- 大学野球
2020.10.26 14:00
甲子園優勝の中軸打者が「仲間のために」と奮起。ドラフト上位候補右腕に 入江大生(明治大)【時は来た!ドラフト指名を待つ男たち 大学生編】
最速153km/hを投じ、スライダーなどの変化球もキレ味抜群の本格派右腕だ。大型ながら高い身体能力に恵まれドラフト上位候補に挙がる。原動力となっているのはライバルや仲間の存在だ。
中学時代に県央宇都宮ボーイズで全国8強に進み、高校は「県内で1番応援されて、1番甲子園に近いチームに」と作新学院へ進学。そこには今井達也(西武)が同学年にいた。「負けているつもりもないし、競い合うライバルとして切磋琢磨していました」と振り返る。3年春には今井を抑えエースに。しかし県準々決勝で打ち込まれて敗れると、夏は今井にその座を譲った。
そしてチームは快進撃を続けて甲子園を制覇。入江は登板こそ1イニングのみだったが3番打者として大活躍。準々決勝の木更津総合戦で早川隆久(早稲田大)から本塁打を放つなど3試合連続本塁打を放って優勝に大きく貢献した。甲子園から帰ると大雨の中で駅の外にまであふれる地元の人たちの祝福に胸を熱くした。そんな達成感が吹き飛んだのは秋のドラフト会議だ。ライバルが西武からドラフト1位指名される姿を見ると「先を越された、負けていられない」と大学では再び投手として勝負することを誓った。
だが大学2年までは公式戦未勝利。安定した投球ができず登板は12試合に留まった。「簡単に空振りを取れなくなりましたし、下級生のうちは野球が100かと言われたら、半分も行っていないくらいでした」と振り返る。社交的で友人が多く、下級生時は遊びの比重が高くなってしまった。そこで3年時から発想をあらため「真剣に応援しれくれる友達のためにも本当に頑張らないといけない」と友人たちの存在を力にすることで一念発起。先輩たちの存在も大きく「森下暢仁さん(広島)、伊勢大夢さん(DeNA)が特に気にかけて声をかけてくれて僕を導いてくれました」と話す。
こうした周囲のへの感謝を胸に、3年春の優勝を決めた試合でリーグ戦初勝利を挙げると、秋は中継ぎを中心に22イニングを投げて自責点2の好投を見せ、侍ジャパン大学代表候補選手選考合宿にも招集された。
そして今年は明治大のエースナンバー「11」を背負い奮闘中。10月11日の法政大戦では7安打を打たれながらもリーグ戦初完封を果たすなど勢いは加速している。
将来は「投げ終わった後に、チームメイトや見ている人にエネルギーを与えられるような選手になりたいです」と話すように、多くの仲間たちにこれからも多くの喜びを与えていくつもりだ。
文・写真=高木遊