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プロ野球

新人王の“大穴”候補? 来季の「大卒3年目」選手を探せ!


◆ 史上初!「大卒3年目」の新人王

 2016年のプロ野球。パシフィック・リーグの新人王に輝いたのは、日本ハムの25歳右腕・高梨裕稔だった。

 山梨学院大の出身で、2013年のドラフト4位で日本ハムに入団。前年まで一軍登板は2試合のみだったが、プロ3年目の今季は中継ぎとして一軍に定着。シーズン途中から先発に転向すると、そこから負け無しの8連勝を記録するなど、チームの大逆転Vを支える原動力となった。

 規定投球回には達しなかったものの、37試合・109回と2/3を投げて10勝2敗、防御率2.38という成績が評価されて新人王に選出。本人は「大卒3年目という新人感のない僕が獲っていいのか…」と謙遜したが、楽天のルーキー・茂木栄五郎とわずか15ポイント差という激戦を制し、プロ野球史上初の“大卒3年目の新人王”が誕生した。

 
◆ 新人王のルール

 「新人感のなさ」を挙げた高梨であるが、新人王にはきっちり定められた規定があり、それを満たしていれば1年目でなくとも新人王を受賞できる資格を持つ。

【新人王資格】
・海外のプロ野球リーグに参加した経験を持たない選手。(※国籍は問わず)
・初めて支配下登録されてから5年以内の選手。
・前年までの出場が30イニング以内の投手、または60打席以内の野手。 

 この3つを満たせば良いため、年齢などの制限はない。また、これまでは日本人選手しか受賞していないが、今年もソフトバンクのロベルト・スアレスに1票投票があった通り、日本人でなければいけないという制限もないのだ。

◆ 実力者が多い来季の「大卒3年目」

 さて、ここで気になるのが“ネクスト・高梨”の存在。「新人感のなさ」から注目度を落としがちな新人王の“穴候補”はどれくらいいるのか、ということである。今回は高梨と同じ「大卒3年目」という選手にスポットを当ててみた。

 来季で「大卒3年目」を迎えるのは、2014年のドラフト組。この年の大卒投手は即戦力も多く、すでに一流の成績を残している選手も多い。

 実際のところ、2014年組がルーキーイヤーの2015年に新人王を獲得したのが、有原航平(日本ハム)と山崎康晃(DeNA)の2人。共に大卒のドラフト1位ルーキーであった。

 そのほかにも、貴重な中継ぎ左腕として1年目から巨人の投手陣に割って入った戸根千明や、DeNA躍進の立役者となった左腕の石田健大などなど、すでに一軍で活躍を見せる選手が多い。

 ただし、その一方で苦しい戦いを強いられる選手というのも当然いる。たとえば中日から2位指名を受けた左腕の浜田智博や、巨人4位の田中大輝。この2人は来季から育成契約となっている。ケガもあるとはいえ、たった2年で育成へという厳しい現実もあるのだ。

◆ “大穴候補”は誰だ!?

 では最後に、そんな来季の大卒3年目選手たちを一気にご紹介しよう。2017年の新人王争いをかき回す存在は出てくるのか。大卒3年目を迎える選手たちは以下の通り。

【来季の大卒3年目・投手】 ※通算イニング数順
259.1回 有原航平(日本ハム) ☆15年・新人王
224.2回 石田健大(DeNA)
119.0回 山崎福也(オリックス)
114.0回 山崎康晃(DeNA)☆15年・新人王
76.2回 戸根千明(巨人)
56.0回 薮田和樹(広島)
32.1回 佐野泰雄(西武)
――▼ 新人王資格あり――
14.2回 金子 丈(中日)
10.1回 風張 蓮(ヤクルト)
6.0回 田中英祐(ロッテ)
3.0回 中島彰吾(ヤクルト)
2.0回 島袋洋奨(ソフトバンク)
2.0回 宮崎敦次(ロッテ)
0.2回 浜田智博(中日・育成)
登板なし 田中大輝(巨人・育成)

 投手は育成を含む8名が資格アリ。顔ぶれもバラエティに富んでおり、中でも甲子園春夏連覇左腕のソフトバンク・島袋や、京大出身のロッテ・田中は話題性という点でも大いに注目だ。

 ほかにも一軍・二軍両方のデビュー戦で危険球退場という苦いスタートを切ったヤクルト・風張や、ドラフト9位の中日・金子など、悔しさをバネに這い上がるというストーリーも楽しみなところ。高梨に続く選手の登場に期待したい。

【来季の大卒3年目・野手】 ※通算打席数順
624打席 中村奨悟(ロッテ)
393打席 江越大賀(阪神)
284打席 福田将儀(楽天)
213打席 野間峻祥(広島)
167打席 外崎修汰(西武)
143打席 山下幸輝(DeNA)
95打席 フェルナンド(楽天)
――▼ 新人王資格あり――
49打席 近藤弘基(中日)
1打席 加藤匠馬(中日)
出場なし 田中貴也(巨人・育成)
出場なし 寺嶋寛大(ロッテ)
出場なし 原 泉 (ヤクルト)
出場なし 大坂谷啓生(楽天・育成)

 野手では中日・近藤に期待。育成4位でのプロ入りも、今年7月に支配下登録入りを掴むと、巨人とのデビュー戦ではプロ初安打・初打点を含む3安打の鮮烈デビュー。低迷するチームに活気をもたらした。

 現在は台湾で開催中の「2016アジアウインターベースボールリーグ(AWB)」に参加。強打のウエスタン選抜チームの中で17試合中16試合に出場し、打率.278で2本塁打、10打点を記録している。

 プロ入り初登板でノーヒッターという衝撃デビューを飾った父・真市も届かなかった新人王へ…。近藤弘基の3年目に注目だ。