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【THE ATHLETE】田中将大が窮地で見せた真価、崖っぷちの重圧を跳ね返す快投「こういう試合に勝つため来た」


2016年までにMLBワイルドカードゲームでは20人の投手が先発した。そのうち4回を完了できなかった例はひとつしかない。しかし、今年のワイルドカードゲームでは、4人全員が4イニングを投げ終えることなく降板した。

そんなデータがワイルドカードゲーム終了後に示された。地区シリーズに入っても流れは変わらず、なかなか先発投手が長いイニングを投げる機会はなかった。

そうした中でニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手が現地10月8日(日本時間9日)、アメリカン・リーグ地区シリーズ第3戦の先発マウンドに上がった。

連敗して後がないヤンキースは負ければ今季が終わる崖っぷち。大きなプレッシャーがかかる場面で田中は、クリーブランド・インディアンスの強力打線を7回無失点に抑える。ヤンキースは1-0で勝利し、田中も自身ポストシーズン初勝利をマークした。

MLB4年間で最高の結果
田中は初回から2三振を奪う3者凡退と最高のスタート。四回には三塁打で得点圏にランナーを背負うが、この日はスプリットが冴え渡っていた。今季なかなか安定しなかった球だが、大事な試合で大きな武器になる。

捕手のゲーリー・サンチェスは、「今日の田中はスプリットが低目に決まっていた」と好投の要因に挙げた。

今季の田中はアップダウンが激しい投球内容が続き、地元紙からも「いい田中と悪い田中がいる」と言われた。そして、それは投げてみなければ分からないと。祈るような気持ちで試合開始を待っていたニューヨーカーの目に飛び込んできたのは、力強い投球でインディアンス打線を牛耳る田中だった。

『ニューヨーク・ポスト』は「ヤンキースが最も必要としていたものを届けた」と田中の好投を伝え、「田中はヤンキースでの4シーズンで最も素晴らしい結果を残した」と絶賛した。

ジョー・ジラルディ監督も「彼はシーズン最後の試合でトロント・ブルージェイズから15三振を奪ったが、今夜は勢いのある強力打線を相手に最高のパフォーマンスだった。そして田中はインディアンスをシャットダウンした。ヤンキースで見せた彼の最高の投球だったと言いたい」と称賛。この試合が田中のMLBベストピッチだと評した。

こういう試合に勝つためアメリカに来た
記事は5点差を逆転され落とした第2戦について、「ジラルディはチャレンジの権利を行使しなかったことで、悪名と永遠に結婚した」と満塁弾につながる監督の判断ミスを酷評。リリーフ5人を注ぎ込んだすえの逆転負けによって、田中には長いイニングを投げて勝利することが求められたと試合前の状況を整理し、「それらに田中は完璧に応えた」と非常に意義深い投球を称えた。

自分の投球でシーズンが終わるかもしれない試合での登板に、「プレッシャーはありました」と通訳を介して語る田中。だが、「ここで勝つことができれば、シリーズの流れを変えられるかもしれない」と恐れではなく、奮い立つものがあった。

「おそらく僕がここに来てから一番大きな勝利だったと思います。こういう試合に投げて、チームを勝たせるために来たと思っているので」

田中がポストシーズンで投げるのは2回目。前回は2015年のワイルドカードゲームだった。そのときはヒューストン・アストロズのダラス・カイケルと投げ合い、5回2失点で敗れたが今度は大きな1勝を手にした。

田中将大(2017年10月8日)
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