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2016.11.06 23:02
西武は9人戦力外 画面から消える投手、FAからテスト入団の36歳も1年で…
今季は年間通じてBクラスでの戦いに終始し、4位でシーズンを終えた西武。公式戦全日程終了後、外国人を含む9選手を戦力外とした。
■3年連続Bクラスに沈んだ西武、“ブルペンリーダー”は引退決断
今季は年間通じてBクラスでの戦いに終始し、4位でシーズンを終えた西武。公式戦全日程終了後、外国人を含む9選手を戦力外とした。2年連続Bクラスの屈辱から、最低でもCS出場が至上命題とされた今季だったが、序盤から躓き、一時は最下位にまで転落したほど苦しいシーズンとなった。田邊徳雄監督の辞任を受け、来季は、辻発彦新監督の下、4年ぶりのAクラス入りへ向け再建を図る。
今季最終戦前日には、投手陣を牽引してきたブルペンリーダーが引退を発表。10月に入り、1軍で結果を残しきれなかった投手、テスト入団のベテラン野手らに戦力外が通達されたのち、すでに帰国の途についていた外国人投手3人にも契約解除が正式に告げられた。
引退、戦力外となった選手の現役時代の実績は以下の通り。
○岡本篤志(引退)
入団13年目。通算265試合登板。11勝11敗10セーブ58ホールド、防御率4.34。
2008年に負った股関節骨折の影響もあり、1軍に定着したのはプロ入り7年目の10年だった。以降は、中継ぎの中心として活躍。一時は抑え、セットアッパーを務めたほか、当時の監督・渡辺久信シニアダイレクターから“ブルペンリーダー”に任命されるなど、首脳陣の信頼を得たが、次第に打ち込まれるように。今季、1軍での投球で限界を感じ、引退を決意した。チームの最終戦だった9月28日vs日ハム戦、7回裏に『打者1人限定』で最後のマウンドへ。大野奨太選手から空振り三振を奪い、13年間の現役生活に幕を下ろした。
○星孝典(戦力外 → 引退)
プロ12年目。通算138試合出場。打率1割9分1厘、0本塁打、3打点、2盗塁。2015、16年は1軍での出場機会なし。
巨人から2011年5月に西武に移籍し、出場機会を増やした。だが、正捕手を奪うには至らず、徐々に2軍での生活が増えた。2015年、右手首を手術し、一時は実戦復帰したものの、今季5月に同部位を再手術。ついに戦力外を告げられると、悔いは残しつつも、現役を退くことを決めた。戦力外、引退発表と同時に、来季からは2軍育成コーチ就任も発表された。今季までチームメイトとして戦っていただけに、現役選手に最も近い立場としての若手育成に期待がかかる。
■木村昇は右膝前十字靱帯断裂、竹原も結果を残せず…
○木村昇吾(戦力外)
プロ14年目。通算730試合出場。打率2割6分1厘、3本塁打、71打点、34盗塁。今季は38試合に出場し95打数21安打。
広島からFA宣言をしてのテスト入団として注目を集めたが、6月の一軍練習中に右膝前十字靱帯断裂の大怪我を負い、長期離脱。そのまま戦力外となった。
○竹原直隆(戦力外)
プロ12年目。通算441試合出場。打率2割1分2厘、27本塁打、124打点、6盗塁。今季は22試合に出場し30打数6安打、1本塁打。
2015年秋季キャンプでの入団テストに合格し、今季オリックスから加入。チームに手薄だった右の代打として大きな期待がかけられたが、結果を残せず。6月中旬以降は1軍登録の機会も巡ってこなかった。
○山口嵩之(戦力外)
プロ3年目。1軍登録なし。イースタン・リーグでの成績は通算26試合登板、0勝0敗、セーブ、ホールドとも0。
トヨタ自動車東日本時代、『第50回JABA毎日旗争奪秋季野球大会』にて最高殊勲選手賞に輝いた右腕も、残念ながらプロの世界では通用せず。ポテンシャルの高さを好評価する声は多かったが、発揮できなかった。
○中﨑雄太(戦力外)
プロ8年目。通算15試合に登板。0勝0敗0セーブ0ホールド、防御率8.04。今季は中継ぎとして8試合に登板し、失点、自責とも4。防御率6.00。
昨年末から取り組んだサイドスローへの転向が奏功し、2013年以来キャリア2度目の1軍登録を勝ち取った。「画面から消える投手」として一躍『時の人』となったが、首脳陣の満足する戦力にはなりきれなかった。
■「元メジャー」の台湾人右腕も期待に応えられず
○宮田和希(戦力外)
プロ8年目。通算35試合に登板。1勝0敗0セーブ1ホールド、防御率4.31。今季は6月末に左肘の手術を受け、登板なしに終わった。
2014年から頭角を現し、15年には念願のプロ初勝利。今季はさらなる飛躍が期待されたが、左肘尺骨神経移行手術のリハビリに費やすだけの結果に。一度もマウンドに上がることなく戦力外を通達された。
○フェリペ・ポーリーノ(契約解除)
入団1年目。9試合に登板、8試合に先発。0勝6敗、防御率4.70。
クリーブランド・インディアンスからシーズン途中の5月31日に加入。来日初登板の試合では、勝敗こそつかなかったが5回4安打2奪三振1四球2失点(自責0)と好投。ローテーション入りに期待が高まったが、結局、日本の野球に対応しきれずウェーバー公示となった。
○エスメルリング・バスケス(契約解除)
入団2年目。53試合に登板し、3勝1敗15ホールド、防御率4.24。今季は19試合6ホールド、防御率5.51。
昨季の成績が評価され、2年目の今季は豪速球リリーバーとして、より重要なポジションでの起用が期待されが、精彩を欠き、3年目の契約延長とはならなかった。
◯C・C・リー(契約解除)
入団1年目。18試合に登板し、0勝0敗1ホールド、防御率6.48。
2014年にインディアンズでメジャー初勝利を挙げた速球派右腕に、西武首脳陣はシーズン前からセットアッパーとして多大な期待を寄せたが、期待外れに終わった。
西武の今季チーム成績は619得点、128本塁打、打率2割6分4厘。得点はソフトバンクに次ぎ、日本ハムと並んでリーグ2位タイ、打率もトップの日ハムの次に高い数字となった。さらに、本塁打数はリーグトップと、打線に関しては優勝争いをしても決して不思議はない。となると、やはり一番の課題は、昨季同様、投手力だろう。今季は先発の柱として期待された十亀剣、野上亮磨が揃って不調、さらにエース岸孝之、菊池雄星が途中ケガで離脱し、フル稼働できた先発陣がいなかった。加えてクローザーの高橋朋己が左肘内側側副靭帯再建手術(トミー・ジョン手術)を受け、来季も復帰は難しい。来季へ向け、先発、中継ぎ、抑え、すべてのポジションで再建が求められる。
絶対的エースの岸がFA行使したことで、その動向によっては、来季はさらに厳しいシーズンになることも予想される。黄金期のメンバーの一人・辻監督を招聘し、常勝のメソッドは注入されるか。4年連続Bクラスの屈辱だけは、何としても避けたいところだ。