーツがもたらすビジネスチャンスに注目し、提携を結ぶなど動きが活発に。NBAのヒューストン・ロケッツは、プロスポーツチームで初めてeスポーツ事業を担当する人材をフロントに雇用した。

■日本でも「eスポーツ」のイベントに選手が参加し、空想と現実の世界が融合

 米国ではスポーツ界のネクストウェーブとして「eスポーツ」への注目度が高まっている。各プロリーグ、そしてチームもeスポーツがもたらすビジネスチャンスに注目し、提携を結ぶなど動きが活発に。NBAのヒューストン・ロケッツは、プロスポーツチームで初めてeスポーツ事業を担当する人材をフロントに雇用した。

 eスポーツの可能性には野球界も着目している。MLB30球団の出資によって設立された「MLBアドバンスド・メディア」が所有する動画配信会社のBAMテックは、人気ゲーム「League of Legends(リーグ・オブ・レジェンド)」を開発したライアットゲームズと約340億円に及ぶ契約に合意し、大会等の放映権を獲得した。MLBが持つビデオストリーミングのプラットフォームを活用。すでに世界選手権が6度開催されている「リーグ・オブ・レジェンド」という新たなコンテンツを取り入れることとなった。

 日本ではまだeスポーツがプロ野球球団と本格的に契約を結ぶ動きは見られていないが、先日はeスポーツ大会の「パワプロフェスティバル2016」が開催され、パ・リーグからは北海道日本ハムファイターズの大谷翔平、東北楽天ゴールデンイーグルスの小関翔太、埼玉西武ライオンズの秋山翔吾、千葉ロッテマリーンズの高濱卓也、オリックス・バファローズの駿太、福岡ソフトバンクホークスの福田秀平、川島慶三と合計7人の選手が参加。選手たちがゲームで対決するなど、空想と現実の世界が融合を果たした。

 こういったイベントだけではなく、テレビゲームは試合を盛り上げる演出面ですでに活用されている。東北楽天ゴールデンイーグルスは、昨シーズンの6月10日に「ファミスタナイター」をKoboスタ宮城で開催した。ファミリースタジアムの発売から30周年を記念し、オリジナルTシャツをセットとしたチケットを販売。そして、試合中の場内ビジョンや音楽もこの日限定の「ファミスタナイター」仕様にするなど試合を盛り上げた。

■今後も色々な形でゲームとリアルの世界が融合?

 プロスポーツにとっても、肖像権が発生するテレビゲームは、これまで収入源の1つとして存在してきた。米国でも、最高峰のベースボールゲームの1つである「MLB THE SHOW」では実在するMLB選手たちを使用することができる。このゲームの表紙を誰が飾るかは毎年、注目されており、表紙を飾った選手が調子を落とすなどというジンクスが存在すると噂になっている。

 2010年、2011年はミネソタ・ツインズのジョー・マウアーがMLBを代表する選手として表紙を飾った。彼はチームの選手、スタッフにゲームをサイン入りで配布。私も受け取ったことから非常に印象に残っている。しかし、残念ながら怪我に見舞われ、ジンクスを証明してしまう形となった。

 今後、色々な形でゲームとリアルの世界が融合していく動きは増えていくだろう。これは主観的ではあるが、スポーツゲームは誰しもが現実の世界と比較してしまうため、なかなかそれを上回る体験をしにくい。だが、それでもeスポーツをさまざまな演出やイベントなどで活用することで、スポーツに新たな価値を加える可能性を持っているといえるだろう。

 プロ野球の日本シリーズの前哨戦として、プロの球団に所属するパワプロプレーヤーたちが一戦を交える――。なかなか想像しにくいシーンではあるが、そう遠くない未来にそんな“リアル”な世界が広がっているかもしれない。

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

「パ・リーグ インサイト」新川諒●文

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