- プロ野球
2016.12.12 14:15
「野球を一生好きになってほしい」早稲田大学野球部OB現役プロ野球選手たち、野球普及・振興への想い。 「Hello!WASEDA プレイボールプロジェクト」初開催!
1901年創部。1905年には早くもアメリカ遠征をおこない、今に至る日本野球の礎を築くなど常に「進取の精神」を貫き、今年創部115周年を迎えた早稲田大学野球部。東京六大学野球の中で、他大学と覇権を争いながら、今年のドラフトまでに所属経験者127人をプロ野球へ輩出してきた。
2016年12月11日(日)、そんな早稲田大学野球部の本拠地であり、1988年に早稲田キャンパス内にあった安部球場から移転後、先達たちの汗を引き継いできた東京都西東京市東伏見「安部磯雄記念野球場」に子どもたちの歓声が響いた。この日行なわれたイベントは「Hello!WASEDAプレイボールプロジェクト~野球を始めよう、楽しもう、学ぼう~」。 子どもたちと一緒に参加したのは、野球を「始める」「楽しむ」「学ぶ」を掲げ、野球に触れ、好きになってもらうためにこのプロジェクトを立ち上げた早稲田同大学野球部OBの6名である。
そのメンバーは福岡ソフトバンクの左腕エース和田毅投手(2002年度卒)を最年長に、MLBヒューストン・アストロズの青木宣親外野手(2003年度卒)、横浜DeNAの貴重な中継ぎ・須田幸太投手(2008年度卒)。大学時代は早稲田の黄金期を築いた北海道日本ハム・斎藤佑樹投手(2010年度卒)。さらに千葉ロッテの正三塁手・中村奨吾内野手、北海道日本ハムの日本一に大きく貢献した有原航平投手の2014年度卒コンビと、まさに豪華そのものである。
そんな6人はまず、青春を過ごした場所で早稲田大学野球部の所在地である西東京市を中心に170名以上が集った参加者たちの前であいさつ。その後は晴れ渡った空の下、様々な角度から野球との接点を広げるイベントに参加した。
野球を「始めよう」という視点では、筑波大学硬式野球部の川村 卓監督が推進する「ならびっこベースボール」を実演。打った選手が目印まで走り、ホームベースまでまた戻ってくる前に、飛んできた打球をつかんだ選手のところに守備者が集まればアウトというルールの鬼ごっこ風「野球遊び」である。野球離れが加速する今、まだ野球をやっていない子供や経験の浅い子供向けに、まずは遊びの中から野球に入ってもらうという趣旨のゲームである。
このゲームでは青木宣親外野手、斎藤佑樹投手が参加。子どもたちとともに歓声を上げながら楽しんだ。ゲーム後の青木外野手は「参加してよかった。自分自身も野球となるとやたら張り切っていたし友達もいっぱいできた。そんな子供たちが増えてくれればいいな」と目を細めながら未来のメジャーリーガー候補生たちに託す夢を語っている。
また子供たちに野球を「楽しんでもらう」という観点からでは「ワセダゲーム競技会」を開催。これは「四球・盗塁・バント・パスボールなし」といった特別ルールにより、純粋に投げる・打つの勝負をピックアップ。かつ全員が全他ポジションを順繰り自由に経験していく野球ゲームである。
勝利至上主義に陥りがちな昨今の日本の少年野球に対して、楽しい野球を子供たちに返すという目的のもと、ゲームがおこなわれた。子供たちと接した和田毅投手も「野球が楽しいという記憶や経験が残れば。」と子供たちのチームに交じり、積極的に子供に声掛けをおこなった。
この日初めてピッチャーにチャレンジした選手は緊張感からかなかなかストライクが入らない場面もあったが、四球なしルールによって子供たちが互いに声をかけあい、時に励まし合いながら試合を進めていく雰囲気が自然とできることに。
そんな雰囲気に子供たちも次第に伸び伸びとプレーしはじめ、須田幸太投手や中村奨吾は子供たちに交じってプレーし、声を掛け合う場面が見られたり、有原航平選手の投球をヒットする選手も出るなど、大人も驚くスピードで自主的にプレーの質を高めていった。
そして「学ぶ」の面では室内練習場を使って、和田毅投手の大学時代からの専任トレーナーでもある土橋恵秀氏が「肩・ひじ故障予防講習会」も開催。ここでは「楽しくて調子が良いときこそ怖いのがケガ。楽しく、そして上達のために一番邪魔なものだから、周りがしっかり見てあげないといけない」と語り、けが防止へ向けて保護者や指導者に対して野球界の宝である子供たちのけが防止に熱弁をふるった。
また、もう1つの「学ぶ」ではプロ野球選手によるキャッチボール、バッティングのデモンストレーションも実施。斎藤投手と有原投手のキャッチボールや、青木、中村両選手のロングティーの披露など、子どもたちからはプロのスピード、パワーに感嘆の声が上がり、野球への興味も一層高まった様子。約7時間にわたった「Hello! WASEDAプレイボールプロジェクト~野球を始めよう、楽しもう、学ぼう~」はこうして大盛況のうちに第1回の幕を閉じた。
イベント終了後、最年長の和田毅投手はこのように今後の展望を語った。「『手ごたえを感じる』というのはまだまだ先の話。野球普及・振興のためにもっとアクションを起こしていかなくてはいけない」と。
野球創世記から他大学と連携しながら、野球発展に大きな役割を果たしてきた早稲田大学野球部。それから100年の時を超え2016年、子供たちに「野球を一生好きになってほしい」と活動する早稲田大学野球部OB現役選手たちの普及への想いは、西東京市東伏見の地から他地域・他大学の賛同と協力を得る中でさらなる広がりを目指していく。