BASEBALL GATE

プロ野球

「アーティスト」田中将大の流出阻止へ ヤ軍は“10年”契約に延長すべき!?


シーズン終了後に契約をオプトアウト(破棄)して、フリーエージェントになる権利を持っている田中将大投手について、ヤンキースは今オフにも契約延長を検討するべきだと米メディアが伝えている。今シーズン終了後のオプトアウトを阻止するために、さらに3年間契約を延長して“10年契約”にすべきだという内容だ。

■来季終了後に契約破棄が可能な田中、2020年までの7年契約だが…

 来シーズン終了後に契約をオプトアウト(破棄)して、フリーエージェントになる権利を持っている田中将大投手について、ヤンキースは今オフにも契約延長を検討するべきだと米メディアが伝えている。2014年に楽天からポスティングシステム(入札制度)で加入する際、日本人右腕と7年総額1億5500万ドル(約178億円)の大型契約を結んでいるヤンキースだが、今シーズン終了後のオプトアウトを阻止するために、さらに3年間契約を延長して“10年契約”にすべきだという内容だ。

「ヤンキースにとって、今シーズンオフはマサヒロ・タナカとの契約延長を検討する絶好の機会」と題して特集記事を組んだのは、米メディア「リバー・アベニュー・ブルース」。米CBSスポーツ(電子版)のマイク・アクシサ記者が寄稿している。

 同記者はまず、メジャー3年目の今季31試合に登板して199回2/3を投げ、14勝4敗、リーグ3位の防御率3.07、同5位のWHIP(1イニングあたりの被安打+与四球)1.08をマークした日本人右腕について「マサヒロ・タナカはヤンキースにおいて最高の先発投手であるだけでなく、彼はMLBで最も素晴らしい先発のひとりだ」と絶賛。「CC・サバシアの全盛期以降、彼はニューヨークで最も優れた投手である。そして10年以上前に最盛期を迎えたマイク・ムッシーナ以来、最も優れた先発右腕だ」。2000年以降、ヤンキースを支えてきた名投手たちの名前を並べ、田中の実力を強調している。

■同じオプトアウトの権利を保持していたサバシアは11年に契約延長

 ただ、田中は今季終了後に3年残る契約を破棄して、FAになる権利を保持している。来季以降は19年まで1年2200万ドル(約25億3000万円)、20年のみ2300万ドル(約26億4500万円)の契約を結んでいるが、今季同様の成績を残してFAになれば、年平均3000万ドル(約34億6000万円)程度の条件のいい契約を手にすることは確実だ。「今オフシーズン、ヤンキースは田中との契約延長について考えなければいけない。オプトアウトが実行される前に」。アクシサ記者はこう訴える。

 記事では、田中と同じようにヤンキースと7年契約を結びながら、3シーズン終了時点でオプトアウトの権利を持っていたサバシアと比較。かつてのエース左腕は2011年シーズン終了後にFAとなることも可能だったが、さらに契約を2年(1年はオプション)付け加える形で延長し、残留した。

 まず、来シーズン終了後の田中(28歳)と当時のサバシア(31歳)は3歳違うため、「年齢の差は大きい」と指摘。さらに、巨漢のサバシアに加えて田中は怪我の可能性が低いことや、投球スタイルの違いも大きいという。「全盛期のサバシアは純然たるパワーピッチャーだった。90マイル台のファストボールと素晴らしいスライダーで支配的な投球をしていた。田中はどちらかと言えば、アーティストである。破壊的な球速を持ち合わせているわけではない。彼は緩急をつけて打者を出し抜く」。契約をさらに伸ばしたとしても、リスクは低いとの見方だ。

 また、1年目の靭帯部分断裂で右肘の不安を指摘され続けてきた田中だが、今季は200イニングの大台にあと1/3イニングに迫るなど、その状態に“ケチ”がつくことは少なくなってきた。アクシサ記者「田中は誰よりも優れていることをヤンキースは知っている」と分析。「田中の健康面と肘の状態は誰よりも良いということをヤンキースは知っている」と推測した。

■延長すれば18年以降の契約は6年総額181億超えに!?

 さらに、「ヤンキースが田中の気を引くためには3年9000万ドル前後の契約に何かを付け加えなければならないだろう。現在、トップのFA先発投手は年俸3000万ドルを得ている。ザック・グリンキー、デビッド・プライス、クレイトン・カーショー、そしてマックス・シャーザーも同様だ」と指摘。スーパーエース級の投手たちに揃えて、7年総額1億5500万ドルに3年総額9000万ドル(約10億3600万円)程度の契約をつけ加え、2023年まで“延長”するプランを勧めている。

 そうなれば、2018年以降の契約は6年総額1億5700万ドル(約181億円)となる。アクシサ記者は「コール・ハメルズ(レンジャーズ、6年総額1億4400万ドル=約165億7000万円)やジョン・レスター(カブス、6年総額1億5500万ドル=約178億円)と同等の契約だ」と言及。ヤンキースのエースとしてふさわしい額と言えそうだ。

 田中については、米スポーツ専門サイト「SBネーション」も「2017年より先もヤンキースはマサヒロ・タナカを引き留めるべき」との見出しで特集記事を組むなど、来季終了後の動向に注目が集まっている。名門球団が今オフから何かしらのアクションを起こす可能性もあるのだろうか。

関連リンク