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【今週のJERA セ・リーグ】菅野、西、大野…、2021年のセ・リーグ6球団の開幕投手は誰になる!?

 2021年の球春到来——。3月26日のペナントレース開幕へ向けて準備を進めるセ・リーグ6球団に注目。まずは各球団のエースが務めることになる開幕投手を予想し、注目ポイントを紹介する。

<2021年JERAセ・リーグ開幕カード>
読売巨人 vs 横浜DeNA(東京ドーム)
東京ヤクルト vs 阪神(神宮)
広島東洋 vs 中日(マツダスタジアム)

【写真提供=共同通信】昨季は開幕白星から無傷13連勝を飾った巨人・菅野。メジャー移籍を断念して臨む今季はまず、球団最多タイの7度目の開幕投手へ向けて調整する。

【写真提供=共同通信】昨季は開幕白星から無傷13連勝を飾った巨人・菅野。メジャー移籍を断念して臨む今季はまず、球団最多タイの7度目の開幕投手へ向けて調整する。

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■読売巨人
 リーグ3連覇を狙う前年王者の開幕投手は誰か。昨年末の時点では“混沌”としていたが、ポスティングシステムを利用してのメジャー移籍を目指していた菅野智之の残留が年明け8日に決定。当初は、昨季高卒2年目で9勝(6敗、防御率2.76)を挙げた戸郷翔征と来日1年目で8勝(4敗、防御率3.08)をマークしたサンチェスの争いが予想されたが、実力、実績ともに文句なしの絶対的エースが残留したことで状況は一変。

 菅野が4年連続、上原浩治に並ぶ球団最多タイとなる通算7度目の開幕投手を務めることになるだろう。

 帰国した9日から14日間の隔離措置による調整の遅れが懸念材料にはなるが、これまでの経験で技術的にも精神的にも“引き出し”の多さで対応できるはず。昨季の開幕戦は阪神を相手に7回6安打2失点で勝ち投手となり、そこから開幕13連勝という記録を打ち立てた。その昨季も含め、過去の開幕戦の登板成績は6試合4勝2敗。昨季のDeNA戦の対戦成績は4試合で2勝0敗、防御率1.69というデータが残っている。2021年も菅野がチームに勢いを付けられるか。

■阪神
 2005年以来16年ぶりの優勝を狙う阪神。開幕投手の本命は、移籍3年目となる西勇輝だ。2019年(10勝8敗、防御率2.92)、2020年(11勝5敗、防御率2.26)と2年連続で2ケタ勝利&防御率2点台の好成績を残した右腕に対する信頼は絶大だ。ライバルは左腕エースの高橋遥人、昨季11勝を挙げた秋山拓巳、新外国人のアルカンタラらになるが、1月に矢野燿大監督がCS番組にリモート出演した際に「僕が目指す野球を体現してくれている」、「(開幕投手を)任せたいなと思っています」と話し、アクシデントさえなければ西が2年連続の大役を務めることになる。

 西は昨季開幕戦で菅野智之と投げ合い、巨人を相手に6回4安打1失点で1点リードを保ったまま降板したが、2番手で登板した岩崎優が逆転を許して白星ならず。オリックス時代の2018年は負け投手となっており、自身3度目の正直での開幕星を狙う。

■中日
 昨季8年ぶりのAクラス入りを果たした中日。与田剛監督の就任3年目となる今季の開幕投手は、通常ならば沢村賞左腕・大野雄大になる。昨季20試合に先発して10完投6完封という圧巻のピッチングで11勝6敗、防御率1.82という好成績を残した左腕は、過去3度の開幕投手で1勝1敗という成績。

 初の大役を務めた2016年は阪神を相手に7回2/3を5安打2失点に抑えて勝ち投手となったが、翌2017年は巨人を相手に6回9安打6失点と打ち込まれ、3度目だった昨季もチームは延長戦の末に9対7で勝利したが、自身はヤクルト打線に4回9安打6失点とつかまった。沢村賞投手という肩書きを持って上るマウンドで、改めて自身の力を知らしめたいところだ。開幕投手に関して、与田監督は現時点では「白紙」&「競争」を強調し、福谷浩司、柳裕也、小笠原慎之介、梅津晃大らが開幕ローテ候補になるが、やはり大野がエースとしてチーム最初のマウンドに上るのが自然だろう。

■横浜DeNA
 球団生え抜きOBの三浦大輔監督とともに新たなスタートを切るDeNA。その初陣となる大事な開幕戦のマウンドに誰を送り出すのか。本来ならば、エースの今永昇太が3年連続で大役を務めるべきだが、昨年10月に左肩の手術を受けた影響で今春のキャンプは2軍スタートで開幕も不透明。代わりに昨季チーム唯一の2ケタ10勝(6敗、防御率2.53)を挙げた大貫晋一が自身初の大役を務める可能性が最も高く、濵口遥大、平良拳太郎、さらにコロナ禍によって来日のメドが立っていないが、新外国人のロメロも候補になる。

 春季キャンプでの“出来の良さ”が第一条件となりそうだ。ちなみに三浦監督自身は、通算172勝を挙げた現役時代に計7回に渡って開幕投手を務めたが、7戦7敗という散々な成績が残っている。監督となって初めて開幕白星を手にできるかどうかも、大きな注目点になる。

■広島東洋
 昨季5位からの巻き返しを誓う広島。佐々岡真司監督は、就任初年度だった昨年はキャンプイン前日に大瀬良大地の開幕投手を明言したが、今年は「競争」をリクエスト。大瀬良と森下暢仁、九里亜蓮の三つ巴の争いが予想される。昨季5勝に終わった大瀬良だが、過去2度の開幕投手の経験があり、2019年は巨人打線を相手に8回7安打無失点の好投。さらに昨季はDeNA打線を9回4安打1失点に抑えて完投勝利をマークし、打ってはタイムリー&2ランの大暴れと、開幕戦との相性は抜群だ。

 気になるのは昨年9月に手術した右肘の回復状況だが、自主トレでは順調ぶりをアピールしている。ライバルとなる昨季新人王の森下も意気込み十分。10勝3敗、防御率1.91という成績を手に大卒2年目での大役へ名乗りを挙げ、昨季8勝(6敗、防御率2.96)を挙げた九里も大舞台での勝負強さは折り紙付き。果たして誰になるのか。指揮官が望「競争」がハイレベルになればなるほど、チーム力もアップする。

■東京ヤクルト
 2年連続最下位からのジャンプアップを狙うヤクルト。チーム最大の課題が先発ローテーションであることは明白だが、その中で昨季10勝(8敗、防御率4.61)の小川泰弘が開幕投手の筆頭候補になる。過去4度(2014年〜16年、19年)、大役を務めた経験のある小川の開幕戦の成績は1勝1敗。白星こそ1つのみだが、内容的には6回7安打1失点、7回7安打無失点、6回2安打1失点、7回4安打1失点(自責0)と安定している。

 昨季のデータを見ると、対阪神戦は2試合で1勝1敗、防御率6.23と相性は良くなかったが、本拠地・神宮では9試合で6勝1敗と大きく白星を先行させた。その他の候補では、石川雅規、高梨裕稔、新外国人のサイスニードらになるが、いずれも決め手に欠く。昨季ノーヒットノーランを達成し、FA残留して改めてツバメ愛を認識した“和製ライアン”の快投に期待したいところだ。