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高校野球

近江の国の雄 1年からレギュラーの遊撃守備は高校ナンバーワン 土田龍空(近江高)【時は来た!ドラフト指名を待つ男たち 高校生編】

土田 龍空 (つちだ りゅうく)
●守備 遊撃手 ●身長・体重179cm・77kg
●生年月日2002年12月30日 ●所属 近江高
●球歴 湖北ボーイズ ●出身地 滋賀県 ●投打 右左
【写真提供=共同通信】

 滋賀の雄、近江のショートを1年から務めてきた。両親、姉も近江の卒業とくれば、申し子、縁はかなり深いものだったに違いない。

 そして1年夏の甲子園、金足農の吉田輝星投手(日本ハム)からヒットを打っているとなれば、そのセンスに興味が沸くだろう。

 準々決勝、金足農とのゲームは好ゲームで記憶に残る。3対2で近江リード。9回裏、金足農は2ランスクイズが決まって逆転サヨナラ勝ちをもぎ取る。2年生捕手の有馬(関大)が倒れ込んでしばらく起き上がれなかったシーンが目に焼き付く。

 土田はこのゲーム、2番・ショートで出場し、吉田のストレートを引っ張って、三塁線を破る二塁打を放った。1回戦から4試合を戦い、17打数5安打、2二塁打を記録している。

 2019年、夏の選手権は1番で出場した。1回戦は優勝候補・東海大相模との注目対決。しかし自らのエラーで先取点を奪われ、最後は1対6、完敗だった。

 主将の有馬捕手らナインは「土田の守備はムラがある」と言っていて、ファインプレーがある一方で、イージーミスもあった。大一番では歓迎されない結果になった。

 だが、土田の持ち味はその守備だ。龍空という名前。空を龍のように舞い上がって欲しい。そんな願いが込められていると想像する。グラウンドではその通り、駆け巡る。三遊間の深い当たりはノーステップ、緩い打球は猛チャージ。多賀監督が入学直後から「レギュラー組にいれても余裕があった」と惚れこんだほど。この3年間、土田がチームの中心の一人だったことは疑いようがない。

「グラブさばきもいい。肩も強く、コントロールもいい。遊撃の守備力は安定していて、センスを感じる」
 大方のスカウトの評価だ。

 それは8月の合同練習会でも実証された。

「目立ったのは中山(中京大中京)と土田(近江)。ノックを見て、2人とも高校生のショートとしては高いレベルで動けていた」とあるスカウトが言った。

 本人も「練習会で他の選手に負けているとは思わなかった」と自信を見せた。

 課題はバッティングだ。練習試合などでは木製バットでホームランを放って「木製であれだけ打てるなんて」と監督を驚かせた。高校通算30本塁打を重ねてきた。しかし独自大会でも木製バットを使用したが、大きな結果は残せなかった。打撃はプロ入り後に努力が必要となる。

「華がある。キャプテンをやって人間性の厚みも出てきた。プロのレギュラーで10年やることも可能な選手」
指揮官がいうこの言葉。どんな未来があるのか。果ては坂本勇人(巨人)か源田(西武)か。

 近々のインタビューでは「プロになれる自信はあります」と語っている。度胸もプロ向き、自信のほどを見届けたくなる。