- 高校野球
2020.10.23 17:25
ギータ級のポテンシャル 三拍子そろったナンバーワン外野手 来田涼斗(明石商高)【時は来た!ドラフト指名を待つ男たち 高校生編】
今年の高校球界ナンバーワン外野手だ。
初回先頭バッター。来田が打席に入ってバットを投手に向け、体をのけ反らす。このルーティンで観客の耳目が来田に注がれる。雰囲気を持った選手だ。
なんと言っても、2年春のセンバツ準々決勝、智弁和歌山戦。先頭打者ホームランを放つと同点で迎えた9回裏、今年のドラフト候補・小林樹斗からサヨナラホームランを放った。最初と最後のホームラン。これは史上初のことで一気に名を広めた。
続いて夏の甲子園でも、準決勝の履正社戦でバックスクリーンへ先頭打者ホームランを放っている。
この年は春夏連続ベスト4。39打数14安打、3ホームラン、9打点の実績を残した。大舞台で結果を残してきた。さらにイケメンとくれば、スター性もあるとみる。
「大舞台だと100のものが150になるような感覚がある。プレッシャーを力に変えることができる」とコメントしている。まさにプロ向きだ。
小学校でオリックスjrに選ばれて、高校入学に際して48校から誘いが来た、という逸話を持つ。そして入学直後、明石商の部員は130人。その中でレギュラーに。「1年生から1番を打たせたのはなかなかいない」と狭間監督。3年になった時は大所帯のキャプテンに。
自粛期間中は主将の仕事をいとわなかった。部員を何人かのグループに分けたメニューを行う時に、LINEで各グループに連絡を取り鼓舞し続けたという。
監督は「教え子の中ではスイングスピードは一番速い」という。また体勢を崩されてもしっかりバットを振り切れる。ボールを長く見ることができてミート力も高い。
50m5秒9の脚力、遠投100mの強肩。総合力は超高校級だ。高校通算34ホームラン。
かつて、来田のことを監督は「自分のタイミングを持っていない」と言っていた。ホームランも出会い頭に出たものだ、というのだ。右足を下ろすタイミングがバラバラだったり、すり足にしたり試行錯誤中。
最後の公式戦となった交流試合。4打数1安打だったが、外角をひっかけた打球で、野手の間を運よく抜けたもの。ただ、監督は進化を解説する。
「きっかけをつかんで、間を感じられるようになりつつあります」
本人も自粛期間中の自主練習でタイミングの取り方が分かってきたという。
プロでの目標は柳田(ソフトバンク)。トリプルスリーを狙える高いレベルで三拍子を揃えた選手になりたいそうだ。
スカウトは柳田や丸(巨人)に似た雰囲気があると言う。
「将来は中軸を打てる選手になってほしい。バットスピードがあって力強い。三拍子揃って負けん気が強く、体の強さもあります。大舞台に強かったり、期待に応えるスター性は持って生まれたもの」
中森投手と来田。公立高校からドラフト1位が二人出るとなると36年ぶりの快挙になるという。
「別のチームのメンバーとして対戦したい」。将来の二人の希望だそうだ。