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予想以上? 期待外れ? V逸ホークスの今季助っ人の働きぶりを検証する


3連覇を逃し、リーグ2位に終わったソフトバンク。一時、11.5ゲーム差あった日本ハムにその差をひっくり返され、最終的には2.5ゲーム差で宿敵の後塵を拝した。143試合を戦い、83勝54敗6分け。29個の貯金を作りながらも、屈辱のシーズンを送ったチームの中で、助っ人外国人の働きぶりはどうだったか、検証してみたい。

■明暗分かれた外国人選手の成績、来季の補強ポイントは?

 3連覇を逃し、リーグ2位に終わったソフトバンク。一時、11.5ゲーム差あった日本ハムにその差をひっくり返され、最終的には2.5ゲーム差で宿敵の後塵を拝した。143試合を戦い、83勝54敗6分け。29個の貯金を作りながらも、屈辱のシーズンを送ったチームの中で、助っ人外国人の働きぶりはどうだったか、検証してみたい。

 ソフトバンクの外国人として、真っ先に名前が浮かぶのが、デニス・サファテ投手だろう。今季も守護神として君臨し、大車輪の活躍を見せた。64試合に登板し、防御率1・88をマークし、43セーブ。2位のオリックス・平野佳寿に12の差をつけ、ぶっちぎりで2年連続のセーブ王のタイトルを手にした。

 その一方で痛かったのが、7個の黒星を喫した点だ。広島に加入した11年の来日以来、最多の負け数。しかも、この7敗の全てを同点の場面で登板して食らった。「同点の場面で7敗。それが半分であれば、順位も違ったのではないか」とサファテ自身も悔やむ内容。採点するとすれば、80点といったところか。

 予想以上の働きを見せたのは、今季から加入したロベルト・スアレス投手だろう。メキシカンリーグから加わったベネズエラ人右腕は、メキシカンリーグに加入する前までは、母国のアマチュアでプレーしていた。プロとしてのキャリアはわずか1年だけ。それが、シーズン途中からセットアッパーの座をつかみ、チームに不可欠な存在となった。

 メジャー球団との争奪戦となりながらも、獲得にこぎ着けた大器。ただ、入団当初、工藤公康監督をはじめ首脳陣は、じっくりとファームで育成していく方針だった。だが、セットアッパーとして期待していたエディソン・バリオス投手や森唯斗投手などの調子がイマイチで、4月9日に早々と1軍に昇格した。

 150キロ台後半のストレートとスライダー、フォークを武器に、勝利の方程式に組み込まれて活躍。不安定な投球を見せる時期もあったが、終わってみれば、58試合に登板して2勝6敗26ホールドの成績を残した。札幌ドームで戦ったCSファイナルステージの日本ハム戦では来日後最速となる161キロもマーク。当初「育成枠」と想定していたことを考えれば、十分な結果。6敗を喫したことを差し引いて、採点は90点といったところだろう。

■飛躍を果たせなかったバリオス、バンデンハークもシーズン途中に失速

 スアレスと対照的だったのが、先に名前の挙げたバリオスだろう。開幕を1軍で迎えながら、4月2日の日本ハム戦(東京D)、同5、7日のロッテ戦(ヤフオクD)と3試合連続で2失点を喫し、同8日に登録抹消。6月15日に再昇格するも、同27日のロッテ戦(東京D)で3失点を喫して降格。8月3日に再々昇格を果たしたが、10日のオリックス戦(京セラD)、14日のロッテ戦(QVC)と2戦連続で失点し、3度目の登録抹消となった。

 昨季は藤川球児の持つ17試合連続ホールドの日本記録に並ぶ活躍を見せたが、今季は11試合に投げて、2敗3ホールド。防御率7.82と結果を残せず、採点すれば、30点。今オフに戦力外となり、ウェーバー公示された。

 故障に泣かされたのが、オランダ人右腕のリック・バンデンハーク投手だ。昨季途中からローテに加わり、15試合で9勝0敗と日本一に貢献した右腕。今季は開幕からローテ入り。順調に白星を重ね、5月10日のロッテ戦(ヤフオクD)で5勝目を挙げて、入団から無傷の14連勝をマーク。初登板からの連勝記録、そして外国人連勝記録の2つのプロ野球記録を樹立した。

 歯車が狂いだしたのは5月17日の日本ハム戦(北九州)。5回7失点と大乱調で、来日初黒星を喫して連勝が止まると、5回8安打2失点だった5月31日の中日戦(ヤフオクD)後に全身の疲労感などを訴えて、登録を抹消された。

 短期間で復帰出来ると見られていたが、首痛や股関節の痛みもあって、結局、離脱期間は3か月半にも及んだ。6回6安打2失点で勝利投手となった9月18日のオリックス戦(ヤフオクD)で復帰したが、その後の2度の登板は連敗。13試合で7勝3敗、防御率3.84。2桁勝利を計算出来る投手だっただけに、採点は50点ほどか。

■唯一の助っ人野手は期待外れに…

 野手で唯一の外国人だったバーバロ・カニザレス内野手は、期待外れに終わった。16試合に出場し、39打数7安打3打点0本塁打、打率.179。3度、1軍に昇格しながらも、結果を残せず、いずれも短期間で登録抹消となっており、評価としては20点レベル。

 ウエスタン・リーグでは81試合に出場して、279打数79安打48打点14本塁打、打率.283とそこそこの成績を残していたが、オフに戦力外となり、バリオスとともにウェーバー公示されている。

 V奪還が至上命令となる来季。ソフトバンクにとって最重要補強ポイントとなるのが、一発を打てる長距離砲の獲得。今季、韓国プロ野球のNCダイノスで40本塁打40盗塁を達成したエリック・テイムズ、今季までロッテでプレーしていたアルフレド・デスパイネが候補に挙がっていると言われている。

 以下は、ソフトバンクの助っ人選手の今季の成績。

○デニス・サファテ投手
米ニューヨーク出身。アリゾナ州立大から、01年のMLBドラフト9巡目でブルワーズに入団。アストロズ、オリオールズを経て、11年に広島に加入。西武を経て、14年からソフトバンクに。3年連続で60試合超に登板。NPB通算355試合24勝18敗175セーブ45ホールド、防御率1.63。

○ロベルト・スアレス投手
ベネズエラ出身。メキシカンリーグのサルティーヨからソフトバンクに加入。漫画「あぶさん」の景浦安武が背負っていた背番号90を球団で初めて背負う。58試合で2勝6敗1セーブ26ホールド、防御率3.19。

○エディソン・バリオス投手
ベネズエラ出身。06年にパイレーツに入団し、11年に関西独立リーグの神戸サンズでプレー。11年途中にソフトバンクに加入した。12年に育成契約となり、右肘のトミー・ジョン手術を受ける。13年途中に支配下に再登録されるも、15年は再び育成契約。開幕前に支配下に戻る。今季は11試合で2敗3ホールド。NPB通算46試合2勝5敗1セーブ23ホールド、防御率4.43。

○リック・バンデンハーク投手
オランダ出身。02年にマーリンズと契約し、以後マイナーでプレー。07年にメジャー契約を結ぶと、その後はオリオールズ、パイレーツを渡り歩き、13年からは韓国のサムスンでプレー。15年にソフトバンクに入団。NPB通算28試合で16勝3敗、防御率3.14。

○バーバロ・カニザレス内野手
キューバ出身。04年にドミニカ共和国に亡命。09年にブレーブスに入団。メキシカンリーグや米独立リーグを渡り歩き、14年からソフトバンク。NPB通算38試合に出場。85打数22安打1本塁打8打点、打率.259。

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