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2017.10.17 12:14
名門で培ってきた勝負勘が光る優勝請負人 飯田晴海(東洋大)
「時は来た!ドラフト指名を待つ男たち」
飯田晴海 いいだ・はるみ
常総学院→東洋大
投手・右投右打・175センチ72キロ・1995年8月30日生(22歳)
チームを勝利、優勝に導いた実績は今年のドラフト候補の中でもナンバーワンと言っても過言ではない。茨城県稲敷郡茎崎町(現つくば市)に生まれ、茎崎第一小時代は茎崎ファイターズのエースとして県内無敵を誇り、小学5・6年時に全国大会に出場。高崎中時代は県南選抜として夏に全国優勝、その秋のKボール全国大会でもオール茨城の一員として全国優勝を果たした。
常総学院高でも3度甲子園に出場し、3年夏には準々決勝に進出。前橋育英の高橋光成(現西武)と投げ合い、完封目前まで行くも右足の故障により無念の降板となり逆転負けを喫した。後日談として、甲子園の初戦で右足の内転筋を肉離れしていたそうだが、故障も癒えて出場したU18W杯では松井裕樹(現楽天)らとともに準優勝を果たした。
そんな勝利の味を各世代で味わってきた飯田だが、東洋大では3年春までわずか2勝に終わった。要因としては、高校1年の時に痛めた右肩の関節唇をそれまでは保存療法としていたが、将来を見据え、大学2年時にクリーニング手術を決断したことが大きい。地道にリハビリを重ねたがリーグ戦での登板は翌年の5月まで遠ざかった。
しかし、秋になり肩の不安がなくなると4勝を挙げて復活をアピールした。そして今春にはエース兼主将という重責を担いながら、4勝を挙げて防御率1.64。安定した投球を見せて、チームを2011年春以来の優勝に導いた。
飯田を支えているのは、高い制球力による四死球の少なさと、最速146km/hのストレートにカーブ・スライダー・カットボール・シュート・フォーク・チェンジアップ・ツーシームを持ち球とする多彩な変化球だ。
今秋はなかなか本調子の内容とはいかなかったが、負ければ春秋連覇が厳しくなる国学院大との3回戦で完封勝利。勝負強さとともに、試合前に高橋昭雄監督から指導を受けて取り入れたトルネード気味のノーワインドアップ投法をものにするなど高い対応力を見せた。
現時点では、ど迫力のボールこそないが大学生離れした投球術は確かなものがある。数々の栄光を所属チームにもたらしてきた飯田に朗報が届くのか。運命の時が近づいている。
文・写真=高木遊