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独立リーグ

同郷コーチから受けた薫陶を胸に。伸びしろ抜群の190㎝右腕 玉置隼翔(愛媛マンダリンパイレーツ)【時は来た!ドラフト指名を待つ男たち 独立リーグ編】

玉置隼翔(たまき・はやと)
●守備 投手●身長・体重 190cm・83kg
●生年月日2002年7月15日●所属 愛媛マンダリンパイレーツ
●球歴 和歌山東→愛媛マンダリンパイレーツ
●出身地 和歌山県●投打 右右

 過去に首位打者を2度、千葉ロッテマリーンズ・角中勝也(高知ファイティングドッグス出身)、福岡ソフトバンクホークス・又吉克樹(香川オリーブガイナーズ出身)を輩出し、昨年も今季新人初登板から22試合連続無失点のNPBタイ記録を打ち立てた宮森智志(高知ファイティングドッグス育成1位→東北楽天ゴールデンイーグルス)がドラフトで巣立った日本独立リーグの老舗・四国アイランドリーグplus。

 今年も10選手以上にNPB球団からの調査書が届いている(10月10日現在)中、指名最右翼候補に上がっている男がいる。ストレートの最速は148キロ、アベレージは140キロ前後ながらNPBスカウト陣の多くも「絶対に球速は伸びる」と太鼓判を押す抜群の伸びしろと、190㎝の長身から投げ下ろす球道が魅力の愛媛マンダリンパイレーツ右腕・玉置隼翔だ。

 高校2年から投手転向した和歌山東(和歌山)時代から将来を嘱望されながら右ひじを痛め最後の夏は登板なく、プロ志望届提出もドラフト指名がなかった彼が選択したのは独立リーグの道。ただ、愛媛マンダリンパイレーツでも1年目は7試合に登板し1勝5敗・防御率8.42と、その潜在能力を示すことはできなかった。

「ドラフト指名しか見ていない」と並々ならぬ意気込みで挑んだ愛媛2年目。そんな玉置を大きく開花させたのは今シーズン、新たに投手コーチに就任した同郷・和歌山県出身の平井諒氏である。

 現役時代は東京ヤクルトスワローズに11年間所属し、2016年はセットアッパーの一角として活躍した平井氏は、現役最後の一年を過ごした愛媛マンダリンパイレーツ時代から「東京ヤクルトスワローズでチームメイトだった田川賢吾(現:日立製作所)に似て、リリースも前で離せる」と玉置の特長を把握。

 コーチ就任後は「何色にでも染まれるし、吸収力も抜群」(平井コーチ)な玉置の意欲をかきたてるように、キレのあるストレートと決め球・縦スライダーの伝授など、濱田直洋ストレングス&コンディショニングコーチ兼トレーナーとも連携しつつ多角的に成長へのアプローチをかける。

 もちろん、玉置本人の努力も凄まじかった。オフシーズンに坂本光士郎(千葉ロッテマリーンズ)と共に自主トレーニングをする中で学んだスクエア気味から入るセットポジションを採用したことで「股関節に入る感覚」と同時に課題だったクイックも克服。

 加えて地道な体幹トレーニングにより長身を活かす縦ぶりフォームも定着し、今季は先発中心に18試合登板し6勝3敗1セーブ・125回を投げて130奪三振・防御率1.73。阪急ブレーブス黄金期に遊撃手を務めた弓岡敬二郎監督も「よく成長してくれた」と目を細める活躍で、愛媛マンダリンパイレーツの大黒柱として君臨、後期優勝争いの原動力となった。

 充実の高卒2年目を終え「ワンシーズン投げられたことはよかったし、積み上げた中で力を出せた」と振り返る玉置。「思い切り全力で、平井コーチに教わったことを表現する」来季の場所は、10月20日に決まる。

文・写真=寺下友徳