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大塚光二監督の采配ズバリ「短期決戦には必ず….」 東北福祉大が慶大破り決勝進出【全日本大学野球選手権】

元西武外野手の大塚光二監督率いる東北福祉大と元近鉄外野手の大久保秀昭監督率いる慶應義塾大の対戦となった準決勝第1試合。ミスで逆転を許した東北福祉大が猛打で7対3と逆転勝ち。優勝した2004年以来の決勝進出を決めた。

 東北福祉大は3回表に大西涼太外野手(4年・智辯学園)のソロ本塁打で先制したが、その裏に先発の山野太一投手(2年・高川学園)が連続四球でピンチを招く。すると犠打をやや無理な体勢から三塁へ投じるが悪送球となり、これが左翼手の脇もすり抜けボールが転々。打者走者の生還まで許す手痛い3失点を献上した。

 それでも東北福祉大は、4回に清水聖也外野手(3年・智辯学園)のソロ本塁打で1点を返す。そして、6回に2死から内野安打と連続四死球で満塁のチャンスを作ると、打席には今大会初スタメンの清水敬太内野手(4年・酒田南)。現役時代、日本シリーズにはめっぽう強く「短期決戦には必ずラッキボーイがいる」という大塚監督が打撃の好調さを買って抜擢していた。

 するとその期待に応えるように、清水敬太はセンター前に落ちる逆転適時打を放ち、これが決勝点に。さらに続く吉田隼外野手(4年・国士舘)の2試合連続本塁打となる2ラン本塁打でダメ押した。
 投手陣も山野の後を継いだ藤川昂蓮投手(4年・京都外大西)、三浦瑞樹投手(1年・盛岡大附)、津森宥紀投手(3年・和歌山東)と繋いで、その後得点を許さないなど、終始大塚監督の采配が冴えた結果となった。

リーグ戦出場は3試合ながら5打数4安打っていた清水敬太が見事期待に応えた

★準決勝・東北福祉大vs慶應義塾大
福祉大 001105000=7
慶應大 003000000=3
【祉】山野、藤川、三浦、○津森-岩崎、笹谷
【慶】●高橋亮、田中裕、石井-郡司
本塁打:福祉大・大西《3回ソロ》、清水聖《4回ソロ》、吉田《6回3ラン》

◎東北福祉大・大塚光二監督
「ミスで3点を取られた後に“ミスで取られた点を取り返すのは相当しんどいよ。相当の集中力が必要だよ”と伝えました。(主な慶應対策は)捕手の郡司くんが良い捕手なので配球を徹底的に研究しました。良い捕手ほど“傾向”が出るものなので」

◎東北福祉大・津森宥紀投手
「5回は絶対に抑えてやるという強い気持ちでマウンドに上がりました。相手が勝負をかけてきたのも分かっていたので、自分が抑えたら流れが来ると思っていました。ピンチでいっぱいいっぱいになったら、いい投球ができないので逆に楽しむ気持ちで投げました」

5回のピンチでマウンドに上がり、その後4回3分の2を2安打無失点に抑えた津森

◎慶應義塾大・大久保秀昭監督
「高橋亮吾に、なんとかあの場面(6回)は頑張って欲しかったですが…。左の高橋佑樹に代えることも考えましたが、昨日の練習で足を怪我していて万全ではなかった。でも、たらればではなく、今季は“亮吾で”と決めていたので投手交代に関して後悔はありません。すごく悔しい気持ちと、新チーム結成当初のことを考えたら、よくやったという気持ちです」

◎慶應義塾大・高橋亮吾投手
「(清水聖也、吉田の本塁打は)どちらもインコースのストレートが内に入ってしまいました。フォークの落ちが良くなかったのでストレートが生きませんでした。同じような場面で先発を託されるように、秋までにもっと成長したいです」

今春に被本塁打の無かった高橋亮吾が今日は3本塁打を打たれるなど7失点を喫してしまった

文=高木遊
写真=吉田優