- 高校野球
2021.10.08 17:30
快腕小園を導いた!強肩強打の高校生ナンバーワン捕手 松川虎生(市和歌山高)【時は来た!ドラフト指名を待つ男たち 高校生編】
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「ニコイチ」「最高のバッテリー」
市和歌山の小園と松川のバッテリーは、帽子にそう書き込んでいた。二人で一つ、日本で一番のバッテリーを目指す、ということだ。小園がここまで注目される投手になったのは捕手の松川抜きに語れない。
二人は大阪の南部のチーム、貝塚ヤングの出身だ。
松川をチームに誘った川端監督が振り返る。
「中学1年の春、リトルの最後の大会を見に行きました。その時はピッチャーとサードだった。内野手としてグラブさばきが上手く、ピッチャーとしては小園より速かった。『入ります』、と返事をもらって、キャッチャーが『ええなぁ』と即決しました」
松川は6月に入団して直ぐ、救世主になる。1,2年生のジュニア選手権。初戦からキャッチャーで4番。1打席目にライトオバー、2打席目もフェンス直撃。3,4打席は敬遠。チームの中心選手になった。
後から入団した小園とバッテリーを組んで中学3年の夏の大会で全国優勝を遂げている。松川が先に市和歌山への進学を決め、小園を誘ったという。
高校1年春からベンチ入り、夏は4番を打つ。2年秋、県大会の決勝で逆転の3ランなど打率.529、17打点。近畿大会ベスト4になってセンバツに導いた。
センバツでは2試合連続で2安打を放った。明豊戦は右中間フェンス直撃の二塁打を記録した。
夏の県大会は智辯和歌山との一騎打ちだったが1対4で甲子園には届かなかった。個人的には4試合で8安打2本塁打、8打点。
高校通算43本塁打。3年春、広い紀三井寺球場の場外に飛ばしている。
在阪セ・リーグスカウトが言う。
「松川のバッティングは昔のおかわり君(中村・西武)に似ている。ヒットの延長がホームラン。ボールの迎え方がうまい。バットの面を合わす技術が高い」
センバツでは対応力が素晴らしかったという。
「外を攻められて1打席目はうち取られていて2,3打席目は攻め方を読んで、変化球を右方向に打った。強い打球でした」
スイングスピードが速いので、引きつけて右方向に打ち返せるわけだ。
いい場面で打てる星を持っている、というスカウトもいる。
高校生捕手ナンバーワンと言っても、過言ではない。パ・リーグチームのスカウトが総合力を評価する。
「イニング間の二塁送球は1.9秒をコンスタントに切る強肩です。1年以上にわたって、小園と組んだバッテリーを楽しませてもらいました。一番評価したいのは、捕手らしい気配り目配りができること。小園から信頼されていることが伺えました。いい捕手になる資質をもっています。センバツの県岐阜商戦、ストレートが抜けていた小園をスライダー勝負に切り替えて、完封を演出した。ゲームをコントロールする力が高いと思いました」
二人でセットだった小園・松川バッテリーが、それぞれで歩き出すスタートラインがすぐそこにある。
(文=清水岳志)