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高校野球

【センバツ甲子園2018②】細川拓哉(明秀日立) 兄・細川成也(DeNA)も届かなかった聖地へ

「一日一日影でしっかり努力していれば、上の世界でも通用するんだなと刺激になっています」
「将来の4番候補」と評される兄・細川成也(DeNA)からの刺激をそう話す弟・細川拓哉。明秀学園日立高校(以下、明秀日立)のエースでクリーンアップを任される大黒柱として、憧れの兄があと一歩届かなかった甲子園出場を掴んだ。
※兄は2016年夏の茨城大会決勝で敗退し甲子園出場はならなかった。


細川拓哉(ほそかわ・たくや)・・・2000年4月6日生まれ。神奈川県出身、茨城県北茨城市育ち。北茨城リトル(硬式)→いわきリトルシニア(硬式)→明秀学園日立高校3年。177cm80kg。右投右打。


★剛の成也、柔の拓哉

 3月23日に開幕する第90回選抜高校野球大会(以下、センバツ)。その初日第3試合で瀬戸内と対戦する明秀日立は甲子園初出場。光星学院(現八戸学院光星)の監督として甲子園に春夏合わせて8回の出場を果たし、坂本勇人(巨人)らプロ野球選手も複数輩出した金沢成奉監督が指揮を執る。
 その金沢監督は弟・拓哉を兄・成也との比較も交え「馬力は兄の方が上ですが柔軟性は弟の方が上」と高く評価する。中学時代にやり投げで全国2位の兄に対し、弟は陸上400mで全国大会準決勝に進出を果たしている。
 そして共通するのが野球に対するひたむきな姿勢、日本人離れしたパワーだ。金沢監督は以前、兄について「練習に対する姿勢は今まで見てきた中でナンバーワンです」と舌を巻いていたが、それに負けず劣らず、弟も金沢監督から伝えられた「投手なら野手を背中で引っ張れ」という言葉を愚直に実行。なんとこの2年間でランニングメニューは常にチームトップ。文字通り背中でチームを引っ張り、チームメイト誰もが認める存在になった。

★浅い投手歴で最速は140km/h台中盤

本格的に投手となったのは1年の夏前で、中学時代もマウンドに上がることはあったが主に三塁手だった。そんな浅い投手歴ながら、昨秋からエースを任せられると、公式戦全10試合に登板して関東大会準優勝に貢献。
 ひと冬を越えて「自分でも分かるくらい体が大きくなって、球威も増しました」と本人が手応えを語るように、このセンバツでは昨秋までの最速144km/hを更新する速球を投げ込む期待は大きい。またこの冬には、山崎康晃(DeNA)を参考にツーシームを習得。投球の幅を広げた。
 家族はもちろん、甲子園出場が決まり街頭などで多くの人から「頑張って」と言う言葉をもらったといい、「甲子園で活躍して、恩返しとして喜ばせたい」と決意をさらに強くしている。
 兄の背中を追いかけ、味方を背中で引っ張り、大きな応援を背に、細川拓哉が聖地・甲子園のマウンドに立つ。

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文・写真=高木遊