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前日本ハム・バース メジャー評価高めた、日本での「2つの成長」とは


日本ハムの10年ぶり日本一の立役者となったアンソニー・バース投手が、日本での「2つの成長」を生かし、メジャー復帰を目指している。

■日本で先発14試合「先発もできるとメジャー球団に示せた」

 日本ハムの10年ぶり日本一の立役者となったアンソニー・バース投手が、日本での「2つの成長」を生かし、メジャー復帰を目指している。「アンソニー・バースは海外で過ごした1シーズンがメジャーリーグ復帰の助けになることを願っている」と報じたのは、デトロイトの地元紙「デトロイト・フリー・プレス」だ。

 バースといえば、マリナーズからFAとなった昨季、日本ハムに移籍。14試合に先発したほか、中継ぎ、抑えを問わずフル回転で8勝をマークすると、日本シリーズでは救援ながら3勝を挙げ、日本一に大きく貢献した。

 記事では、日本でのシーズンをバース自身の言葉で振り返っている。

「日本に行くという決断は、僕と僕のキャリアにとって最高の関心事だったんだ」

 優勝旅行先のハワイから戻った右腕はこう語った上で、日本での経験がメジャーにおける自らの価値を高めた側面を明かしたという。

「僕がリリーフも先発もできるとメジャー球団に示すことができるようになった。特に、このオフの先発投手市場はやや薄いと知って、いい立ち位置に自分自身を置けるようになった」

 記事によると、複数のメジャー球団から興味を持たれ、春季キャンプの招集を求められているという。来日前年はレンジャーズで33試合に登板し、中継ぎとして投げ続けただけに、先発適性を示したことが評価に影響しているようだ。

■「バス」を「バース」と呼んだファンに感謝「超フレンドリーで助けてくれた」

 さらに、日本ではバントや盗塁を多用する野球の適応に苦しむ一方、実はメジャーより日本のボールの方が好きだったことも紹介している。

 本来、名前の発音は「バス」だが、元阪神のランディ・バースにあやかって「バース」と登録された。記事によると「彼らは僕の名前に『ー』を加えて呼ぶんだ。彼らは僕を見て本当に喜んでくれた。人々は超フレンドリーで助けてくれた」とファンへの感謝の意を表している。

 そんなファイターズでの日々で成長したことは、技術面でもあるという。“新球”の習得だ。

 記事では、従来はスライダーが決め球だったが、15年シーズンから投げ始めたスプリットがシーズン終盤から思うような軌道を描くようになり、日本で空振りを取れる球に成長したと語っている。

「今は三振を取るためにスライダーとスプリットの両方を使える。日本での登板では常に、スプリットに頼るようにし、投げられるだけ投げようと心掛けてきた。そうできたことがうれしい」

■メジャー復帰へ「チャンスをまた得た。準備はできている」

 シーズンでは先発から抑え、ロングリリーフまであらゆるポジションを務めたことを回想し、自身のキャリアで初のポストシーズンとなった広島との日本シリーズ第6戦(マツダ)を思い出に挙げている。優勝への王手をかけた大一番に7回から5番手で登板すると、5-4でリードした8回2死満塁の打席でセンター前にタイムリーを放った。

「打席に立って、1球目がきて、2球目がきて、打てのサインが来たんだ。直球がきて、センターにライナーを返して1打点、2点差にしたんだ」

 この試合に勝ち、日本一を達成。充実した日本でのシーズンとなったが、記事によると、本人の気持ちはすでに視線はMLBのマウンドに向いている。

「いいシチュエーションにいる。メジャー契約を探すために帰国するというギャンブルをしている。何が起きても、メジャーリーグレベルのチャンスをまた得たということを知っている。準備はできている」

 このように意気込み、メジャー契約へ向けて調整しているというバース。MLB公式サイトのジェイソン・ベック記者は自身のツイッターで本人がタイガースを含む5、6チームと交渉していると明かしたことを伝えており、契約に向けて着実に近づいている様子。日本で飛躍を遂げた右腕が再び、メジャーの舞台で輝くことを、ファイターズファンも願っているに違いない。

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