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厳しい競争待つも復調の兆しあり ホークス攝津は輝き取り戻せるか


12月9日。ヤフオクドームに設けられた会見場では、攝津正は悲壮な決意をにじませていた。今季自己最少となる登板わずか7試合。右腕にとっての2016年は、悔しさだけが残る1年となった。

■悔しい1年過ごしたホークス攝津、来季復活なるか

 12月9日。ヤフオクドームに設けられた会見場では、攝津正は悲壮な決意をにじませていた。今季自己最少となる登板わずか7試合。右腕にとっての2016年は、悔しさだけが残る1年となった。

「投げるポジションはもうないと思っている。まずはそこをつかめるようにしていきたい。緊張感や危機感はこれまでも常に持っていたので変わりはないが、先発の枠を自分で勝ち取れるように。同じ失敗をしないよう、反省を生かしてやっていきたい」

 来季は3年契約の2年目。この直前に行われていた契約更改交渉では、年俸4億円プラス出来高契約でサインしたが、その立場は、これまでとは比べものにならないほど厳しいものとなっている。

 今季は5年連続の開幕投手を託されたが、開幕3試合で計15失点。4月7日のロッテ戦後に登録を抹消されると、ファーム暮らしは約4か月に及んだ。8月3日の西武戦で1軍復帰して今季初勝利を挙げたが、同10日のオリックス戦後に降格するなど、今季だけで4度のファーム降格を味わった。

「その中で、もう1度自分を見直すことはできた。まだはっきりとしたものは見つかっていないが、どういうことをやればというのはわかってきた」

 こうも語った攝津。序盤の不振の原因は、フォーム面にあると自己分析する。結果だけを見れば、わずか2勝、防御率5.59と不本意過ぎる内容に終わった。だが、4か月のファーム暮らしから戻ってきた右腕は復調の可能性を感じさせていた。

■来季35歳、かつてのエースは復活できるか

 復帰戦は6回3失点、8月10日のオリックス戦も6回2失点。9月11日の西武戦は5回3失点、そして、9月26日のロッテ戦は5回2/3で降板したが、無失点の好投だった。

 シーズン序盤の攝津は、武器である精密なコントロールに狂いが生じていた。厳しいところを突くものの、それがボールとなりカウントを悪くした。現に開幕戦の3月25日の楽天戦は5四死球。自らを不利な状況に追い込み、痛打される悪循環に陥った。

 復帰後は抹消前に比べ、ストレートの勢いは上がり、武器のシンカー、カーブを交えた緩急も効くようになった。四死球2、3、1、0と四球から崩れることもなくなった。

 かつては150キロ近い真っすぐとコントロールが最大の武器だった攝津。ただ、来季で35歳。真っすぐも140キロ台前半がほとんどになった。かつての相手を抑え込む投球スタイルから、タイミングをズラし、打者に自分のスイングをさせないスタイルへの転換点に来ているのではないだろうか。

 チーム内では千賀滉大、東浜巨といった若手の先発投手が台頭。たしかに、先発枠の争いは厳しい。和田毅、武田翔太、バンデンハークに加え、中田賢一、そして千賀、東浜……。競争を勝ち抜かなければならないのは事実だ。かつてのエースは、再び輝きを取り戻せるだろうか。

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