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HOT GAMES 本間満が斬る『11月1日 福岡ソフトバンク 対 横浜DeNA』

福岡ソフトバンクの3連勝で迎えたSMBC日本シリーズ第4戦(11月1日)。攻守の両面でレベルの高いプレーを続け、横浜DeNAに“点差以上”の強さを見せつけてきたソフトバンクが一気に日本一を決めるかに注目が集まった一戦は、本拠地・横浜スタジアムでDeNAの若い力が躍動。見事、白星をひとつもぎ取った。これで対戦成績はソフトバンク3勝、DeNA1勝。この1勝が今後のシリーズにどう左右するか、そして勝負を分けたポイントについて、ソフトバンクOBの本間満氏に語ってもらった。


——ソフトバンク3連勝で迎えた第4戦、DeNAが理想的な展開で勝利しました。
「そうですね。正直、昨日までの試合運び、また3連勝しているという勢いや打者の調子などを含め、ソフトバンクが一気に決めてしまうんではないかなという気はしていました。ただ、DeNAの濵口投手のピッチングがそれを許しませんでしたね。素晴らしいピッチングだったと思います」

——この試合、まず注目されたのは初回の攻防でした。ここまで3戦では、ソフトバンクがいずれも初回に得点し、先制点を挙げていたので、この日も立ち上がりに注目が集まりました。
「落ち着いていましたね。ルーキーですし、初めての日本シリーズの登板ということもあって、どっちに転ぶかなと思ったんですが、先頭の柳田選手をきっちり打ち取り、ランナーを得点圏に進められながらも落ち着いた投球を見せていたと思います」

——ここまで3戦、一番打者が明暗を分けているとも言われていました。第3戦までノーヒットだったDeNAの一番・桑原選手の第一打席にも注目でした。
「はい。私も注目していましたが、和田投手の初球を思い切って打ちにいって、ヒットにしましたね。本当はこれを得点につなげたかったところですが、続く柴田選手がまさかのバント失敗でした。ちょっと重い空気が流れた部分はあったと思います」

——ここまで3戦、ソフトバンクがミスを逃さず捉えてきた感はあります。
「そうなんです。実際、初回もバントミスのあと、ロペスをショートゴロに打ち取り、最後の筒香選手は見逃しの三振に抑えています。いきなりヒットこそ許したものの、和田投手もさすがというピッチングをみせていました」

——シーズンでは4勝0敗という成績だった和田投手ですが、CSファイナルステージでの楽天戦(第3戦/10月20日)では、5回5失点という内容でした。
「言うまでもありませんが、正直、前回登板ではあまり状態はよくなかったです。それだけに立ち上がりが気になったのですが、きっちり調整してきたなという感じを受けました」

——4回までに5つの三振を奪う投球を見せます。
「いいときの和田投手と言っていいような投球内容だったと思います。真っ直ぐも変化球もキレがありましたし、DeNA打線もタイミングが合っていませんでした。先制点がどちらに入るかというのが非常に気になる展開でしたね」

——その瞬間は5回裏に訪れます。DeNAの5番・宮﨑選手への2球目のストレートでした。
「構えは外だったんですが、甘く入ってしまいました。ちょうど真っ直ぐを待っているところに、引っ張りやすいボールを投げてしまいました。結果的にはこの回、もう1点を失ってしまうわけですが、全体として球威が落ちてきてしまっていましたね。チェンジアップを見極められてしまい、ストレートもスピードが落ちてしまっていましたので、凌ぎきれませんでしたね」

——球数は50球を超えたところでした。
「降板させるタイミングではありませんし、5回は投げ切ってもらわないといけませんから、打たれてしまったのはしょうがないと思います。ただCSから引き続きの内容でしたので、ちょっと不安の残る内容にはなってしまいましたね」

——一方、DeNA濵口投手の快投は続きます。
「本当、振り返って観ても素晴らしい投球でしたね。フォーク、チェンジアップがいずれもソフトバンク打線に非常に有効でした。イニングを重ねてもなかなか対応できずにいましたから、打者にとっては非常にいやらしいボールを投げていましたね」

——8回途中まで、なんとノーヒットピッチングを続けます。
「気迫を感じる投球でした。なにより、今日負ければシーズンが終わってしまうというプレッシャーの中でのこの投球です。みなさん思われていると思いますけれど、この試合は100%濵口投手の力で勝ったと言っていいですよね」

——これで3勝1敗となりました。
「DeNAにとってはもう1試合ホームでできるというメリットが生まれました。ただ、終盤はソフトバンクも明日以降をにらんだゲーム運びをしていました。攝津投手を投げさせたりと、5戦目以降をにらんで、少し余裕のある采配にシフトしていましたから、まずは次の試合ですね。ソフトバンクが王手をかけている事実は変わりませんので、横浜での最後の試合でどうなるか。行方を見届けたいと思います」

——ありがとうございました。


<OBプロフィール>
本間 満(ほんま・みつる)
球歴:駒大岩見沢高→駒沢大→ダイエー・ソフトバンク
1994年ドラフト1位で福岡ダイエーホークスに入団。フットワークの軽さを活かした華麗な守備が魅力。内野ならどこでも守れる万能性に加え、代走でも、代打でも結果を残すスーパーサブとして活躍。2006年には、オールスターにも出場。北海道出身。右投げ左打ち。内野手。