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圧巻の投球でオリックスが1位指名を公言!最速152キロの大型左腕 曽谷龍平(白鴎大)【時は来た!ドラフト指名を待つ男たち 大学生編】

曽谷龍平(そたに・りゅうへい)
●守備 投手 ●身長・体重 183cm・80kg
●生年月日 2000年11月30日 ●所属 白鴎大
●球歴 明桜高→白鴎大
●出身地 奈良県 ●投打 左左

 恵まれた体格を存分に生かした最速152キロのストレートは唸りをあげるようにキャッチャーミットに吸い込まれ、スライダーやカットボールは打者の手元で鋭く変化する。ただでさえ希少な大型左腕がこれをし、さらに制球で崩れることもないとくれば無敵だ。そして、その言葉に近い圧巻の投球を見せ続けている。

 3年春から頭角を現すと、地方リーグ屈指のレベルとNPB選手輩出を誇る関甲新学生野球で4勝(2敗)を挙げる。さらに秋は4勝0敗、防御率0.24の大活躍。横浜市長杯(※)でも横浜スタジアムで150キロ前後のストレートを次々と投じ、大きな注目を集めた。
今春も松本大戦でノーヒットノーランを達成するなど3勝1敗で防御率1.57。夏には侍ジャパン大学代表にも選出され、ハーレムベースボールウィークで強豪国を相手に中継ぎ左腕として活躍。3回1安打7奪三振で自責点ゼロという圧巻の投球内容を国際舞台でも見せた。

 今秋も「ドラフト1位候補」のプレッシャーもなんのそのといった好投で、味方の援護が少なく3勝2敗にこそ終わったものの防御率は1.46と踏みとどまり、チームをリーグ戦2位までに与えられる横浜市長杯出場に導いた。
※横浜市長杯・・・関東地区大学野球選手権。上位2校には「秋の大学日本一」を決める明治神宮大会出場権が与えられる。
 
 いまや国内外で活躍を遂げる曽谷だが、高校までは大きく目立つ存在ではなかった。秋田・明桜高(現ノースアジア大明桜)では山口航輝(ロッテ)と同期。2年までは山口がエースで甲子園に出場。山口が秋田大会決勝で右肩を脱臼したこともあり、曽谷は甲子園のマウンドに上がったが2回で自責点3と振るわなかった。
3年時も山口の故障が続いたために、曽谷は二枚看板の1人として奮闘したが、吉田輝星(日本ハム)擁する金足農に敗れて準優勝。その後の“金農フィーバー”は「当時は負けた悔しさで応援もしたくなかったです」と複雑な思いで見つめていたという。

 しかし、この「負けず嫌い」の性格が曽谷の成長を後押しした。大学は「レベルの高い関東で」と白鴎大へと進み、同リーグの全国屈指の強豪・上武大らと好勝負を繰り広げる中で力をつけてきた。

 元プロ野球選手でもある白鴎大・藤倉多祐監督は「マウンドでは見せませんが、ベンチに帰ってきて感情を抑えきれない仕草をを何度か見たことがあります。自分に叱咤激励して吠える時もあったし、涙する時もありました。そういうのを見て“曽谷というピッチャーは伸びるな”と感じました」と、強い気持ちを高く評価する。
また、ロッテでスカウトを務めた経験もある同監督は「ベースを通り過ぎる時の球の強さはアマチュアのボールではない。プロの中継ぎ1イニングであれば、今すぐでも抑えられると思います」と実力面でも太鼓判を押す。

 心身ともに逞しい大型左腕は来年どの球団のユニフォームを着て、どんな活躍をするのか。10月20日のドラフト会議を前にしながらも、そんな期待の目で見てしまう逸材だ。

文・写真=高木遊