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インテリ左腕は東大・宮台だけじゃない!北大医学部左腕・三木田龍元がNPB入りを目指すワケ

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三木田龍元(みきた・りゅうげん)
出身地: 北海道札幌市
球歴:新琴似ウィンキーズ(リトル・硬式)→札幌北リトルシニア(硬式)→小樽潮陵高→北海道大(1年休学、来春卒業予定)→ウィン北広島
身長・体重(ポジション):176cm・78kg(投手/左投左打)
最高球速:140km/h
球種:ストレート、カットボール、フォーク

★大学院合格も独立リーグ入り

「小学生くらいの時はプロ野球選手になりたいと思っていましたが、高校と大学で上には上がいると感じました。でも今回、トライアウトで声を掛けてもらい、遠いところではないのだなと思いました」
 来季から独立リーグの四国アイランドリーグplusに挑戦し、香川オリーブガイナーズでプレーする左腕・三木田龍元投手。
 異色の球歴の選手も珍しくない独立リーグの中でも際立つのは、三木田が現在、北海道大学医学部の4年生ということだ。
 2歳上の兄が重度の知的障害を抱えていたため、幼い頃から医療は身近なところにあり、その世界を志していた。さらには、気象予報士の資格も取得しており、大学院(北海道大学環境科学院地球圏科学専攻雪氷寒冷圏科学コース)にも合格している。それでも、三木田は「NPB入りを目指すため」と、独立リーグに進むことを決めた。

★休学、気象予報士

 北海道大の所属する札幌学生野球連盟は、盟主的存在の道都大や、今年春秋連続で全国8強入りした東海大北海道キャンパスらが所属。北海道大は長年1部で戦いながらも、特に両校の壁は厚かった。
 そんな中、三木田は4年目のシーズンを迎える上で「3年後期から1年間休学」という決断を下していた。
「保健学科の4年生は4月から8月までの4ヶ月間、病院実習があるんです。それがリーグ戦に被ってしまってはチームに迷惑をかけますし、自分としても最後の1年間は野球をしっかりやりたかったんです」と理由を明かす。
 その決断が上手くいき、昨春には6季連続優勝中だった道都大に完投勝利を挙げるまでになった。一方で、練習やアルバイトの合間にできた時間で、医療と気象を合わせた生気象学に興味を持つと、その学習にものめり込んでいく。
 そして、趣味感覚で始めたはずが、2度目の試験で難関の気象予報士資格取得に成功。大学院では生気象学を学ぶつもりでいた。

★NPBを目指すことになった意外なきっかけ

 だが、教授の定年退職に伴い、大学院では生気象学は学べないことになった。そのため、進路に迷っていると、独立リーグ挑戦が浮かんできた。復学した後は、クラブチームのウィン北広島でプレーしていたが、そこに同じ志の先輩がいたことや、23歳にして自己最速の140km/hをマークするなど、野球の実力がまだ年々向上している手応えもあった。
 そこで、BCリーグと四国アイランドリーグplusのトライアウトを受験。双方で合格し、NPB輩出者の多い香川オリーブガイナーズに入団した。
 ここまでは進学校、国立大、クラブチームでプレーしてきただけに、自主的に練習メニューや試合での配球を考えて力を伸ばし、勉学にも力を注いで道を切り拓いてきた。
 逆に来年からは、NPB経験者を中心とした指導陣のもとで野球に専念する環境に身を置く。そのため、これから自身も想像つかない成長をする可能性も大いにある。
「球の出所の見づらさや、回転数は球速以上のストレートを投げられているので、球速だけじゃないというのを証明したいです。また、しっかり時間も環境も整っているところで、どれだけ自分の力を伸びせるのか凄い楽しみです」
 これまで自らの力でコツコツと歩みを進め、目標を達成し続けてきただけに、初めて足を踏み入れる四国の地でも、不安より好奇心の方が勝っている。そんな印象を言葉の節々から感じることができた。

文・写真=高木遊