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HOT GAMES 中根仁が斬る『10月14日 埼玉西武ライオンズ 対 東北楽天ゴールデンイーグルス』

14日より、いよいよクライマックスシリーズがスタートした。パ・リーグは西武の本拠地・メットライフドーム、セ・リーグは阪神の本拠地・甲子園球場にて、ファーストステージが開催。短期決戦では、ひとつのミスや、流れを変えるような一打が飛び出すか否かが、レギュラーシーズン以上に勝敗を分けることとなる。ここではパ・リーグのクライマックスシリーズ・ファーストステージをチェックした中根仁氏が、第1戦の勝負を分けたポイントについて語ってくれた。

——西武は菊池投手、楽天は則本投手と両エースによる投げ合いでしたが、結果はまさかのワンサイドゲームとなりました。
「ちょっと予想していなかった展開になりましたね。まずは初回の攻防が明暗を分けました。そして、2回以降も西武が全くといってもいいほどに、楽天に流れを許しませんでしたね」

——立ち上がり、菊池選手はいきなりヒットを打たれ、犠打で得点圏に走者を背負いました。
「はい。そこから、ペゲーロ、ウィーラーを三振にとり、ピンチを脱しました。菊池投手は初のCSでのマウンドということもあり、立ち上がりはひとつのポイントだったはずです。ただ…正直今日の菊池投手はCSの重圧どうこうなんか全く関係ないような素晴らしい投球ぶりでしたね。それだけに、則本投手が初回に死球から先制点を奪われてしまったのは非常に苦しかった」

——浅村選手に高めのストレートを打たれての失点でした。
「球威が武器の則本投手ですから、初回にいきなりまっすぐを打たれてしまったのは厳しかったでしょうね。しかもインコース高めの身体に近いボールをレフトスタンドに運ばれてしまいましたから、バッテリーは迷ってしまったと思います。その後も、試合を見ていた方ならわかると思いますが、西武打線がチーム全体として徹底した攻めをみせていました。低めの変化球はことごとく見逃し、甘く入ったボールをしっかり捉える。基本のようなことですけれど、それを意識しても、今日のように見事に徹底されるというのは、西武側のベンチ含めた準備が素晴らしかったのだなと思います」

——奪三振王に輝いた則本投手は、結果4回7失点。三振は1つしか奪えませんでした。
「西武打線が本当に見事でした。フォアボールも5つ選んでいますし、完全に西武ペースで試合が進んでいたと思います。クセを盗んでいたのかもしれないというほどにことごとく、則本投手の良さを出させませんでした」

——一方の菊池投手は結果的には完封勝利です。
「初回のピンチもそうですけど、2回にも先頭に出塁を許しながら、送りバントを許さず併殺でしのぎました。場面場面で見れば、4回にも2死満塁のピンチを招いたりはしていたんですけどね。いい部分ばかり目立つ、余裕すら感じる投球だったように思います」

——レギュラーシーズン8戦8勝という相性がそのまま発揮された投球でした。
「楽天が悔やむとすれば、そこですよね。西武がきっちり則本投手を攻略してきたのに対し、楽天は全く歯が立ちませんでした。チーム全体としての対策が必要だったのかなと思いますね。これだけ負けているわけですから、無策では当然勝てません。例えば、球種をしぼるとか、方向を決めるとかですね。8番でスタメン出場したオコエ選手、9番の嶋選手のふたりで5打数5三振と、菊池投手に手も足も出ない状態でした。なにか工夫をしなくてはいけなかったと思います。ただ、ひとつ矛盾するようですけど、フォローするとすれば、菊池投手の投球もレギュラーシーズン同等より、さらによかったといっても間違いではないような投球だったと思います。打つのが簡単ではない投手というのは、今シーズンの成績をみても明らかですからね。今日“も”良かったというのが正しい表現かもしれません」

——第2戦、このまま西武が決めてしまうでしょうか?
「もちろん、まだわかりません。ただ、今日7番に入った中村選手に本塁打が出たり、キャッチャーの炭谷選手が猛打賞だったりと、西武に良い要素だらけだったのは間違いありません。楽天の打者陣が、試合の終盤にいかに明日以降の試合をイメージしてプレーすることができていたかが重要です。引き続き、注目したいですね」

——ありがとうございました。


中根 仁(なかね・ひとし)
球歴:東北高→法政大→近鉄→横浜
パンチ力ある打撃と俊足&強肩で活躍した元・近鉄戦士。近鉄で9年間活躍したのち、97年オフに横浜へと移籍。左キラーとして翌年のVに大きく貢献した。東北高では甲子園にも出場し、
ひとつ下の後輩に佐々木主浩。現在は引退後のアスリートを応援するポータルサイト『アスリート街.com』の代表をつとめる。宮城県出身。右投げ右打ち。外野手。