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HOT GAMES 門倉健が斬る『8月26日 北海道日本ハム 対 東北楽天』

シーズンも残すところ30試合近く。いわゆる“終盤戦”へと突入した。セ・リーグは広島が連覇に向けて驀進中の状況は変わらずのまま。マジックが点いたり消えたりという時期もあったが、いまは順調に減らしており、歓喜の瞬間まであとわずかだ。一方のパ・リーグはこの1ヶ月ほどで大きく動きを見せた。開幕から首位を走っていた楽天がついに陥落し、一気にホークスが大差をつけることに…。止まってしまった幾多の要因を探るべく、門倉健氏に楽天戦をチェックしてもらった。


——いよいよ終盤戦です。夏前とはガラリと状況が変わってきました。

「そうですね。セ・リーグは広島が走っている状況に変わりないというのは、皆さん知ってのことだと思いますけど、パ・リーグが変わってしまいましたね。やはり、ホークスの戦力層の厚さというのがここにきて出てきたのかな、という気がします」

——開幕から走ってきた楽天が失速してしまいました。要因はどのようなところにあるのでしょうか?

「まず第一はケガですよね。全員とは言わずとも、誰かが戻ってきたら誰かがいないという状況になってしまったのは辛いです」

——春先から、最後まで勢いを保てるかという声は少なからずあったというように思います。

「そうですね。シーズンを戦い抜くことの難しさがここにきて出てきてしまったかのように思います。打者の調子も落ちてしまって、チームが一気にうまく回らなくなってしまいました。」

——選手の離脱も重なり、攻守のバランスが崩れてしまったということでしょうか?

「そうですね。特に、この日の試合でみた則本投手の様子を見る限り、開幕直後のときとは様子が変わってしまっているように感じましたから、選手たちの疲れも隠せない段階にきてしまっているのだと思います。」

——この試合(26日の北海道日本ハム戦)、則本投手は初回に3点を奪われてしまいました。

「エラーがらみでしたので、不運な部分もあったのですが、立ち上がりにやられてしまいましたね。ここ5試合で3度、先制点を奪われてしまっています。なかなか自分のペースではいけていないですよね。調べてみたところ、ここ5試合で初回に三振を奪っているのは1つだけ。もちろん、普段無理に取りにいっているわけではないでしょうし、逆に言うとスタートはゆったりと投げているという意思もあるかもしれませんから、一概には言えないのですが、この日のように立ち上がりでつまづくことがあると、少し気になります。連続奪三振記録を作っていたころの則本投手は、立ち上がりから『今日もすごいなあ』という印象を持ちましたからね。そのときとは少し、違うのかなという気はします」

——やはり、一年投げ抜くというのは簡単ではないでしょうか?

「まあ実績ある投手ですし、いまさら言うことではないとは思います。疲れが出る中でも勝ててきている投手ですからね。実際この日も自責点は1ですし、前回、前々回と9イニングを投げきっていますから、この日が特別そう見えただけかもしれません。ただ、8月に入って3敗目というのはチームにとって痛いでしょうし、なにより本人が一番悔しいと思います。この日は相手が日本ハムだったので、直接CS等に影響することはないでしょうから、次の投球に期待したいところですね。」

——この週末はソフトバンク戦が予定されています。おそらく、そこで次の登板となるでしょう。

「そうですね。優勝争いももちろんですが、先のCSを見据えても、ここで良い姿をみせておきたいところです。秋を盛り上げるためにも、快投に期待したいですね」

——ありがとうございました。


門倉健(かどくら・けん)

球歴:聖望学園高→東北福祉大→中日→近鉄→横浜→巨人→カブス他

アメリカ、韓国を含め7球団を渡り歩き活躍した右の本格派。190㎝を超える長身から投じる角度ある直球とフォークボールを武器に、先発・中継ぎ・抑えの全てを経験。2005年には奪三振王のタイトルを獲得した。引退後は韓国・三星ライオンズでコーチを務めた。埼玉県出身。右投げ右打ち。投手。公式ブログ(https://ameblo.jp/kadokura-ken/)。