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ドラフト展望(セ・リーグ各球団動向編)

■チームの色が出る今回のドラフト

【写真提供:共同通信社】


 今年のドラフト候補を見渡すと、清宮幸太郎(現・日本ハム)が話題を一身に集めた昨年とは異なり、スカウトの関心は各選手に分散されている印象を受ける。とはいえ、今年もプロの門をたたくのにふさわしい実力者が投打ともにそろっており、チームづくりの方向性がより鮮明に映し出されるドラフトとなりそうだ。本稿では現状の編成を念頭に置きながら、セ・リーグ各球団の主な指名動向を探っていきたい。

■打倒・広島に向けた戦力アップを図る3球団

 圧倒的な強さでリーグ3連覇を達成した広島。今年のドラフトの主要テーマは、菊池涼介や田中広輔の後釜探しと、投手陣の底上げの2点だろう。前者にうってつけなのが、苑田スカウト統括部長もそのセンスにほれ込む小園海斗(報徳学園高)。一方、後者では剛速球が売りの甲斐野央(東洋大)が候補に挙がる。同期の梅津晃大(東洋大)もポテンシャルが高いと評判だ。力強い直球が魅力の両右腕は、同タイプの薮田和樹や岡田明丈らを獲得してきた広島好みの選手といえる。
 前年の最下位から躍進を遂げ、今季は2位につけたヤクルト。さらなる高みを目指すには、先発ローテーションの強化が不可欠。そこで、松本航(日本体育大)上茶谷大河(東洋大)といった即戦力ピッチャーを指名したい。さらには、本格派右腕の清水昇(国学院大)にも熱視線を送っているようだ。野手では外野手の若返りを図るべく、ともに俊足巧打の逢澤崚介(明治大)小郷裕哉(立正大)の獲得もありうる。

 徐々に若い戦力が台頭し、覇権奪還へ歩を進める巨人。1位指名の最有力は、“二刀流”で今夏の甲子園を沸かせた根尾昂(大阪桐蔭高)だ。複数球団による競合が濃厚だが、もし獲得できれば坂本勇人の後継者に最適な人材だろう。仮に根尾の抽選を外した場合、同じく世代交代を進める外野手として3拍子そろった辰己涼介(立命館大)を獲得できれば御の字だ。投手ではリリーフ左腕が不足気味ということもあり、高橋拓已(日本生命)あたりを指名したい。

 惜しくもAクラス入りを逃したDeNAは、今季のチーム防御率がリーグ5位に終わった投手陣の立て直しを目指す。1位指名の有力候補には、先述の松本や上茶谷とともに、今夏の甲子園で吹き荒れた“金農旋風”の立役者である超高校級右腕・吉田輝星(金足農高)も加わる。高校生ながら即戦力と見込んでいるところからも、その評価は高い。野手では全体的に手薄な若い内野手を補強したい。チームの主砲・筒香嘉智の後継者となりうる林晃汰(智弁和歌山高)太田椋(天理高)増田陸(明秀日立高)など、底知れぬポテンシャルを秘めた高校生がその候補となる。

■新監督の下で再建を目指す中日と阪神

 新監督に与田剛氏を迎え入れ、来季は7年ぶりのAクラス復帰を目指す中日。すでに先述の根尾を1位で指名することを公言した他、垣越建伸(山梨学院高)万波中正(横浜高)といった高校生をリストアップするなど、一気に若返りを図る方針のようだ。一方、リーグワーストのチーム防御率に終わったブルペン陣を建て直すべく、即戦力投手の獲得も不可欠。そこで栗林良吏(名城大)勝野昌慶(三菱重工名古屋)ら、地元・東海地方出身の実力者を狙いたい。
 矢野新監督が就任し、最下位からの巻き返しを狙う阪神。1位指名の候補には先述の根尾やチームメートの藤原恭大(大阪桐蔭高)らの名が上がる中、2位以下でも将来的にチームの核となれる逸材を獲得したい。候補は中国地方の剛腕・引地秀一郎(倉敷商高)や、強打が自慢の野村佑希(花咲徳栄高)濱田太貴(明豊高)といったスケールの大きい高校生だろう。ただ、今季はチーム防御率が8年ぶりに4点台へと沈んだこともあり、プロ1年目からの活躍を見越せる投手も欲しいところ。特に先発、救援ともに左腕が不足しており、平尾奎太(Honda鈴鹿)富山凌雅(トヨタ自動車)といったサウスポーの獲得も考えられる。

 12球団の思惑が絡み合い、これまで数々のドラマを生み出してきた一日が今年も間もなくやってくる。運命のドラフト会議は10月25日に行われる。

※データはすべて2018年10月17日終了時点

TBSテレビ「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」番組公式サイト
http://www.tbs.co.jp/baseball-draft/