BASEBALL GATE

高校野球

1年から名門の『6』を背負う 坂本クラスの将来性 太田椋(天理)

「時は来た!ドラフト指名を待つ男たち」

太田椋 おおた・りょう
天理
内野手 右投右打 181センチ 76キロ
2001年2月14日生まれ

 「高校生の野手でセンスがあるのはショートを守っている」とベテランスカウトに教えられたことがある。大阪桐蔭・根尾、報徳学園・小園、日大三・日置、常葉大菊川・奈良間、東海大相模・小松、明秀日立・増田などなど。今年はショートに好選手が特に多かった。その中でもプロの熱視線を集め、評価は上位にランクされるだろう、大型遊撃手だ。

 出身は大阪羽曳野市。ダルビッシュ有が育った羽曳野ボーイズに籍を置いて、ジャイアンツカップで全国準優勝。U15のアジアチャレンジの代表経験がある。
 父親の太田暁氏はかつて近鉄にドラフト指名されたプロ野球選手。今でもオリックスでバッティングピッチャーを務める。

 天理の中村良二監督と父は近鉄でチームメイトという間柄だった。元同僚の子息を育てた指揮官は、「体が頑丈でポテンシャルはお父さんより上。下級生の頃から物おじしないメンタルの強さがあった」と評しているという。中高の6年間、ケガでの離脱がなかったというから、頑強さは本物だ。
 1年夏には既に名門天理の背番号『6』を背負い、県大会は5番を打った。次の新チームからは3番に。甲子園に出たのは2年の夏。自身は4試合で3失策を犯し、打っては16打数4安打2打点といま一つだった。それでもチームは47年ぶりに準決勝に進出した。

 バットを寝かせ気味に担いで構えて、最短距離でボールにインパクトする。高校通算本塁打は31本。今夏も県大会で2本放った。ショートのライバルの動向は気になっていた。報徳の小園がバックスクリーンにホームランを打ったことを新聞で知ると、「ハートに火が付いた」と自身の準々決勝で外角低めを右中間のスタンドに叩き込んだ。右方向への長打が出るように磨いてきた成果が出た一打だった。しかし、主将としてチームを引っ張ったが県大会の決勝で打ち合いの末、奈良大付に敗れた。
 思い切りのいいバッティングと「打撃より守備を見てほしい」と本人が言う堅実な守りも評価されている。

 憧れはヤクルトの山田哲人。「将来は巨人の坂本のような選手になる」というスカウトも多い。
 人柄を垣間みせるエピソードを紹介する。天理では公式戦のベンチ入りメンバーを選手間のお互いの投票で決めるという。太田は1年夏から3年夏まで全てに満票の得票だったそうだ。チームメイトからの信頼は絶大だった。ついでに本人も自分に投票していたことになる。孤高であり、人望厚い遊撃手だ。