- 高校野球
2020.10.23 19:46
近江の国の雄 1年からレギュラーの遊撃守備は高校ナンバーワン 土田龍空(近江高)【時は来た!ドラフト指名を待つ男たち 高校生編】
滋賀の雄、近江のショートを1年から務めてきた。両親、姉も近江の卒業とくれば、申し子、縁はかなり深いものだったに違いない。
そして1年夏の甲子園、金足農の吉田輝星投手(日本ハム)からヒットを打っているとなれば、そのセンスに興味が沸くだろう。
準々決勝、金足農とのゲームは好ゲームで記憶に残る。3対2で近江リード。9回裏、金足農は2ランスクイズが決まって逆転サヨナラ勝ちをもぎ取る。2年生捕手の有馬(関大)が倒れ込んでしばらく起き上がれなかったシーンが目に焼き付く。
土田はこのゲーム、2番・ショートで出場し、吉田のストレートを引っ張って、三塁線を破る二塁打を放った。1回戦から4試合を戦い、17打数5安打、2二塁打を記録している。
2019年、夏の選手権は1番で出場した。1回戦は優勝候補・東海大相模との注目対決。しかし自らのエラーで先取点を奪われ、最後は1対6、完敗だった。
主将の有馬捕手らナインは「土田の守備はムラがある」と言っていて、ファインプレーがある一方で、イージーミスもあった。大一番では歓迎されない結果になった。
だが、土田の持ち味はその守備だ。龍空という名前。空を龍のように舞い上がって欲しい。そんな願いが込められていると想像する。グラウンドではその通り、駆け巡る。三遊間の深い当たりはノーステップ、緩い打球は猛チャージ。多賀監督が入学直後から「レギュラー組にいれても余裕があった」と惚れこんだほど。この3年間、土田がチームの中心の一人だったことは疑いようがない。
「グラブさばきもいい。肩も強く、コントロールもいい。遊撃の守備力は安定していて、センスを感じる」
大方のスカウトの評価だ。
それは8月の合同練習会でも実証された。
「目立ったのは中山(中京大中京)と土田(近江)。ノックを見て、2人とも高校生のショートとしては高いレベルで動けていた」とあるスカウトが言った。
本人も「練習会で他の選手に負けているとは思わなかった」と自信を見せた。
課題はバッティングだ。練習試合などでは木製バットでホームランを放って「木製であれだけ打てるなんて」と監督を驚かせた。高校通算30本塁打を重ねてきた。しかし独自大会でも木製バットを使用したが、大きな結果は残せなかった。打撃はプロ入り後に努力が必要となる。
「華がある。キャプテンをやって人間性の厚みも出てきた。プロのレギュラーで10年やることも可能な選手」
指揮官がいうこの言葉。どんな未来があるのか。果ては坂本勇人(巨人)か源田(西武)か。
近々のインタビューでは「プロになれる自信はあります」と語っている。度胸もプロ向き、自信のほどを見届けたくなる。