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2018.09.05 09:15
スーパーラウンド進出 宿敵韓国とどう戦うか
日本の2戦目、スリランカ戦は初回、先頭の小園海斗がライト前のヒットを果敢に走って、ツーベースにして勢いをつけた。ワイルドピッチもあり、2番の奈良間大己の犠牲フライで先制すると藤原恭大、野尻幸輝のタイムリーなど4点を挙げた。
3回に3点、4回には5点を着々と加えて、6回コールド、15対0でスーパーラウンド進出をあっさり決めた。
ただ、打撃陣について永田裕治監督は注文をつけた。
「フライが多かった。フライを上げて捕球されてワンプレーで終わるのではなく、強い打球を転がすことで捕らせて、投げさせて、一塁で捕らせてという三つのアクションをさせたい。そうすると何が起きるかわからないので」
この日の先発は渡邊勇太朗。
スリランカのトップバッターに9球粘られた。球数を減らしていきたいところだったが。「ストレートで押して行こうと思ったんですが、当てに来ていて驚いた」と言う。2回は1四球を出したが併殺で切り抜け、3回は3者三振に仕留めた。結果的には3回をノーヒットに抑えることができた。
「格下相手に40球は多いと思います。改善していかないと。ボール球が多かった。一つの四球も余計だった」と反省を口にした。
永田監督も渡邊には期待するから厳しい。
「出だしが悪いなと。途中からエンジンはかかってくるんだけど。これはいつも一貫してる・・・」
リリーフした山田龍聖には合格点を与えたが、奥川恭伸には「スピードは出るんだけど。ボールが高いなぁ。末恐ろしいピッチャーになる要素は持ってるんですが。今はいい勉強をしてると思いますが、3年生の思いも感じて欲しい」と期待を込めた。
ここまでの2試合は勝って当然の相手。本音は調整。真剣勝負の中で整えられる場でもあったから、首脳陣の求めるレベルは高くなる。
さて次は、中盤の山と永田監督が言う韓国戦だ。勝っておけば有利にスーパーラウンドを戦える。去年、清宮幸太郎(現日本ハム)率いるチームがカナダのワールドカップの準決勝で、破れていて決勝進出を阻まれた。1、2回に先発の田浦文丸(現ソフトバンク)が打ち込まれて5失点。藤原、小園の1、2番コンビも二人で9打数1安打と抑え込まれ、足も封じられた。
永田監督が決意を言う。
「体も大きいし、打撃陣はシュアだし力もある。足もある。ピッチャーも150キロぐらい投げるのが何人もいると聞いてます。去年、先輩たちが負けているので、その思いも持って戦いたい。選手もテンションが上がるでしょう。日本の野球がどうできるか、ここから始まる」
今大会は投球制限のルールがある。105球を投げてしまうと、中3日を空けなければ次に投げられない。また、50球以上だと中1日の間隔が必要になる。さらに連投は3日まで。監督が公式会見の日に頭を痛めていた。
「球数制限は初めてのことなので悩みます。105球はどのイニングになりそうかとか、ここまでなら明日も行けるとか。バッターに粘られて1イニングに30球とか費やすと、どこまで投げさせるか困ってしまう」
だから根尾昂と野尻の二刀流のできる選手を選べて助かった、と言う。
「根尾にはほんと、助けてもらうよ。野尻は1次選考には入っていなかったけど、選んだ意味は大きい。役割はたくさんある」
日本チームはこれまで投げた全員が次戦に登板できる布陣だ。首脳陣が苦心して2試合で状況を作って来た。そしてもちろん、まだ登板していない柿木蓮、吉田輝星の両輪が休養充分でスタンバイする。貴重な左のリリーフのできる板川佳矢、そして切り札的な存在であろう、根尾もいる。
そこで韓国戦の先発は誰になるだろうか。
「吉田と柿木のどちらか? いや、投げていないピッチャーがまだ、いますよね(笑)全員が105球、50球をオーバーしてませんよね。連投ができるところを踏まえて考えたい。先もあるしね」
永田監督は煙に巻いた。
吉田が韓国戦を前にして言う。
「どの試合でも投げる準備はして来てるんで。韓国は日本のようなシャープなスイングではなくて、ホームランを狙ってくるような下から振り上げてくる力強いスイングだと思う。これには自分の持ち味の高めのストレートで空振りが取れると思う。今日も50球、ブルペンで投げました。二日間、投げたい気持ちを持ちながらしっかり調整出来た」
そして夏の優勝投手の柿木。
「韓国とやるというのはみんなも意識していると思う。強いチームとやって通用するのかなとワクワクします。大阪桐蔭で甲子園の決勝にも投げさせてもらって、プレッシャーを力に変えて投げて来た。大きな試合に先発できるのは意気に感じる。でも、任されたところでベストを尽くします。吉田と同部屋で早く投げたい、と常に言い合ってます。バチバチ行こうな、と。韓国とは中学のボーイズ代表の世界大会で対戦しました。先発して3回まで抑えて、4回に点を取られました。最後はサヨナラ勝ちでしたが、強かったです。日の丸を背負わせてもらっているので先輩の分もやらないといけないし、先輩が勝てなかった相手に勝ちたいなと思います」
そしてどう、点を取るか。永田監督の対策はこうだ。
「打てなかったら足を使ったり、逆方向に打ったりできるチームを目指そうと。さらに言うと球数をたくさん放らそうとミーティングで言いました。いいピッチャーも球数制限で代わってくれるので。当てに行くんじゃなくて、振ってファールで粘る。簡単に打ち取られないように」
韓国はスリランカに対して日本と同じ15対0。台湾に対しては41対0の完全試合だった。若干、日本の得点を上回った。
韓国とはオリンピックでも、WBCでも、どのクラスで対戦してもプライドをかけて大接戦になる。緊張感どっぷりの重たい試合を期待したい。
(文・清水岳志)