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【U-23W杯】青山→岸本、“気合”の投手リレーが呼んだサヨナラ劇 「絶対優勝しかない」


5日(日本時間6日)に行われた「第1回 WBSC U-23ワールドカップ」スーパーラウンド3日目。勝ったら決勝進出、負けたら3位決定戦という大事な一戦で、日本は開催国メキシコに3-2でサヨナラ勝ちを収めた。

■前日はエース安楽で大会初黒星、先発・青山は「あの負けをなくすために―」

 5日(日本時間6日)に行われた「第1回 WBSC U-23ワールドカップ」スーパーラウンド3日目。勝ったら決勝進出、負けたら3位決定戦という大事な一戦で、日本は開催国メキシコに3-2でサヨナラ勝ちを収めた。

 同点で迎えた9回、今大会3本塁打の主砲・真砂勇介(ソフトバンク)がきっちり送りバントを決め、劇的な勝利を呼び込んだ。同時に、2失点に抑える力投を見せた青山大紀(オリックス)→岸本淳希(中日)の“気合”のリレーがあったからこそ、打線が勝機を見出せたとも言えそうだ。

 前日に続き、この日も時折激しい雨が降る悪天候での試合となった。優勝を目指すチームにとって、負けたら決勝進出を逃してしまう明暗を分ける試合。大一番を任された先発・青山は、普段以上に気持ちを込めてマウンドに上がった。

「自分の中で本当に気合が入ってました。昨日、安楽(楽天)で負けてしまった。でも、安楽はけっこう責任感の強い奴なんで、(勝てなかったことが)本当に悔しいと思っている。あの負けをなくすには、絶対に優勝しかないと思って(試合に)入りました。で、決勝で総力戦ができるように(自分が)絶対最後まで投げ抜いたろって気持ちでした」

■岸本は8回の先頭打者を空振り三振で「常にガッツポーズが出ちゃう」

 前日のパナマ戦に先発し、今大会では日本に初黒星をつけてしまった安楽は、敗戦の責任を1人で背負い込んでいた。優勝のためにはもちろん、そんなチームメイトから肩の荷を下ろすためにも、気合十分で上がったマウンド。青山は序盤こそ先頭打者を出塁させていたが、次第に持ち味のテンポいい投球を取り戻した。

 決勝進出が懸かった試合で開催国メキシコと対戦するとなれば、アウェー感しかない。だが、そこで動じないのが青山の強み。悪天候も「僕は雨男なんで、雨は自分の中ではいいイメージしかない」とポジティブ思考で、結果は7回を投げて4安打2四死球9奪三振で2失点。「向こう(メキシコ)は2連勝できて、勢いに乗っている。僕はそれをうまくかわしてあげようかなという感じ。気持ちは熱く、頭は冷静にって感じでしたね」と、状況を俯瞰する視点も忘れなかった。

 2点リードの7回に同点2ランを浴びた。この時点で球数は100球に迫っていたが、マウンドへやってきた大塚晶文コーチに、この回を締めくくることを宣言。言葉どおりに空振り三振に斬り、さらなる失点を防いだ。

 そして、同点で迎えた8回は2番手・岸本がマウンドへ。1人目の打者を空振り三振に斬ると、いきなりマウンド上でガッツポーズを決めた。「常にガッツポーズが出ちゃうんですけど」と照れ笑いするが、それだけシビれる場面だった。

■しびれる場面での登板に「自分が出させてもらって、きっちり抑えようと思った」

 1点を許せば、いや走者を背負えば命取りとなる展開。「1点もあげちゃいけない場面で自分が出させてもらって、きっちり抑えようって思いました」と、シビれる場面での救援指令を意気に感じた。今大会での登板は4度目で、いずれも無失点の好救援だ。プロ入りしてから3年、救援のエキスパートとして積み重ねた経験が、世界大会で生きた。

「自分の中ではルーティンのような形で入れました。(10回に)タイブレークになったら歳内さん(阪神)なので、8回と9回は自分が投げるもの。0点で歳内さんに回そうという気持ちでしたね」

 8回を3者凡退に斬ると、9回には2死から走者を出すが、次打者を二ゴロに仕留め、付け入る隙を与えなかった。

 チームの勝利のため、チームメイトの負けを帳消しにするため、「絶対優勝しないといけない」「最後まで投げ抜いたろ」と男気を見せた青山、そして「常にガッツポーズが出ちゃう」と気合を前面に押し出した投球でメキシコを寄せ付けなかった岸本。目標に掲げる優勝に王手を掛ける原動力となった2人の魂の投球リレーには、投手全員、あるいはチーム全員の熱い気持ちが乗り移っていたのかもしれない。

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