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「日本で大谷以外に期待できる選手」…米メディアが挙げた5人の名前とは?


米メディア「リバー・アベニュー・ブルース」は、大谷以外の“注目株”として5人をピックアップ。史上初の2年連続トリプルスリー(打率3割、30本塁打、30盗塁)を達成したヤクルトの山田哲人内野手については、ヤンキースが獲得に動く可能性もあると言及している。

■「日本球界に注目の選手は何人かいる」、山田にはヤンキースが獲得に動く可能性も?

 日本ハムの大谷翔平投手は、すでに米国から大きな注目を浴びている。早ければ来オフにもメジャー挑戦に踏み切る可能性があり、その場合は大争奪戦になると見られている。ただ、日本球界には大谷以外も才能あふれる選手が多く存在する。米メディア「リバー・アベニュー・ブルース」は、大谷以外の“注目株”として5人をピックアップ。史上初の2年連続トリプルスリー(打率3割、30本塁打、30盗塁)を達成したヤクルトの山田哲人内野手については、ヤンキースが獲得に動く可能性もあると言及している。

 特集記事は、「大谷の他に日本球界で将来に期待が持てる選手はいますか?」という質問に、同メディアに記事を寄稿している米CBSスポーツ(電子版)のマイク・アクシサ記者が答える形で構成されている。同記者は「大谷のもたらすインパクトには及ばないだろうが、日本球界にも注目の選手は何人かいる。MLB挑戦の可能性を秘めた有望選手は投手が現在多い」として、「近い将来にMLB球団が関心を示すであろう5選手」を紹介。アルファベット順に掲載している。

 まず最初に名前が挙がっているのが、日本ハムの有原航平投手。昨季の新人王は、今季22試合登板で11勝9敗、防御率2.94と活躍。10年ぶりの日本一に大きく貢献した。記事では「最速96マイル(約155キロ)の速球と幅広い変化球を投じる。決して圧倒的な球種はないが、コマンドに優れ投球術を熟知している」と称賛。さらに、大谷とチームメートであることが、注目を集める大きな理由になっているという。

「大谷の同僚ということもあり最近はMLBのスカウトの注目も集めている。大学時代に肘を故障しているが(これは間違いなく赤信号だ)、より経験を積めば、MLB移籍の候補者となるだろう。伸びしろは限られているかもしれないが、ローテーション中盤を任せられる投手となるチャンスはある」

 メジャーで先発ローテーションを担える素材だと評価している。

■大谷の同級生・藤浪も「素晴らしい」

 続いて登場するのが藤浪。アクシサ記者は、藤浪がドラフト時に大谷よりも高く評価されることもあったとして、「素晴らしい」と能力を称えている。課題として「コントロール」を挙げ、「彼は対戦打者の9.2%に四球を与えている」と指摘。直球やスライダーで三振を量産することに触れつつ、「藤浪は日本球界において2番目のプロスペクトであると考えられているが、22歳という年齢もあり大谷と同様の問題に直面することになる」と、新労使協定のもとでは契約に制限がかかることにも言及している。

 花巻東高時代にメジャー挑戦を選択するか注目された菊池雄星投手も、リストに入った。岸孝之投手が楽天にFA移籍し、来季は西武のエースとして期待がかかる左腕について、「キャリアはアップ・ダウンの連続」と指摘。「最近はカーブ、スライダー、チェンジアップを駆使して打者を打ちとっている」と分析している。さらに「菊池の将来的なMLB挑戦希望は、高校時代の経緯からも明らかだ。FAまでは3年を残し、ポスティングは西武次第であるが、彼は25歳であり年齢的な問題は影響を与えない」と紹介。「空振りを奪える左腕はいつだって魅力的だ」という。

 2014年の日米野球で、メジャーの打者を相手に5回無安打無失点の快投を見せた則本昂大投手(楽天)の評価も高い。アクシサ記者は「3年前に楽天ゴールデンイーグルスのエースの座を受け継いだ則本は、確かな実力を備えているが、身体のサイズは小柄だ。多くの球団は小柄な投手に懐疑的だ。角度のある投球ができず、フライボールピッチャーとなってしまう点を懸念している」と、投手としては小さい身長178センチの体格が懸念材料になると分析。それでも、「則本は90マイル台中盤(150キロ前後)の直球とスプリット、スライダーを駆使して空振りを奪う」と能力を称えており、「先月、3年契約を結んだこともあり、近いうちのMLB挑戦はないだろう。残念だ」と締めくくっている。

 そして、最後に登場するのが山田だ。昨季、トリプルスリーを達成した24歳は、今季も打率.304、38本塁打、102打点、30盗塁をマーク。2年連続トリプルスリーは史上初の偉業となった。内野手であることも大きな魅力で、すでにメジャー球団から大きな注目を浴びているという。

■山田がポスティングされれば「ヤンキースが獲得に乗り出すかも」

「過去3年、特にここ2年で山田は日本球界で最も圧倒的な打者となった。彼は日本球界初の本塁打王と盗塁王を同時に獲得した選手だ。日本シリーズでは『レジー・ジャクソン的な』活躍も見せ、3打席連続ホームランを放った」

 プレーオフで圧倒的な勝負強さで「ミスター・オクトーバー」と呼ばれた伝説のプレーヤーを例に挙げ、山田の実績を称えている。さらに、アクシサ記者は、山田がメジャーでどれほどの成績を残すことができるかを予想。「特筆すべきスイングスピードを誇る右打者で、ストライクゾーンの見極めも確かだ。MLBでの30本塁打、30盗塁は難しいだろうが、20-20を達成するポテンシャルは秘めている。内野手としては魅力的な数字だろう」。20本塁打、20盗塁は可能だという。

 記事では、これまで日本人内野手がメジャーで苦しんできたことを振り返り「守備での課題が打撃にも影響を与えてきた」とも指摘。「山田との契約はリスクもある」としながら「私の予想ではパワーとスピードを兼ね備えた彼には、数百万ドルを投じる球団もあると思っている」と予想している。

 そして、名門球団が動く可能性も示唆。「ヤンキースは日本球界に関心を示しており、本当に気に入る選手が出てきた場合は獲得に乗り出すだろう。ケイ・イガワのときの様な性急さは見せないだろうが」と言及している。

 山田が来季も同様の成績を残せば、オフに巨額契約となる可能性もあるため、「ヤクルトはポスティングシステム(入札制度)」とも分析。ヤンキースの二遊間は現在、スターリン・カストロ、ディディ・グレゴリウスが務めているが「20代半ばでパワーとスピードを兼ね備えた内野手は常に需要がある」として、「遊撃のプロスペクトを多く抱えるヤンキースであっても、山田がポスティングされれば獲得に乗り出すかもしれない」としている。その場合は、カストロを三塁で起用し、山田を二塁に据えることになると具体的な起用法にも踏み込んでいる。

 大谷を含め、来オフに海を渡る選手は出てくるのか。メジャー球団は、日本球界のスター選手に熱視線を送っている。

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