- 高校野球
2018.10.24 17:53
人懐こいハーフは規格外のパワーの持ち主 万波中正(横浜)
「時は来た!ドラフト指名を待つ男たち」
「ブラッグス(元横浜)やブーマー(元阪急)を見ているようだった」。こんなスカウトのコメントが新聞に載った。1年夏の神奈川県大会、横浜球場でライナーでバックスクリーンの電光掲示板下の看板にぶち当てた。135メートル弾は強烈だった。
コンゴ人の父と日本人の母のハーフ。運動神経がずば抜けていて、中学校では陸上部に所属し砲丸投げで都大会で優勝している。
東京都練馬区生まれで中学では東練馬シニアではピッチャーで全国ベスト4。
最終的には高校通算40本のホームランを放ってきたが、2年秋から不調に陥っていた。寮のメンバーから外れて自宅通学も。今夏の南神奈川県大会の1次登録でまさか、20人のメンバーから外れた。最終的には「13」番をつけることになるが、このショック療法が本番で効いた。
左足のかかとを上げて少し開きぎみに構えて、ヘッドスピードを最速にするためにコンパクトに。打球はアッという間に飛んでいく。準々決勝ではバックスクリーンに直撃弾。そして素質を100パーセント見せたのが「4番センター」に座った鎌倉学園との決勝。あと1メートルで場外ホームランとなる140メートル特大2ランなど、フェンス直撃のスリーベースとツーベースを放った。6試合で24打数13安打12打点という覚醒した成績だった。パワーは今年の高校生で最強という評価がある。
また、「手足が長く、ピッチャーの方が面白い」と言うスカウトもいる。去年の夏の甲子園でもマウンドに上がっているし、今年の南神奈川で3回3分の2を投げて1失点だった。最速は146キロだ。
平田監督は「頭がよくて悩むことが多い。迷いがあって、バッティングに悪影響が出ることがある」と不振時のことを話している。いろんな苦労を吹き飛ばしての100回大会の甲子園出場だった。
しかし、甲子園では結果が残せなかった。1年では出番なし、2年ではヒット1本だけで、投げても3分の2回を投げて2失点。最後の夏もレギュラーの「9」番をつけたが、3試合で14打数2安打に終わった。2安打は3回戦の金足農戦。吉田輝星からのものだったが、最後のチャンスではスライダーを空振り三振。また、吉田に頭上を越されるホームランを打たれて、屈辱の完敗だった。
恵まれた体格に足のサイズは30センチ。メディアとも人懐こく話す人気者だ。
(文・清水岳志)
TBSテレビ「プロ野球ドラフト会議」番組公式サイト
http://www.tbs.co.jp/baseball-draft/