- 大学野球
2022.10.18 17:31
日本ハムが1位指名公言!最速152キロ・走攻守三拍子そろう投打二刀流 矢澤宏太(日本体育大)【時は来た!ドラフト指名を待つ男たち 大学生編】
高校時代は10球団から調査書が届いたものの指名漏れ。当時はまだ制球力も低く、打撃も粗さがあった。
だが4年の時が経ち、今秋は「ドラフトの目玉」の1人として指名を待つ身にまで成長を遂げた。しかも投打でそれぞれドラフト1位級の評価を受ける「二刀流」だ。
投げては最速152キロのストレートとキレの良いスライダーなどの変化球を武器に奪三振能力が高い。一方で野手として強肩はもちろんのこと俊足でパワーもあることから「より振れて遠くに飛ばせる近本光司(阪神)」などと高評価を受けているように、投打で同世代の中では頭ひとつ抜けた存在感だ。
それが顕著だったのは昨年12月上旬に行われた侍ジャパン大学代表候補選手強化合宿だ。矢澤は投手としての練習メニューをひと通り終わらせると、フリー打撃に参加。両翼99.1・中堅122メートルの愛媛・松山坊っちゃんスタジアムで野手25人中3人のみだった柵越えを記録。また、50メートル走の測定では光電管による測定で5秒80を記録し全体トップ(なお今夏の選考合宿でも全体トップ)。投げても紅白戦で、寒空の下で最速147キロを出したストレートと縦横2種類のスライダー、チェンジアップで初回から三者連続三振を奪うなど2イニングを投げて1人の走者も許さない完璧な投球を見せた。
そしてドラフトイヤーとなった今年に入ってからも活躍は続く。東海大など強豪ひしめく首都大学リーグで投手として4勝2敗、防御率1.83と安定した投球を見せると、野手としても打率.350を記録。指名打者で2回目のベストナインを獲得した(2年秋には外野手として獲得)。
7月にオランダで行われたハーレムベースボールウィークでも投打双方で活躍。打者としては1番や3番といった上位打線を担い、打率は.267とまずまずだったが5試合で3盗塁を決めた。投げてはイタリア戦で6回1安打無失点1四球11奪三振の力投を見せた。
3位決定戦のアメリカ戦は勢いづく相手打線を決めきれず4回で自責点3を喫したが、初の国際大会で大きな経験を得た。
投打二刀流ということもあって、ことあるごとに大谷翔平(エンゼルス)についての質問が飛ぶが「レベルが違いすぎるので比べるのも失礼だと思います」と受け流しつつ、「“二刀流だから”ではなく投手・野手それぞれで見てもドラフト1位で呼ばれるというレベルを目指しています」とこだわりを覗かせるなど、4年間その両方で大きなレベルアップを遂げてきた。
野手としての評価が高まりつつはあるが、今秋のリーグ戦でも防御率1.32と、やはり投手としての魅力も捨て難いほどの成績を残している。
投打どちらを選ぶのか、どちらともやるのか。それはこの先まだ分からないが、どんな選択肢を選んでも夢を持たせてくれる選手であることは間違いない。
文・写真=高木遊