- プロ野球
2022.03.16 20:14
福岡ソフトバンクホークス・椎野新選手インタビュー~ウォーターエイドジャパンの支援で自分の成長にも期待
椎野新選手が、今シーズンより認定NPO法人ウォーターエイドジャパンを通じて開発途上国の支援を行う。この団体は「すべての人々が清潔な水と衛生を利用できる世界」を目指す国際NGOで、1981年にイギリスで設立されて以降、開発途上国の給水環境の整備、トイレの設置、衛生習慣の啓発などの取り組みを40年以上に渡って行っている。今回は椎野選手に、この支援を行うことになった経緯や支援に対する意気込みを伺った。
――プロ野球選手になったら社会貢献活動をしたいという思いはもともとあったのですか。
椎野 子供の頃からプロ野球選手になりたい気持ちがあって、最初は「プロになって活躍して親に何かいいものを買ってあげたいな」みたいな感覚だったんですが、和田毅さんが投球数ごとにワクチンを寄付しているとACジャパンのCMで知って、プロ野球選手になったらこういうこともできたらいいなと思うようになりました。
――今回アクションを起こすことになった背景には、どんなきっかけがあったのですか。
椎野 今年5年目になるんですけど、2年目に少し活躍できたものの、これまで結構もがいているシーズンが多くて、今年こそ勝負のシーズン、ダメなら終わりだという覚悟があります。ただ、そうするとどうしても自分、自分というふうに内側に感情が行ってしまって。だからこそ、もっとまわりに目を向けたい、普段の生活でも何か変えたいと思うようになりました。その時に子供の頃の気持ちを思い出して、こういう活動をやってみようと。自分自身を変えるきっかけにできるかなと思ったんです。
――支援先をウォーターエイドジャパンにしたのは、どのような経緯からですか。
椎野 コロナ禍になって試合がなかった期間、家でずっとテレビを見ていて、ウォーターエイドジャパンのCMが流れてきたのがきっかけでした。そのCMに出ていた女の子の姿が心に刺さったんです。僕らみたいに普通に生活ができない子供が外国にいるんだなと思ったら、すごく考えてしまって。今思うと、コロナがあったからこそテレビを見る時間があって、そこに目を向けられたのかなと思いますね。
――ウォーターエイドジャパンの方とは支援についてお話されましたか。
椎野 はい、リモートで30~40分お話させていただきました。CMだけでは伝えきれないことがまだたくさんあるそうで、水を汲みに行くのが仕事になっているとか、そういった現状について詳しく聞いていくうちに支援に対する意欲がどんどん湧いてきました。本当に、勉強になることが多かったです。これから支援を続けていけば理解がもっと深まっていくと思いますし、支援をすることで自分がどう成長できるかも楽しみです。
――支援はどのような形で行う予定ですか。
椎野 奪三振ごとに決まった額を寄付する成績連動型の形で考えています。僕にとってはそのほうが「この1個の三振で支援できる」という気持ちになれるので、競技に対するモチベーションにもなると思いました。今年5年目で活躍しなきゃいけないというプレッシャーもありますけど、それを乗り越えて活躍して支援できた時のことをイメージしながら競技に向き合えるので、いい循環になると思います。実際、今もいい方向に行っているような気がします。
――プロ野球選手が支援活動を行う意義にはどんなことがあると思いますか。
椎野 野球っていうスポーツ自体に力がありますし、プロ野球選手はテレビに映る立場なので影響力は大きいと思います。僕の活動もファンの方に知ってもらいたいですけど、そのためにもまず自分の名前をしっかり覚えてもらわないといけないので、とにかく今年は頑張らなくてはという気持ちです。子供の頃に和田さんのCMを見たことが原点なので、少しでもそういう存在に近づけたらと思っています。