- 高校野球
2022.10.17 15:48
高校3冠、野球の申し子 ショートもこなす〝打てる〟捕手 松尾汐恩(大阪桐蔭高)【時は来た!ドラフト指名を待つ男たち 高校生編】
大阪桐蔭は春夏連覇を期しながら、準々決勝で下関国際に苦杯をなめた。だが、最後の国体は仙台育英に勝ち有終の美を飾る。明治神宮大会、センバツと合わせて3冠を果たした。
世代最強を印象付けた要、キャッチャーで不動の3番を打ったのが松尾だ。
いったい、甲子園で何本のホームランを打ってるんだと思ったら5本も打っていた。高校通算では38本になるという。
2年夏は近江戦、バックスクリーンへ。
3年春は準決の國學院久我山戦、決勝の近江戦と大事な試合で勝負強さを発揮。3年夏は聖望学園戦、2打席連続だった。
また2年秋の明治神宮大会では決勝の広陵戦で2発。冒頭の国体の聖光学院との決勝でも打っていて、決勝の舞台では必ずホームランを打ち、大舞台で結果を残す。
例えば、昨年の市和歌山から千葉ロッテに入って活躍した松川は典型的などっしりしたキャッチャー体型。でも松尾はスラっとした内野手体型だ。捕球後の素早さ、ワンバウンドのストッピング、バント処理のフットワークなども合格点レベルにある。
プロは打てる捕手を欲している。5年前、夏の甲子園で6ホームランを放った広陵の中村が期待されたが外野手にコンバートされるなど、キャッチャーでレギュラーをとるとなると難しいのだ。
大阪桐蔭の西谷監督は、入学前は内野手として見ていたようだ。キャッチャーもショートも同じくらい大きな可能性がある、と言っているという。
1年秋、新チームでの事情で小学校以来のキャッチャーのポジションについて、下級生ながら2年センバツから最後まで要をやり遂げた。
しかし、インサイドワークは経験が浅い分、まだ勉強だろう。データを消化したり、打者の裏をかいたり。一球の怖さももっと学ばないといけない。バッティングは進化を続けている。スタンスはクロススタンスで上体をねじれるから、外角でもレフトに引っ張れるパワーがある。
西谷監督は「(同じ捕手の西武の森より)スピードは断然、松尾の方がある。足の速さや守りの機敏さ。遊撃ができる捕手です」と国体の後にコメントしている。
まずはスカウトのバッティングの評価だ。
「粗さ、強引さが減って確実性が出てきた。崩されているのを見たことがない。野球センスがあるのでキャッチャーとショートができる。どちらにより適性があるかは、これからの見極め次第になるでしょう」
ポジションはどちらにするか。スカウトも迷うのだろうが、まずはキャッチャーで試すことになりそうだ。
「高校日本代表でも、投手の特性を生かす配球をしていた。打者の傾向を見ながら伏線を張り、1打席ごとにリードしている。スローイングもライン出しが良いので送球のブレがない。捕球も足が動き、正面に入れる。捕手ならではの野球脳が高い」
京田辺ボーイズ時代、日本代表になって世界一にも輝いている。
侍ジャパンU-18代表では本大会で木製バットで右方向に3本のヒットを記録した。浅野(高松商)と野球談議をしたそうで、研究熱心で適応力もありそうだ。