- 大学野球
2021.10.07 15:00
真のエースに成長を遂げた最速151キロ左腕 黒原拓未(関西学院大)【時は来た!ドラフト指名を待つ男たち 大学生編】
運命のドラフト会議を超速報!今年はSportsBullでLIVE配信をお届けいたします。
最速151キロのストレートが持ち味の速球派左腕。今年に入って評価を大きく上げており、ドラフト上位指名が期待されている。
智辯和歌山高では2年秋からエースとなり、3年夏に甲子園出場。2回戦で敗退したが、センバツ優勝校の大阪桐蔭を相手に6回途中1失点の好投を見せている。
4年後のプロ入りを見据えて、高校の先輩も多く進んでいた関西学院大に進学。1年春からリーグ戦登板を果たし、秋には150キロを計測するなど、将来を嘱望されていた。
しかし、昨年までは調子の波が大きく、思うように勝ち星を積み重ねられないでいた。エースの不安定さはチームの勝敗にも直結し、リーグ戦ではBクラスが定位置。一昨年の秋は勝ち点0の最下位に沈んだ。
もどかしい結果が続く中、今年に入ってから右足を踏み出した時に膝が割れないようにすることやセットポジションに入った時の左手首の角度など、投球時の細かな動作を見直した。すると、制球力や変化球の精度が一気に向上。「いつでも投げられる変化球がなかった」と昨年までは変化球が課題だったが、今年はチェンジアップやカットボールで三振が奪えるようになった。
黒原が結果を残せるようになったことで、チームも快進撃を続けた。勝てば優勝が決まる京大との2回戦では、2点リードの9回二死一塁から「頼むぞエース!」と本荘雅章監督に託されてマウンドに上がった。
いきなり安打を浴びるも、続く打者を磨いてきたチェンジアップで空振り三振に抑えて2013年秋以来のリーグ優勝を達成。5勝1敗、防御率0.88の活躍で最優秀選手に輝き、『執念~関西をひっくり返せ~』のチームスローガンに相応しい活躍を見せた。
「神宮で投げるのは初めてなので、自分らしくノビノビやろう」と挑んだ大学野球選手権でも、1回戦の松山大戦で7回1失点8奪三振の好投を見せ、57年ぶりの勝利に貢献。「関西に黒原あり」と多くの人に印象づけた。
勝てなかった時期を乗り越えて真のエースに成長した黒原は「先発で投げて、チームの柱になっていきたい」と将来を思い描いている。プロでもチームの躍進に導く投球を見せてほしい。
文・写真=馬場遼