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大学野球

長いリーチがしなる長身サブマリン 若山蒼人(中部学院大)

「時は来た!ドラフト指名を待つ男たち」

若山蒼人 わかやま・あおと
崇徳高→中部学院大
投手・右投右打・188センチ84キロ
1996年7月27日生(22歳)


 魅惑の長身サブマリンだ。188センチの体を沈ませ、長い腕を下からしならせる。下手投げは球速が出にくいが、好調時のストレートは136キロに達したこともあるという。打者を差し込む球質のストレートと、浮いて曲がる独特のスライダーが軸。さらにカーブ、カットボール、ツーシームも操り、打者を翻弄する。

大学2年夏にアンダースローに転向した。高校時代はオーバーハンドやサイドハンドで投げていたが、登板機会に恵まれなかった。中部学院大の原克隆監督が「身長があるし、指先の感覚がよい選手なので、アンダースローでもおもしろいと思った。サイドハンドのままだと、同級生に速球派の井上(祐太/社会人野球内定)もいて重なるので」と、腕を下げるよう若山に勧めたのがきっかけだ。

若山は「アンダースローは柔らかさと下(下半身)の粘りが大切。走り込みや投げ込みで下半身をつくり、ストレッチで柔軟性を高めながら、シャドーピッチングでフォームを固めていった。最初は全然腕が下がらなかったが、誰かを無理に真似ることはせず、投げやすいフォームを心掛けた」と転向当時を振り返る。2年秋から公式戦のマウンドに上がると、4年春にはリーグ最優秀投手賞を受賞。侍ジャパン大学代表の候補にも入った。

中部学院大は近年、ドラフト候補や有望株が目白押し。野間峻祥、床田寛樹、平岡敬人(いずれも広島)と過去4年で3人がプロ入りした。今年の4年生も、10人近くが社会人野球へ進む見込みだ。下級生にも伊藤健太、村橋主晟、中井雄亮など好素材が並ぶ。全国でも指折りの“虎の穴”で伸びてきた若山は、その将来性も含め、魅力たっぷりだ。

昨今、プロのアンダースローの代表格は社会人出身者が多い。渡辺俊介(元ロッテほか)や牧田和久(パドレス)、山中浩史(ヤクルト)などだ。しかし昨年のドラフト会議では高橋礼(ソフトバンク)や同じ岐阜学生リーグの與座海人(西武)が大卒で指名されていて、若山にもその可能性が膨らんでいる。

文・写真=尾関雄一朗