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ダルビッシュ、田中も獲得候補か 世界一カブス、来オフは投手獲得に本腰!?


今季のメジャーリーグで108年ぶりの世界一に輝いたカブス。主力の多くは若手で、このまま黄金期に突入しそうな気配だ。ただ、米メディアから「唯一の弱点」と指摘されているのが先発投手陣。エース左腕のジョン・レスター、最優秀防御率に輝いたカイル・ヘンドリックス以外は来オフ以降の去就が流動的で、数年後も盤石の体制を維持するためには補強が必要となるとされている。

■108年ぶりWS制覇のカブス、黄金期へ「先発投手陣が唯一の弱点」?

 今季のメジャーリーグで108年ぶりの世界一に輝いたカブス。主力の多くは若手で、このまま黄金期に突入しそうな気配だ。ただ、米メディアから「唯一の弱点」と指摘されているのが先発投手陣。エース左腕のジョン・レスター、最優秀防御率に輝いたカイル・ヘンドリックス以外は来オフ以降の去就が流動的で、数年後も盤石の体制を維持するためには補強が必要となるとされている。

 ESPNでは、「カブス王朝の希望は投手陣の決断にかかっている」と題した特集記事を掲載。執筆した敏腕記者のバスター・オルニー氏は先発投手獲得の必要性を訴えているが、補強候補の中にダルビッシュ有投手(レンジャーズ)、田中将大投手(ヤンキース)の名前も登場する。

 オルニー記者はまず、20代の若手が多いカブスの野手陣は、他球団と比較しても強力な戦力が揃っていると指摘。その上で、投手陣については以下のように言及している。

「カブスがナ・リーグでは70年代にビッグ・レッド・マシーンと形容されたレッズ以来となる王朝を築くかどうかは、これから18か月間、どのような投手陣を編成するかにかかっている。もし中地区の他球団がカブスについて考えた時、先発投手陣が唯一の弱点と言えるだろう」

 そして、現在の先発投手陣の状況について解説。「防御率1位のヘンドリクスは26歳と若く、1月に33歳となるレスターにも衰えの兆しは見えない」。記事では、レスターについては“専属捕手”のデビッド・ロスが現役引退したことで新たな捕手に適応する必要があるとも触れているが、2投手は安泰と言えそうだ。

■来オフまでに先発3投手が退団? 市場にはダルビッシュや田中が出る可能性も

 一方で、今季の先発ローテーションを支えた残り3投手は、来オフまでにチームを去る可能性がある。特集でも「残るローテーション3枠は今後数年で入れ替えが必要となるだろう」と指摘した上で「アリエッタは来オフにFAとなり、スコット・ボラスが代理人を務めることもあり巨額の契約が必要となるだろう。来年まで契約が残るラッキーは38歳となり、カブスは彼を手放すかもしれない」と分析している。残る1人のジェイソン・ハメル投手は球団が契約延長オプションを保有していたが、6日(日本時間7日)にこれを破棄したと発表。すでにフリーエージェントとなった。

 今オフにも先発投手の補強が必要となるカブスだが、記事では「今オフFAとなる投手の層は歴史的に見ても悲惨」と指摘。先発投手で目玉となるのは左腕リッチ・ヒル(ドジャース)、右腕ジェレミー・ヘリクソン(フィリーズ)と人材不足は否めない。一方で、「来季は格段に向上する」としており、アリエッタやラッキーの退団が予想される来オフにカブスが先発投手の補強に力を入れることになりそうだ。

 そして、そのリストの中に2人の日本人投手が登場する。

「ダルビッシュ有、アレックス・カッブ、ダニー・ダフィー、マイケル・ピネダ、そして田中将大もFAとなるかもしれない(田中はヤンキースとの契約をオプトアウトできる。しかし、肘の状態次第ではその選択肢は排除されるかもしれない)」

 ダルビッシュは来季で6年契約が満了する。地元紙は、今オフにもレンジャーズが契約延長に動くと報じているが、交渉がまとまらずに来オフに契約満了でFAとなれば、大争奪戦になることは確実。総額2億ドル(約209億円)を超える契約を手にするとも予想されている。ただ、資金力のあるカブスならば獲得も可能で、補強の目玉として動く可能性は十分にある。

 田中はポスティングシステム(入札制度)で楽天からヤンキースに移籍した2014年、7年総額1億5500万ドル(約162億円)の超大型契約を結んだ。契約は2020年まで残っているが、4年が終わった時点で契約を破棄してFAとなることが出来るオプトアウトの権利が盛り込まれている。

■2014年には田中獲得に本腰を入れていたカブス

 今季は31試合登板で14勝4敗、リーグ3位の防御率3.07をマーク。先発ローテーションを1年間守り、大台のシーズン200イニングまで1/3イニングに迫る199回2/3を投げた。名門球団のエースとしての立場を確立。投球内容でも明らかな向上を見せており、来季以降のさらなる”進化”にも期待がかかるシーズンだった。

 まだ28歳ということもあり、来季もこれと同等か、さらにいい成績を残すようならば、現在の年平均2200万ドル(約23億円)よりもいい契約をつかめる可能性は高い。その場合、契約年数も残り3年から伸びることは確実で、オプトアウトしてFA市場に打って出る価値は十分にある。田中が楽天からメジャー挑戦した際、当時低迷していたカブスはチーム再建の目玉として獲得に動き、最後までヤンキースと争奪戦を繰り広げた経緯もあり、FAとなれば再び興味を示すかもしれない。

「カブスの素晴らしい守備は、FAとなる投手にとっても魅力的なものとなるだろう。それに加えて成功を収め、勢いにのるカブスのチーム状況もある。もちろん、話がすべてうまくいくとは限らない。カブスは必要とする投手を獲得するために、中心選手(野手)のトレードも検討する必要があるかもしれない」

 投手にとっても魅力十分のカブスだが、FA市場からではなくトレードで投手の補強に動く可能性もあるとオルニー氏は言及している。いずれにせよ、来オフまでに先発投手の獲得が必要なことは確かだ。黄金期を迎える世界一球団で、日本人投手が先発ローテーションの柱として躍動することになるのだろうか。

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