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米メディアも驚愕する大谷翔平の能力 「10ツールプレーヤー」「穴がない」


日本ハムは29日の日本シリーズ第6戦で広島に10-4で勝利し、2連敗からの4連勝で10年ぶりに日本一に輝いた。大谷翔平投手は最終戦は出番がなかったものの、シーズンを通じて投打でチームを牽引。二刀流で圧倒的な力を見せつけた。

■米国で上がり続ける評価、ハム大谷翔平は「今後見ることができない選手」

 日本ハムは29日の日本シリーズ第6戦で広島に10-4で勝利し、2連敗からの4連勝で10年ぶりに日本一に輝いた。大谷翔平投手は最終戦は出番がなかったものの、シーズンを通じて投打でチームを牽引。二刀流で圧倒的な力を見せつけた。

 大谷は今シリーズ、打者では第3戦で値千金のサヨナラ打を放ち、チームを勢いに乗せた。この試合では現役最後の登板となった黒田博樹投手から2本の二塁打を放つなど、存在感を発揮。一方、投手としては22日の第1戦で日本シリーズ初のマウンドに上がったものの、6回3失点で敗戦投手となった。本調子とはいえず、セ・リーグ最強左腕ジョンソンに投げ負けたが、その能力に疑いの余地はない。

 クライマックスシリーズ(CS)第5戦では「3番・DH」で先発。3点リードの9回にはDHを解除して「守護神」としてマウンドに上がり、日本最速を更新する165キロを3球記録。さらに、151キロのフォーク、148キロのスライダーなど異次元のボールを連発し、圧巻の3者凡退斬りでプロ初セーブを挙げた。

 将来的にはメジャー挑戦に踏み切る可能性が高い大谷だが、米国での注目度も抜群に高い。米国の新興スポーツメディア「ザ・リンガー」はこのCSファイナルの伝説的な救援登板の直後、特集記事を掲載していた。「10ツールプレイヤーがポストシーズンを支配」とのタイトルで、大谷について紹介。メジャーでは全ての能力を備えた野手を「5ツールプレーヤー」と表現するが、大谷はその倍の「10ツールプレーヤー」だと絶賛している。

■大谷は「世界で2番目の野球環境であるNPBをリトル・リーグかのように見せる」

 記事では「165キロの直球を2度(実際には3度)投げてキャリア初セーブ」「89マイル(約143キロ、実際には148キロ)のスライダー、94マイル(約151キロ)のフォークも投げた」「4日前に先発登板し7回無失点で白星を挙げた」と、驚異的な活躍の要点を列挙。さらに「オオタニの投球はノア・シンダーガード、防御率と奪三振率はクレイトン・カーショー、OPSはデービッド・オルティスだ。盗塁は9回中7回成功するなど穴がない。投手がDHでも選出できるよう、ベストナイン選出規定を変えさせたほどだ」と紹介した。

 シンダーガードは現在のメジャー先発投手で最も球速が速いとされる右腕で、100マイル(約161キロ)超を連発する。カーショーは言わずと知れたメジャー最強左腕で、最優秀防御率のタイトルを過去4度、最多奪三振を3度獲得している。強打者オルティスは今季限りで現役を引退したが、最終年にリーグ最高のOPS(出塁率+長打率)1.021をマーク。大谷の今季のOPSは1.004(出塁率.416、長打率.588)だった。

 また、メジャーで最も重視される評価指標の1つであるWAR(Wins Above Replacement)についても言及。WARとは、打撃、守備、走塁、投球を総合的に評価して選手の貢献度を表す指標で、そのポジションの代替可能選手と比較し、どれだけ勝利数を上積みしたかを表す数字だが、大谷は今季10.4を記録したという。記事では、打者として4.6、投手として5.8であることを紹介し、「この合計値はマイク・トラウトの単年記録とほぼ一緒だ」と、現在のメジャー最強野手と同レベルの数値を残したとしている。

 さらに、「オオタニの平均球速を超えるMLB先発投手は5人しかいない」「世界で2番目の野球環境であるNPBを、オオタニはリトル・リーグかのように見せる」と賛辞を並べ、昨オフにはダルビッシュ有投手(レンジャーズ)と自主トレで筋力強化に努めたことも紹介。「ベーブ・ルースでも21歳のころそんなに打撃がホットではなかった」と“野球の神様”とも比較している。

■ポスティングされれば10年総額260億円の可能性も?

 将来的にはメジャー挑戦が確実とされている大谷だが、記事では「オオタニの出国が差し迫っている兆候はない」とも分析。海を渡るのは早くても来オフ以降だと指摘しながらも、日本ハムが日本一に輝き、大谷がシーズンMVPに輝くようなことがあれば、状況が変わってくる可能性もあると大胆予想し、「ファイターズが広島東洋カープを下すよう応援しよう」と“異例”の呼びかけをしていた。

 実際にはレアードがMVPに輝いたが、日本一は実現しただけに、今後どうなるか注目が集まるところだ。また、「もし今のように株が高く、ダルビッシュよりも若いうちに渡米したなら、オオタニは今の給料の10から15倍を集めることになるだろう」とも予想。メジャーでの活躍を心待ちにしている米国の野球ファンは決して少なくない。

 メジャー各球団に大谷獲得を進言するような記事も多い。米スポーツサイト「ファンサイデッド」では、先発投手の補強を目指しているブレーブスにとって大谷がターゲットであるとして、「メジャーでマウンドに上がることを夢見る世界中の有望株選手たちの中でも、大谷翔平は、間違いなく最も興味をそそる存在だ」と紹介している。

「彼は22歳にして、年々向上を続け、エース級の投球ができる存在だ。もし大谷がポスティングされれば、契約内容は途方もないものになるだろう。10年総額2億5000万ドル(約260億円)といったものも、決して馬鹿げたものではないだろう。ドジャース、ヤンキース、レッドソックスといったチームが関心を示すだろう」

■大谷は「スポーツ界のスーパーウェポン」、起用法が鍵に

 このように、ブレーブスだけでなく、資金力のある名門球団はほとんどが獲得に動くことになると予想。「問題は大谷が二刀流をどうするか、ということだろう。あるア・リーグのスカウトは『大谷はどちらかに決断しなければならない』と語っている」と二刀流起用を続けるかがポイントになると指摘しつつ、「ジャイアンツはバムガーナーを代打起用し、その打棒を活かすこともあり、この方法は大谷にとっても青写真となるのかもしれない」と紹介。メジャー屈指の“強打者投手“として知られるマディソン・バムガーナーのような起用法を考え、大谷獲得に動く球団があると分析している。

 メジャーでの二刀流起用が実現するかについては、「ザ・リンガー」も言及しており、「大谷を野手でも起用するということは、GMや監督にとって決断が必要だろう」と指摘。「ア・リーグの球団と契約した場合、登板日に打席に立つことは難しくなるだろうが、DHとして現在と同じく起用することもできる。ナ・リーグの球団と契約すれば、登板間の試合で野手として出場しなければならない」としている。日本のセ・パと同じ条件だが、DH制の有無があるだけに、リーグによって起用法は当然、変わってくる。

「鍵は(二刀流という)困難なことに挑戦する球団が出てくるかということだ。今後見ることが出来ないであろう、スポーツ界のスーパーウェポンを追い求め、リスクを冒すことができるかどうかという点だ」

 大谷を「スーパーウェポン」と表現しつつ、その起用法には「リスク」も伴うとしている。ただ、これでもまだ発展途上とされる右腕の驚異的なポテンシャルが魅力的であることは確か。日本ハムを日本一に導いた二刀流の動向には米国からも熱視線が送られている。

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