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大学野球

柳裕也vs佐々木千隼 注目のドラフト1位対決はお互い涙で終幕。4年生の力を結集させた明治大が優勝【明治神宮大会—大学の部】

試合後悔し涙を見せる佐々木(桜美林大)

試合後悔し涙を見せる佐々木(桜美林大)

11月16日、明治神宮野球大会大学の部の決勝戦が行われた。試合は5回の集中打で逆転した明治大が5対2で桜美林大を下して、野村祐輔投手(広島を擁した2011年以来、5年ぶり6度目の優勝を飾った。また、これで明治大の優勝回数は同大会の単独最多となった。

★「お祭り男」が逆転打
桜美林大 200000000=2
明治大  00004001X=5
【桜】佐々木、土井、邑楽−大平
【明】柳、星—牛島
本塁打:星(明治)

 この4年間で春秋それぞれの全国大会に4度出場しながらも優勝を逃してきた明治大が、4年生を中心に地力の高さを見せて、5年ぶりの頂点に立った。
 初回に、明治大・柳裕也投手(4年・横浜/中日ドラフト1位指名)は球の走りが悪く、桜美林大主将の沼田涼内野手(4年・平塚学園)と村井諒内野手(4年・日大三)の連続タイムリーで先制点を奪われた。
 だが百戦錬磨の柳は、その後の3イニングを1安打に抑え、高い修正能力を見せた。そして、4回裏の攻撃で代打を送られ、大学生活最後のマウンドを下りた。
 そんな柳を救ったのは同期の萩原英之外野手(4年・九州学院)。5回裏に1点差と迫り、なおも2死満塁の場面で佐々木千隼投手(4年・日野/ロッテドラフト1位指名)のシンカーをライト前に運び、これが勝ち越しの逆転2点タイムリーとなった。柳が「お祭り男」と評す萩原が大仕事をやってのけた。

5回裏適時打を放つ萩原(明治大)

5回裏適時打を放つ萩原(明治大)


 また、5回から後を引き継いだのは星知弥投手(4年・宇都宮工/ヤクルトドラフト2位指名)。140km/h台後半から150km/hのストレートとスライダーなどの変化球を織り交ぜ、桜美林大を2安打に抑え込んだ。打っては8回に自らレフトへダメ押し本塁打を放ち、試合を決めた。
 星は最後の打者から空振り三振を奪うと、やや控えめにガッツポーズをし、駆け寄った仲間たちと喜びを分かち合った。

優勝を決めた明治大学ナイン

優勝を決めた明治大学ナイン

 エースでありながら主将を務める柳は、試合後のインタビューで「嬉しい気持ちと、もう明日からこのチームで野球ができない寂しさの両方があります」と開口一番で話し、号泣。
 大学生活最後のシーズンで悲願の日本一達成には、「星がいたので、最初から飛ばすことができましたし、4年生でチームを引っ張ることができました。同期に恵まれ、後輩たちに良いものを残すことができました」と満面の笑顔を見せた。

★佐々木は悔し涙
 試合後、スタンドに挨拶し整列が解けると、佐々木は帽子で顔を覆い悔し涙を流した。取材スペースに現れた際も涙は止まらず「悔しいです。申し訳ない。実力不足でした」と声を絞り出した。
 それでも、創部8年目の桜美林大を全国準優勝にまで牽引した功績は大きい。津野裕幸監督は「中1日で登板の経験はほとんど無いので心配はしていました。変化球のコントロールがつかず、ストレートを狙われてしまいました。さすが明治さんでした」と振り返り、「みんなが1つになってここまで来ることができました」と声を詰まらせながら、快進撃を続けた選手たちを称えた。

文:高木遊
写真:山本晃子