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プロ野球

魔球に魅せられて…大ベテランのメジャー再挑戦


◆ 大家がマイナー契約

 アメリカから驚きのニュースが飛び込んできた。あの大家友和が、ボルティモア・オリオールズとマイナー契約を結んだというのだ。

 このところ話題に上がることも少なかった40歳右腕が、突然のアメリカ球界復帰。結果を残せば、8年ぶりのメジャー昇格も十分にあり得る。

 1994年のドラフト3位で横浜(現DeNA)に入団した大家。横浜では通算6年で1勝に終わるも、メジャーでは通算10年間で51勝を挙げた。

 メジャーではレッドソックスからエクスポズ(現ナショナルズ)、ブリュワーズ、ブルージェイズ、インディアンスと渡り歩き、2010年に古巣・横浜へ復帰。初年度は7勝(9敗)をマークしたものの、2年目はケガにも苦しみ0勝6敗。オフに戦力外通告を受けた。

 横浜を戦力外になってからも、野球を続けた右腕。BCリーグ・富山などでプレーしながら、アメリカ独立リーグにも挑戦。今季はBCリーグの福島でプレーしていた。

◆ “魔球”に魅せられて

 かつての大家と言うと、150キロを超える速球とキレのあるスライダーで勝負する本格派だった。メジャーでもこの速球を武器に、2002年には13勝8敗という好成績を挙げている。

 現在はその頃の球威は陰をひそめているものの、新たな武器を手に入れた。それが「ナックルボール」である。

 横浜を退団した2011年から、投球の幅を広げるべく取り入れ始めた“魔球”。一般的な投げ方は人差し指、中指、薬指をボールに対して立てるようにし、それを弾くようにして投げるボールのことを言う。

 限りなくボールの回転数を抑えて投げるため、打者の手元に来るまでに不規則に変化しながら落ちる。投げる方も捕る方もどこに来るかは分からないため、当然打者としても打ちづらい球になる。

 ナックルの使い手として最も有名な選手といえば、レッドソックスなどで活躍したティム・ウェイクフィールドだろう。

 メジャーで生き抜く術としてナックルに活路を見出した右腕は、投球のほとんどをナックルが占めるといういわゆる“フルタイム・ナックルボーラー”としてメジャー通算200勝も達成した。

 ナックルボーラーは力投が減ることから肩や肘への負担も軽くなるため、投手としての寿命も長くなると言われる。実際、ウェイクフィールドが引退したのは45歳のことであった。

 いまなお現役のナックルボーラーというとR・A・ディッキーがいるが、ディッキーも来年で43歳。来季から新天地ブレーブスへの移籍が決まるなど、まだまだメジャー球団から必要とされている。

 ナックルを武器にメジャー復帰を目指す大家は、果たしてどこまで通用するのか。メジャー昇格が叶う日をたのしみに待ちたい。