- 高校野球
2020.01.04 12:00
「日本一に導く投手になりたい!」 泰美勝投手(神村学園)【野球女子 vol.37】
「美勝」と書いて「みか」さん。珍しい名前ですね。
初対面の人にちゃんと呼ばれたことがありません(笑)。父と母の名前から漢字1文字ずつもらってついた名前だそうです。少し違和感はありましたが、もう慣れました(笑)。
ーー野球を始めたのはいつからですか?
小学5年生からです。弟のいた瀬戸内ファイターズの人数が足りなかったので、助っ人で入りました。それまでは空手やバレーボールをやっていました。周りの子よりも肩が強かったので、監督さんから入ってすぐに「ピッチャーをやってみろ」と言われて投げてみたらすごく楽しかった。空手は1人でやるけれども、野球は9人のチームでやるスポーツ。勝ったらみんなで喜びあえるのが魅力に感じられました。
中学は人数が足りなかったので、少人数のチームを集めた瀬戸内合同チームで軟式をやっていました。ポジションは投手と、あと左利きだけど三塁手もやっていました。
ーー奄美大島から神村学園に進もうと思ったのはどうしてですか?
エースになって自分が日本一に導く投手になりたいと思ったからです! 中学校の時は県大会にも出たことはなかったけど、男子の選手が相手でも抑えることができていたので投手には自信を持っていました。
ーー2年生ですが、春も夏も全国大会をエースで投げてベスト8。夏は1対0の完封も2試合したとか。自分の投球はどうでしたか?
チームの野球は守り勝つことで、1点とってくれれば勝つ自信はありました。チームでエラーが出たのを自分の投球でカバーできなかったのが悔しかったです。準々決勝の福知山成美戦も、自分の失投で打たれてしまったので、悔しい思いしか残っていません。
ーー投手としての持ち味や課題を教えてください。
直球が120キロぐらいでる速さは持ち味ですが、変化球がカーブとスローカーブしか持っていないので、落ちる系の変化球を覚えたいです。あとはピンチでも平常心で投げられるメンタル面の強化です。冬の今の時期は走り込みを中心に来年の春、夏に向けてフィジカル、メンタル両面を鍛えています。
全国でライバルと思えるのはクラーク仙台の小野寺佳奈さんです。同学年の右投手ですが、春の準々決勝で対戦しましたが、私よりも球速があり、上の力を持っていると思いました。
ーー将来の夢は何かありますか?
プロに行きたいとは考えていませんが、将来も何か野球に関われることができたらと考えています。今考えているのは来年の春の選抜、夏の選手権で優勝することです。うちのチームは打力が弱いので、相手が嫌がる野球をして1点をとって、それを守り勝つ野球で優勝したいです。
「身体能力がものすごく高い選手です」と橋本徳二監督は言う。自然豊かな奄美大島で育ち、幼い頃から海や山で遊ぶうちに自然と身に着いた能力だろうか。ちなみに14年に女子ワールドカップでMVPをとった先輩・里綾実(愛知ディオーネ)も同じ奄美の出身だ。足の速さや肩の強さは女子の中では頭一つ抜けている。ちなみに1つ下の弟・勝利も同じ神村学園の男子野球部に所属する左腕で、1年生大会ではエース番号を背負っていた。姉弟の「きょうだい」左腕エースで神村学園を日本一に導く夢を描く。
取材=政 純一郎