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大学野球

埼玉西武が1位指名を公言!走攻守三拍子揃うスラッガーの飽くなき探究心 蛭間拓哉(早稲田大)【時は来た!ドラフト指名を待つ男たち 大学生編】

蛭間拓哉(ひるま・たくや)
●守備 外野手●身長・体重 176cm・87kg
●生年月日 2000年9月8日 ●所属 早稲田大
●球歴 浦和学院高→早稲田大
●出身地 群馬県 ●投打 左左

 実績は抜群だ。小学生時代に西武ライオンズジュニアに選出されると、前橋桜ボーイズ時代は関東大会優勝。浦和学院高では1年春からレギュラーで3年夏には主将・主砲として本塁打を放つなどチームを牽引し8強入り。「第12回 BFA U-18 アジア野球選手権大会」でも副将を務めた。そして早稲田大でも1年春から出場を続けており、今年は主将も担う。

 大学生活での1番のハイライトはやはり2020年11月8日だろう。東京六大学秋季リーグの最終戦となる早慶戦2回戦(新型コロナ禍によって勝ち点制ではなかった)。この伝統の一戦は「勝った方が優勝」というこの上ない緊張感の中で行われた。

 試合は早稲田大の劣勢だった。しかし、1点を追う9回表 2死一塁から打席に立つと左腕・生井惇己の甘く入ったスライダーに対して「ストレートを待っていたけど、体が勝手に反応しました」とフルスイング一閃。打球はグングンと伸びていくとバックスクリーンにまで届く劇的な逆転2ラン本塁打となり、ベンチとスタンドは大騒ぎに。そんな中、蛭間は「ベンチ外の4年生がデータなども本当によく取ってくれていたので」と目頭を押さえ本塁を踏み興奮する仲間たちと次々抱き合った。その裏は前の回から登板していたエース・早川隆久(楽天)が無失点に抑えて、早稲田大は10季ぶり46回目の優勝を果たした。

 もう1つ記憶に強く刻まれているのは、昨年12月に行われた侍ジャパン大学代表候補選手の強化合宿だ。一般非公開だったため、広くは知られていないが、そこで目立ったのは蛭間の走攻守すべてにおいての能力の高さだ。
初日に行われた50m走の測定では矢澤宏太(日本体育大/5秒80)、道原慧(立教大/5秒81)、村松開人(明治大/5秒91)に次ぐ全体4位の5秒93の記録を出した。
そして2日目の紅白戦でも3安打、3日目の紅白戦では逆方向のレフト前へ鮮やかに打球を運び盗塁も記録。3日間通じてシートノックで何度も強肩を見せるなど大きな存在感を放った。

合宿期間中には「レベルの高い選手たちから様々なことを吸収し、自分のやるべきことをやっていきたい」と話していたが、周りに与えた影響も大きなものがあった。
「蛭間さんは体や骨格のことも勉強していたので、僕も探究心高く取り組んでいこうと思います」(青山学院大・佐々木泰)
「蛭間に打席での呼吸の仕方や待ち方を聞いて、とても参考になりました」(中京大・澤井廉)

 高い身体能力と飽くなき探究心。この際立つ2つを持つだけに、プロ野球の環境と刺激でどこまで成長していくのか。その可能性は無限大に広がっている。

文・写真=高木遊