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東妻勇輔の2安打完封で日体大37年ぶりの頂点!体育会イノベーション実る

 日本体育大が最速152km/h右腕の東妻勇輔投手(4年・智弁和歌山)の2安打完封で星槎道都大を3対0で37年ぶり2回目の優勝を飾った。

松本と東妻(写真)の2人で3試合1失点と完璧な投球を見せた

★対抗心を糧に頂点へ導く

 最後の打者をライトフライに打ち取ると、東妻は両手を高く掲げて飛び跳ね、すぐに歓喜の輪の中心となった。

 7回から登板した2回戦の九州共立大戦では、「短いイニングなのでリミッターを外しました」と最速152km/h(この日最速151km/h)のストレートとキレのあるスライダーを押していき三振の山を築いた。だが、先発となったこの日は一転、打たせて取る投球で三振はわずか4個ながら、9回を105球で投げ切る冷静な投球術が光った。

 1年生から先発を任されていた同期の松本航投手(3年・明石商)に対抗心を燃やし、新年の目標には「打倒・松本」を掲げた。今春の首都大学リーグでは防御率3.38と苦しんだ松本に代わりエース格となり最優秀投手を受賞。秋は松本との二枚看板でリーグ戦、代表決定戦、そして明治神宮大会を勝ち抜き、念願の日本一へ駆け上がった。

★体育会イノベーション

 この日も1年から4年まで各学年の選手たちがスタメンに名を連ね、決勝本塁打は船山貴大内野手(3年・日大三)、4回表のファウルフライを好捕した高垣鋭次外野手(1年・智弁和歌山)、東妻を好リードした馬場龍星捕手(2年・八戸学院光星)、完封した3年の東妻が活躍した。

 その背景には一昨年冬から始めた古城隆利監督が始めた改革がある。それは、これまで下級生が行っていた雑用を上級生が行うもの。大学選手権8連覇中の帝京大ラグビー部を参考にしたもので、上級生が行動で引っ張り、新しい環境に入ってきた下級生をいち早く順応させるものだ。
 そうすることで上級生はより自覚を持って行動し、下級生はチームの底上げに貢献。チーム内に好循環が生まれた。
「スタンドにいるメンバー外の部員たちが力の限り応援してくれて本当に力になりました」と声を震わせた古城監督。部員171人の力を引き出し、結集させた日体大が37年ぶりの頂点に立った。

2試合無安打に終わっていた船山が決勝戦で大仕事を果たした

★決勝 星槎道都大vs日本体育大
星槎道都大 000000000=0
日本体育大 00002100X=3
【道】●福田、市毛、藤塚、細川−塚原、吉田
【体】○東妻—馬場
本塁打:日本体育大・船山《5回2ラン》

3日で3試合という他校よりハードな日程だったが全員野球と高い守備力で優勝した日体大

文=高木遊、写真=伊藤華子