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古田敦也2世の呼び声高い大学球界屈指の強肩捕手 榮枝裕貴(立命館大)【時は来た!ドラフト指名を待つ男たち 大学生編】

榮枝 裕貴(さかえだ・ゆうき) ●守備 捕手 ●身長・体重 180cm・81kg ●生年月日 1998年5月16日 ●所属 立命館大 ●球歴 高知高→立命館大 ●出身地 高知県 ●投打 右右

榮枝 裕貴(さかえだ・ゆうき)
●守備 捕手 ●身長・体重 180cm・81kg
●生年月日 1998年5月16日 ●所属 立命館大
●球歴 高知高→立命館大 ●出身地 高知県 ●投打 右右

 2秒を切れば速いと言われている捕手の二塁送球で、常時1.8秒台を記録する大学球界トップクラスの強肩の持ち主。同じ関西学生リーグでは佐藤輝明(近畿大)が注目を集めているが、ある球団のスカウトは関西地区の大学生で佐藤の次に評価する選手に榮枝の名を挙げている。

 しかし、当の本人はプロでやれる実力があるとは思っておらず、数ヶ月前までは「社会人で揉まれよう」と考えていたという。榮枝自身がそう思うのも仕方がないのかもしれない。昨年まではレギュラーではなかったからだ。

 立命館大には昨年まで大本拓海(現ヤマハ)という捕手がいた。2年秋から正捕手に定着し、昨年は主将・4番としてチームを牽引してきた選手である。榮枝は昨年までは大本からレギュラーを奪うことができず、他のポジションで使われることもなかった。

 それでも代打や試合後半の守備固めといった数少ない出場機会の中で勝負強い打撃や強肩を見せつけ、NPBスカウトや社会人野球関係者からも高い評価を得ていた。本人の中では「何が何でもプロに行きたい」という強い気持ちを持っていたわけではなかったが、周囲からの評価を聞いた上で、「上位でかかる評価をもらえるなら、プロ志望届を出して評価をもらいたい」と大卒でプロ入りを目指す決心をした。

「人生のターニングポイント」と位置付けたこの秋は初めて正捕手として、リーグ戦を戦っている。ここまで長打はないが、好機でタイムリーを放ち、相手が盗塁を仕掛ければ、矢のような送球でアウトにする。ここまでは自分の持ち味をしっかりとアピールできている印象だ。

 立命館大の強肩捕手ということもあり、同大学の卒業生である「古田敦也(元ヤクルト)2世」と呼ばれることもある。捕手出身の後藤昇監督も榮枝にはそうした選手になることを望んでいる。

「古田ほど打てて守れる捕手は少ないですけど、そういうレベルの世界に飛び込んでほしいです。古田から『もっとこうしたらよくなるよ』と直接アドバイスを受けるような選手になってほしいですね」

「一番の目標はプロに入って、10年以上正捕手を張れるような選手になることです」と話す榮枝。球界トップクラスの捕手になる素質は十分にある。

文・写真=馬場遼