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高校野球

初出場で夏4強の立役者 ぶれないリリースポイントが武器 森下瑠大(京都国際高)【時は来た!ドラフト指名を待つ男たち 高校生編】

森下瑠大(もりした・りゅうだい)
●守備 投手 ●身長・体重 180cm・75kg
●生年月日 2004年9月19日 ●所属 京都国際高
●球歴 福知山市立南陵中(福知山ボーイズ)→京都国際高
●出身地 京都府 ●投打 左左
【写真提供:共同通信】

 やはりコロナで活躍の場を奪われた一人だ。だが、今年の高校球界左腕の代表格。プロの舞台で投手一本で勝負する。

 ストレートの最速は143キロながら、スライダー、チェンジアップなど変化球をコーナーに投げ分ける制球力が抜群だ。

 福知山ボーイズ時代は甲子園というより、「プロに行きたい」思いの方が強かったという。
1年生の秋から背番号1でベンチ入りして、2年春の近畿大会でも投打に活躍、初のセンバツに導く。背番号9番をつけて4番・先発投手を任された。2回戦・東海大菅生に8回まで2失点(チームは4対5のサヨナラ負け)の力投を見せた。

 2年夏の京都大会で初優勝、甲子園でも4強に躍進する。先発2試合、3勝した。28回を投げて28三振を奪う。

 初戦の前橋育英戦で5者連続奪三振を見せ、4安打完封勝利を記録。3回戦・二松学舎戦で延長10回完投勝ちを収めている。打っても左翼へソロホームラン、10回2死一塁からの三塁打で決勝点をたたき出した。

 2年生の春の近畿大会8強進出でセンバツを決めたが、直前にコロナで辞退した。

 その後、ヒジを痛め3年の夏の投球が心配されたが夏の京都大会準決・決勝にのみ登板し、計9回を投げた。

 しかし、甲子園では初日の一関学院戦で、3回を投げて4失点で降板。ストレートの最速は140キロにとどまり、変化球も高く浮くボールが目立つなど本来のピッチングは見せられなかった。

 だが、こう明言する。
「京都国際にはプロに行くために入らせてもらった。その経験を生かして侍ジャパンで投げることを目標にしているのでそこまで行きたい」
 ゲーム後の会見でこう、続けた。
「甲子園でないと経験できないものがたくさんあった」と。

 2年の夏、後にプロ入りする二松学舎の秋山投手(現千葉ロッテ)と投げ合い、智弁学園の前川選手(現阪神)と対戦して、そのスイングスピードの速さに驚かされる。プロの厳しさも重々、承知だ。

 右足を胸まで上げて、バランスよく立てるフォーム。下半身の体重移動のエネルギーがボールに効果的に伝わっている。数字以上に球威がある。

 スカウトが言う。
「腕が長くて高い位置から角度をつけて投げ降ろす。リリースまで時間があってポイントが乱れない。上体のすべて、胸から手のひらまでが打者の方を向いていて、その縦軌道が素晴らしい。脱力してうまく投球できる印象です。打者はボールとフォームのズレ、違和感を持つと思う」

 別のスカウトは3位以上は硬いという。
「直球だけでなくカーブ、スライダー、カットボール、チェンジアップなど投げたいところへ投げられるのは、体幹が強い証し。3年後ぐらいには二桁、いわゆる勝てる投手になりますよ」
小牧監督によると「野球頭がよくて学習することができる。同じ失敗を繰り返さない」のだという。

 そのクレバーさは投球術にも生かされる。打者を見ながら早いカウントで追い込み、勝負球は厳しいコースに投げて、相手を翻弄する。

 ずっと目標にしているのは東北楽天の松井祐樹投手だそうだ。