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NY紙が松井秀喜氏の特集記事 長男に「プレーしてもらいたい気持ちある」


巨人、ヤンキースで活躍した松井秀喜氏は現在、ニューヨークを拠点に生活している。2009年のワールドシリーズでMVPに輝く圧巻の活躍を見せ、世界一に貢献。ヤンキースはこれを最後に頂点に立っておらず、「ゴジラ」のニューヨークでの人気は現在も絶大だ。15年3月からはヤンキースのGM特別アドバイザーに就任し、主にマイナーリーグに所属する若手選手などの指導に携わっている。

■NY紙が松井氏にロングインタビュー、ヤ軍GM特別補佐は“終身雇用”!?

 巨人、ヤンキースで活躍した松井秀喜氏は現在、ニューヨークを拠点に生活している。2009年のワールドシリーズでMVPに輝く圧巻の活躍を見せ、世界一に貢献。ヤンキースはこれを最後に頂点に立っておらず、「ゴジラ」のニューヨークでの人気は現在も絶大だ。15年3月からはヤンキースのGM特別アドバイザーに就任し、主にマイナーリーグに所属する若手選手などの指導に携わっている。

 ニューヨークの地元紙「ザ・レコード」電子版は現地時間11月30日(日本時間12月1日)に松井氏の特集記事を掲載。本人にロングインタビューを行っており、その内容は、GM特別アドバイザーとしての仕事や、珍しく家族の話にまで及んでいる。日米で多くのファンを魅了してきたスーパースターは、世界一の大都市でどのような生活を送っているのだろうか。

 松井氏はインタビューの中でまず、「こちらのほうが静かな生活を送れます」と明かしている。日本で松井氏が街中に現れるようなことがあれば、周囲は騒然とするだろう。記事で「マツイの驚くべき長打を打つ能力は彼を母国でスーパースターに押し上げ、ブロンクスで愛される人物にした」と紹介している通り、ニューヨークでも超有名人だが、それほど人の目を気にすることなく生活できているようだ。

 そして、話の内容は、松井氏が普段ほとんど明かすことのない私生活のことへと進んでいく。「家族として、(子供を)育てるには最高の環境だと感じています。僕らがまさに楽しみにしていたものです」。松井氏は2013年3月、第一子となる長男が誕生したことを発表した。現在は子育てに奮闘中だ。「家では日本語を話しますが、学校に行けば英語が話される環境です。だから、僕らはどうなっていくかとても楽しみです」。長男が家では日本語を使いながら、学校では英語を話す“バイリンガル”として育っていることを説明している。

■キャッシュマンGMは松井氏の人柄を称賛「スーパースターなのに地に足の着いた人物」

 また、まだ3歳になっていない長男について「彼が野球に明け暮れるのを見るのは楽しみか?」と聞かれた松井氏は、通訳を待たずに「彼にプレーしてもらいたい気持ちはあります。ただ、段階が上がり続ければ、そこには困難や挑戦があります。結局は彼のとる決断次第です。どこまで行きたいか、どれだけ続けたいか」と答えたという。

 GM特別アドバイザーとしての仕事も順調なようだ。記事で紹介しているブライアン・キャッシュマンGMのコメントからは、松井氏がいかに誠実に役割を果たしているかが伝わってくる。

 同GMは、松井の現在の仕事について「多くの選手は興味をもたないと言ってよい」類のものだとして、「選手からの転身は、フロントオフィスであれ、コーチングであれ、特に多くのスーパースターにとってはカルチャーショックだ」と指摘。メジャーでは、現役時代にスーパースターだった選手が、引退直後に指導者の道に進むケースは少ない。

 キャッシュマンGMは「マツイのケースでいうと、彼は世界的に名高いスーパースターだ」と、特に珍しいことであると強調した上で、「彼はドニー・マッティングリーを想起させる。スーパースターなのに地に足の着いた人物で、とてもよく役割に馴染んでいる」と説明したという。現役時代はヤンキースのスター選手だった現マーリンズ監督を例に上げ、松井氏の人柄を絶賛している。

現在の役割に感じる喜び、「とてもハッピーになれる」

 そして、松井氏自身も現在のポジションで喜びを感じているという。今夏、プレーオフ進出への望みが薄くなっていたヤンキースは、トレード期限直前に主力を大量放出。その代わりにマイナーから有望な若手を引き上げた。その選手たちは、メジャーで躍動。特に、捕手のゲーリー・サンチェスは53試合で打率.299、20本塁打、42打点と圧巻の活躍を見せ、ほぼ後半戦しか試合に出ていなかったにもかかわらず、新人王投票で2位に入った。他にも、ともにメジャー初打席で2者連続ホームランを放つという史上初の離れ業を演じたタイラー・オースティン、アーロン・ジャッジといった選手が存在感を見せた。

 記事では、松井氏がサンチェスらを春にマイナーで見ていたことを紹介し、本人が「とてもハッピーになれる。組織は特定の選手に注目するだろうけど、僕の場合は、誰であっても成功する姿を見るのがハッピーなんです」と話したことも伝えている。

 さらに、特集では「選手時代、マツイは英語でのちょっとした会話に不自由していなかった」と解説しつつ、このインタビューでは長い回答に限って、選手時代から専属通訳を務めるロヘリオ・カーロン氏が訳していたことに言及。選手の指導も英語で行っている松井氏だが、「もし何か特別なこと、細かに伝えることが少し重要な何かがあるときは、通訳にアシストをお願いしています」と明かしたという。若い選手たちとのコミュニケーションにも全く問題はないようだ。

 日本では、松井氏に対して、監督としての巨人復帰を望む声も根強い。ただ、記事では、キャッシュマンGMが松井氏の「能力を見極める偉大な目」を高く評価していると指摘。GM特別補佐として契約延長を続けており、「これは本当に彼次第。彼から得られるだけ得るつもりだ」と、球団は“終身雇用”を望んでいるという。勝負強い打撃と誠実な人柄でプレーヤーとして愛された男は、第二の野球人生でも類まれな能力を見せている。

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