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球界NO1遊撃手へ―ソフトバンク今宮が決断した「真逆への転換」


球界ナンバーワンのショートとなるために、汗を流している。ソフトバンクの今宮健太、25歳。昨オフの長崎から、今オフは北九州市の大谷球場へと場所を移し、自主トレに励んでいる。

■目標はフルイニング出場「選手生命に関わらなければ、無理することもある」

 球界ナンバーワンのショートとなるために、汗を流している。ソフトバンクの今宮健太、25歳。昨オフの長崎から、今オフは北九州市の大谷球場へと場所を移し、自主トレに励んでいる。

 1月7日。自主トレをスタートさせたこの日は報道陣へのトレーニング公開日にもなった。約600人という数多くのファン、そして集まった報道陣を前に練習に取り組むと「フルイニング出場は絶対に成し遂げたい」と力強く宣言し、プロ8年目となる今季の誓いを打ち立てた。

 フルイニング出場は、今や球界を代表するショートとなった今宮にとって、超えなければならない壁だ。川崎宗則が移籍した12年にショートで起用されるようになり、13年はレギュラーの座をつかんだ。

 この年に143試合、翌14年は144試合、15年は142試合、そして昨季は137試合に出場。14年に全試合出場はしているものの、フルイニング出場は過去7年間で、まだ1度もない。

「結果を残さないと代打を送られる。ショートはずっと出続けないといけないポジション。選手生命に関わるようなものでなければ、無理することもある」。たとえ、小さなケガを抱えようとも、それを押して出続ける。その思いは強い。

 目標を成し遂げるために、この自主トレでは新たな取り組みに乗り出した。昨オフの長崎自主トレでは、自身で初めて個人トレーナーを呼んで筋力アップをテーマに掲げ、積極的に筋力トレーニングに励んだ。その結果、体重は5キロ前後増え、確かに、パワーアップを実感した。シーズンは打率.245。自身初の2桁本塁打をマークし、キャリアハイとなる56打点も挙げた。

■体重急増で欠場も…自分に合うものは何か考え、たどり着いた答えとは

 ただ、その一方で急激に増えた体重で、動きが重くなるという面もあった。太もも裏の痛みで5月2、3日の日本ハム戦(札幌ドーム)では首脳陣からストップがかかり、欠場も余儀なくされた。

 果たして自分に合うものは何なのか、を考えた。そこで、今オフの北九州自主トレでは方針を真逆に転換した。「体のキレとスピード」に主眼を移し、新たなトレーナーと会話を重ねた。

 トレーニングも様々な形でのダッシュや切り返しといった瞬発系のメニューが中心となり、筋力トレーニングも必要以上に行わないことにした。体重も75キロ前後のキープを目安に置く。球界で右に出る者のいない広大な守備範囲、そして、誰もが認める強肩も最大限に発揮できるはずだ。

 昨オフは高田知季、牧原大成という年齢の近い内野手3人で自主トレを行ったが、今オフは川瀬晃、育成選手の曽根海成を呼んだ(高田はリハビリのため、今オフは不参加)。若手の成長にも一役買うなど、チームリーダーとしての自覚も芽生えてきている。

「毎年言っている3割を打ちたい」。打撃面での数字の目標はこう掲げる。1年間ケガのない体を作り、内野の要となるショートの位置を守り抜く。そして、悲願の3割を――。その先に「球界ナンバーワンショート」の称号が待っている。

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